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 今日は一日雨。スノー衆ミーティングも延期である。
ヒマだし、さりとて古い記憶をたどって書いてないレポをアップするのもめんどくさい。
そこでパソ通時代の「ニフティ山のフォーラム」最後のレポートを再掲してお目汚しを。
(会員限定のフォーラムがウェブ上でオープンになる前の記念碑です。)


 フォーラムのウェブ化まであと一日あまり。雨続きでレポートも上がってこない。
ウェブ化されてももちろん同じように書き込むつもりではあるが、このスタイルと
文字数にこだわったレポートを最後に残しておきたい。そんな思いで、少々前の季節外れ
の記録ではあるが、越美の山々の中でも特に印象に残った山行を書き綴ることにする。

【日 時】2000年3月18日(土)
【山 域】越美国境 冠山周辺http
【天 候】快晴
【メンバー】柳川洞吹氏、山日和
【コースタイム】河内トンネル7:20---7:56田代---10:08林道出合---11:55田代尾根ノ頭
    (越前峠---13:30冠山15:10---16:12田代尾根ノ頭---17:00林道出合---
     17:57田代---18:59河内トンネル

 昨年同じルートを試みたが、田代尾根ノ頭で吹雪となり危険を感じて退却。しかし
なんとしても積雪期の冠山に登りたい。その一念で2年連続のチャレンジとなった。
 前週は予定外の降雪で、雷倉途中敗退。しかし今日はドピーカンの絶好の春山日和
だ。除雪終了点となっている河内トンネルの中で一夜を過ごす。
トンネルの出口には雪の壁ができていた。
 田代までは国道歩き。積雪は1mほどか。途中から右手に新しいバイパスのトンネル
が分岐しているが、トンネルの中には雪がぎっしり詰まっている。
 廃村田代の集落跡、道路が足羽川右岸へと渡る橋の手前へ下りている尾根が田代尾
根だ。冠山峠の車道が開通する前はメインの登山道だったらしいが、今はわざわざ下
から登る物好きもいないようで、廃道と化している。

 取り付きの腐れ雪に苦戦しながら少し上がると、すぐに伸びやかな雑木の尾根が広
がり、雪もいい具合に締まってきた。ワカンの爪が心地よく雪面を捉える。
 ここからはまだ冠山本峰は見えないが、右手には終始金草岳の迫力ある姿が視界に
迫ってくる。それにしてもいい天気だ。腕まくりをしても暑いくらい。サングラスは
必需品だ。

 昨年は雪が少なく、下部ではヤブが露出していたが、今年はすべて雪の下。
部分的に急登はあるものの、快調に高度を稼いでいく。
 雪でナイフエッジ状になったところを越え、右からP793への尾根が合流する疎林の
台地を過ぎると林道出合だ。この道はどこまでが国道で、どこからが林道なのかよく
わからないが、このあたりは林道らしい。(林道冠山線の表示がある。道路地図では
全部国道になっているが。)
 切り通しの部分でハーフパイプのようにカーブを描いて積もった雪に太陽の光が反
射して、なんとも言えず美しい造形を作り出していた。

 地形図では田代尾根を分断する林道の反対側はガケ記号が付いているが、大したこ
とはなく傾斜の緩いところを選んで再び尾根上の人となる。
 広くゆるゆるとした疎林の尾根は、どこまでも明るくついつい「ちょっと休もか」
という気分になってしまう。地形図で右手にある恐ろしげなガケ記号は意識すること
も無く通過してしまった。

 ほぼ真南へ伸びていた尾根が東へ振った先のピークがP1058.。ここで初めて冠山の
ピラミッドがはるか高みに姿を現した。と言っても高々標高差200mほどを残すのみな
のだが、ほんとにあそこまで行けるんかいなという気にさせるぐらい遠く感じた。
 このピークからミニキレット状の鞍部へ一旦下る。左手には雪庇が発達しており、
右側に寄って通過。田代尾根ノ頭への最後の登りにかかる。
ここは北面にもかかわらず雪が締まっておらず、よく潜った。
 このあたりから洞吹氏が足を攣らせ始める。

 田代尾根ノ頭。昔は越前峠とも呼ばれたらしいジャンクションピークで冠山峠か
らの尾根を合わせる。ここからが越美国境稜線だ。
 目の前にそびえる冠山の巨大な三角錐。おそらく4m以上は積もっているであろう
雪に覆われた純白の世界にそそり立つ神の塔のような神々しい姿に息を呑む。
 昨年は何も見えなかった。洞吹氏は行く気満々だったが、振り返ればトレースが
消えているような状況では突っ込むのは危険すぎる。
山頂を目前にして涙の退却だったのだ。

 ここからうねるような雪稜を軽くアップダウンしながら、冠山北壁基部へと向か
う。右から上がってくる谷(才ノ谷の源頭部)を回りこんで行くと、北壁の基部に
出た。無雪期ならばさらにトラバースして冠平から急斜面を這い上がるのだが、上
部は強烈な急傾斜。何もかもが豪雪に覆われた今は雪の壁がそそりたっている。
 手前の方が比較的傾斜が緩い。ここでワカンをアイゼンに履き替え、ストックを
ピッケルに持ち替えた。念のためロープも持ってきたが、出すほどではない。
とは言え、滑れば谷へ一直線だ。慎重に一歩一歩ステップを切って行く。
 最後は雪面から頭を出したブッシュに縋って這い上がる。

 頂上から西に張り出した南壁沿いの小尾根に出た。向こう側はスッパリと切れ落
ちている。高度感満点だ。
 すべてが雪の下となったドーム状の頂稜を噛みしめるように山頂へ歩く。

 着いた。もうここより高いところはない。北も南も斧で削ぎ落としたような雪壁
になっている。いや、南壁は急過ぎて雪も付かない。
この山頂の高度感は越美随一と言っても差し支えないだろう。広過ぎず、狭過ぎず、
程よい閉塞感のあるいかにも頂上らしい頂上だ。
 展望はまさに360度。連綿と続く越美国境稜線は文字通り白い街道となって前後に
伸びている。
 金草岳を包む雪のひだが陰影を作って、まるでヒマラヤひだのようだ。
(見たことはないが)
 高々1200mあまりの山とはとても思えないこの景観。来てよかった。心からそう思
えるひと時を過ごす。洞吹氏を見ると思いは同じらしく、表情が崩れたまま元に戻ら
ないようだ。
 
 乾杯。あまりにも美味過ぎるこの一杯。そして湯気を上げる鍋。
至福の刻という以外に言葉が見つからない。
 この凄いパノラマを仔細に説明しようとすれば、奥美濃と奥越のほとんどすべての
山を列挙することになるだろう。「素晴らしい」このひとことで十分である。
 
 いつまでも留まっていたいがそうもいかない。気が付くともう3時。
雪山の下りは早いとは言え、いい加減下りなければいけない。
 北壁はシリセードすれば豪快だろうが、ちょっと腰が引ける斜度ではある。ここは
慎重にステップを刻みながら下り、下部の緩斜面で少し遊ぶ。
 何度も何度も振り返りながら田代尾根ノ頭へと向かった。ここでもう4時も過ぎたと
いうのに水不足ということで雪を融かして水を作る。融けるのを待つ間最後の展望を
楽しんだ。
「また来るで。」そう心に強く思わせる最高の山旅だった。

 コースタイムを見れば分かるように、田代へ下りたあたりで夕闇が迫ってきた。
と思うまもなく徐々に明るさが増してきた。今日は満月のようだ。
 ヘッデン不要の月明かりの下、満ち足りた心と重い足を引きずりながら、思いは早
や暖かい温泉に飛んでいた。

                  山日和

2006/01/14(Sat) 19:11:29  [No.1525]


  Re: 【越 美】冠山の正しい登り方 投稿者:伊勢山上住人  URL

山日和さん、こんにちは。
昨日の雨とうって変わって、今日は暖かないい日です。

しかし、ハリマオさんから
>  昨夜は同年会で湯の山のホテルに泊まりましたが、大雨で雪がハゲハゲになっていました。登るのやーめた。
の報告もあり、次の降雪の後を楽しみにしています。

> そこでパソ通時代の「ニフティ山のフォーラム」最後のレポートを再掲してお目汚しを。

レポの少ない時の「お目汚し」楽しみにしています。 が、
出来れば、「正しい登り方」で無い方が楽しめそうです。
次回は「間違った登り方」の再掲をお願いします。      伊勢山上住人

2006/01/15(Sun) 12:20:03  [No.1536]


伊勢山上住人さん、こんにちは。
今日は天気回復しましたが、子供のサッカーの試合で山はお休みです。

> 出来れば、「正しい登り方」で無い方が楽しめそうです。
> 次回は「間違った登り方」の再掲をお願いします。      

これはちょっと補足説明が必要なようですね。
冠山は今では山越えの林道で冠山峠まで車で入って、そこから1時間ばかりのコースで往復するのが普通の登り方になっています。
そこで我々は当然林道も通行止めの雪の時期に、昔の登山道を使ってトラディショナルな登り方をしようと思ったわけです。
そういうわけで「正しい登り方」というタイトルにしたんですよ。
このレポートは数多く登った越美国境周辺の中でも最高の山行のものです。
天気、雪質、雪量、高度感、すべてが申し分のない山でした。

                        山日和

2006/01/15(Sun) 13:31:32  [No.1537]


  Re: 【越 美】冠山の正しい登り方 投稿者:とっちゃん(こと)

山日和さん、こんばんわ〜。

山日和さん、一押しのレポ拝見しましたよ。

冠山は、あんちょこの峠からの往復ばかりですが、こんな古道があるんですね〜。

あの頂上直下はスパットきれていて、雪の時期どうやって頂上に立てばいいのか想像がつかないなぁ。

冠山から見える金草山は、昨年Sハイで知り合ったご夫婦にご一緒させてもらいましたが、いい山でした。

山を選ぶ時、ブナははずせないというご主人で、私もその選択が嬉しく、数回ご一緒させてもらいました。

雪の冠山は行ったことがないから、もし、機会があればよろしくね。って、こんな足と体力では、夢のまた夢かもしれないけど。

2006/01/15(Sun) 19:11:55  [No.1541]


とっちゃん、こんばんは。
この山行は長い歴史の中でもトップクラスに位置するものでした。
ほんとはテント担ぎ上げて、金草や若丸を往復できたら素晴らしいんだろうけどね。

> 冠山は、あんちょこの峠からの往復ばかりですが、こんな古道があるんですね〜。

芝村文治さんの「秘境 奥美濃の山旅」を見ればわかるように、林道開通前はいろんなルートがありました。

> あの頂上直下はスパットきれていて、雪の時期どうやって頂上に立てばいいのか想像がつかないなぁ。

とにかくアイゼンの前爪を蹴りこんでピッケルを打ち込みながら登るしかないですね。
夏道のあたりは傾斜がきついので、ちょっと手前の方から上がりました。
下りは夏道のへんを一気に滑り降りたけどねー(^_^)

> 冠山から見える金草山は、昨年Sハイで知り合ったご夫婦にご一緒させてもらいましたが、いい山でした。

これもいい山。沢から2回、雪で2回(1回は敗退)登ってます。雪の時は北側のガンドウ尾根が面白いよ。

> 雪の冠山は行ったことがないから、もし、機会があればよろしくね。って、こんな足と体力では、夢のまた夢かもしれないけど。

結構体力勝負かな。でも調子が戻れば行けるかもね。

                         山日和

2006/01/15(Sun) 20:54:41  [No.1545]


 山日和さん、こんにちは。私は鈴専なので、その辺りの山は三周くらいしか登っていません。しかし「三重県の山」の原稿を執筆する時に、参考として「岐阜県の山」を買って一通り目を通しました。冠山はすごくユニークな形をしていたので印象に残っています。峠まで車道が通っているようですが、冬期にクラシックルートを登ると言う気構えがいいですね。それにしても、まさかそんなところでヒマラヤヒダ?が見られるとは!

 昨夜は久々に温泉に泊まったので、ふと思い出して脱衣カゴの数を数えてみました。しかし、さしたる快感は得られませんでした。私には向いていないようです。
 ところでNHKでドラマ「氷壁」の第一回が放映されましたが、けっこう面白いですね。所々CGでごまかしたり、ロケ地が実際と違うだろうと思われる箇所が散見されます。しょうがないですけどね。

 山と無関係ですが、吉村道明とは渋い。見た目より歳くってんのかな?失礼!

2006/01/15(Sun) 21:16:13  [No.1546]


ハリマオさん、どうもです。

> 峠まで車道が通っているようですが、冬期にクラシックルートを登ると言う気構えがいいですね。それにしても、まさかそんなところでヒマラヤヒダ?が見られるとは!

このルートは本文にもあったように前年敗退したルートです。なんとしても雪の冠山に登りたいという一心でした。
ヒマラヤヒダはオーバーか。奥美濃ヒダかな? 飛騨の山ならヒダヒダですね。(^^ゞ

>  昨夜は久々に温泉に泊まったので、ふと思い出して脱衣カゴの数を数えてみました。しかし、さしたる快感は得られませんでした。私には向いていないようです。

一回ではダメでしょう。継続は力なり。何回も数えているうちに快感を覚えるのです。(ホンマか) カウンターズハイってやつです。

>  ところでNHKでドラマ「氷壁」の第一回が放映されましたが、けっこう面白いですね。所々CGでごまかしたり、ロケ地が実際と違うだろうと思われる箇所が散見されます。しょうがないですけどね。

みんな見てたようですね。結構リアルだったと思います。前に「氷壁」がドラマ化された時はオールスタジオ撮影でしたからね。

>  山と無関係ですが、吉村道明とは渋い。見た目より歳くってんのかな?失礼!

風神でよく掃除したものです(^_^;)って、ハリマオさんよりひとつ下ですけど・・・(^^ゞ

                            山日和

2006/01/15(Sun) 21:40:49  [No.1548]


山日和さん こんばんは

この記録は、何度読んでもいいですね。
もう6年も前のことなのに、ついこの間のことのように、
この一日のすべてを鮮明に覚えています。
最高の山でした。

成人の日がらみの世間の三連休も、うち二日間は出勤だったし、
最近は、なかなかスカッとした気分にならないし、
この15日、近畿北部も高気圧に覆われるというので、
ちょいと湖北でスノーシューの試し履きでも……と、出掛けてみました。
しかし、目覚まし時計の時刻をセットしたまではいいけど、ベルをONにするのを忘れて、
いつものように、安らかにぐっすり眠ってしまいました。

ゆっくりした気持ちよい目覚めのあと、いざ、登山口となるはずの場所近辺を物色すると、
国道の両側は、除雪車で削り取られた垂直の雪壁と、
さらにその上に吹き上げられて盛り上がった雪山の連続で、駐車余地など皆無。
当然、集落の中にも止めようがない。
昨年や一昨年とは、まったく様子が違う。
仮にどこかへ駐車できたとしても、2mから3mもあろうかという垂直の雪壁に、どうやって登るの?

そうこうするうちに、はや、昼メシの時間が近づく。
余呉湖はワカサギ釣りで賑わっていました。
ワシは、それを横目にうどん鍋。
ははは。(^^ヾ

よい山旅を!
                                洞吹(どうすい)

2006/01/17(Tue) 21:47:15  [No.1557]


洞吹さん、どうもです。

> この記録は、何度読んでもいいですね。
> もう6年も前のことなのに、ついこの間のことのように、
> この一日のすべてを鮮明に覚えています。
> 最高の山でした。

そうですね。出だしの腐れ雪に足をとられながら乗った尾根からの快適な雪質。
林道に積った雪の美しい造形。
林道上の美しい樹林。崩れかけた小キレット状の鞍部。
はるか遠くに見えた冠山のピーク。田代尾根ノ頭ヘ飛び出した時の
開放的な眺め。
樹林を埋め尽くした圧倒的な雪の量。胸がバクバクするような北壁の登り。
頂稜へ出た時の高度感。
山頂からの遮るもののない展望。北壁直下のトラバース。金草岳の雄姿。
田代尾根ノ頭での最後の休憩。
下りに取った支尾根から谷筋の渡渉。林道の月明かり。そして暖かい温泉。
ほんとは次の日もどこかへ登るはずでしたね。
しかし満足し切った我々は、どこに登ってもこれ以上の満足を得られる
ことはないと知っていた。
1日を残して帰ってしまいました。
すべて鮮明に覚えています。自分のレポートを読んでも目が潤んでくるぐらいに・・・

> ちょいと湖北でスノーシューの試し履きでも……と、出掛けてみました。
> しかし、目覚まし時計の時刻をセットしたまではいいけど、ベルをONにするのを忘れて、
> いつものように、安らかにぐっすり眠ってしまいました。

ありゃー、またやっちゃいましたね。(^^ゞ

> 国道の両側は、除雪車で削り取られた垂直の雪壁と、
> さらにその上に吹き上げられて盛り上がった雪山の連続で、駐車余地など皆無。
> 当然、集落の中にも止めようがない。
> 昨年や一昨年とは、まったく様子が違う。
> 仮にどこかへ駐車できたとしても、2mから3mもあろうかという垂直の雪壁に、どうやって登るの?

どのあたりを狙ったのでしょうか? 大黒山?
ほんに今年は凄まじいですね。

>
> そうこうするうちに、はや、昼メシの時間が近づく。
> 余呉湖はワカサギ釣りで賑わっていました。
> ワシは、それを横目にうどん鍋。
> ははは。(^^ヾ

登らなくてもちゃんと鍋は食べて帰るのですね。(^_-)
スノーシューデビューはお預けでしたか。

                     山日和

2006/01/17(Tue) 22:13:41  [No.1559]


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