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  貝月山・・・登山靴を履いたシンデレラ 投稿者:とっちゃん(こと)
貝月山・・・登山靴を履いたシンデレラ (画像サイズ: 800×600 75kB)

明けの明星が空にあった。一面の雲をわって輝く星の光はあまりも清らかで、人の心までも清めていくようだった。そして、そんな一日の始まりが嬉しかった。

一人走らす田舎の道は一台の車にすれ違うこともなく、夜明け前の闇を二筋のヘッドライトが照らした。一本の道が人の人生であるとすれば、そのライトは道標(みちしるべ)のように心の闇をも照らすことができるのだろうか?

そんなことを考えながら、一人車で走るということに、なぜか今日は静かな愛しさを感じていた。

集合場所からは洞吹さんの車に乗り換え、山の荷物一式を積むと座る場所もない状態となってしまって、リュックだけ山さんの車へと里子に出した。わさわさと生活用具が積み込まれた後部座席に座る私は、かぼちゃの馬車ならぬ、荷物台のシンデレラになった。

専属ドアマンは、必然的に助手席に座る矢問さんとなった。ドレスを着て高級車から降り立つお姫様でなく、ジープから自分ではドアを開いて降りられないお姫様には、どんな服装が似合うのだろう。目の前に小物入れのハンモックの揺れるを見ながら、そのギャップが可笑しくて笑顔がこぼれた。

車に乗せてもらうことになったら、申し訳ないのだけれど、セルフケアのため車の中で足を上げていたり、ドレナージュをしたいのでいいかしらとお願いすると、「注意事項を守ること、そうでないと大変なことになる。」というメールが来た。いったいどんなことが起こるのか。

真相の主は、ドアだった。後部座席のドアがずれていて、先に助手席のドアを開いておかないと角が擦れて傷つくのだ。そこで、チャイルドロックをかけて、助手席のドアを外から開けてから後部座席のドアを開けるようにしていたのだ。

ところが、乗り込む前の説明のあとすぐ当の本人自ら、いきなり後部座席のドアを開けたのだ。「あらら〜、これじゃ説得力ないなぁ〜。」と爆笑の中、それぞれ病院にご縁のある三人が乗る洞吹号は走りだしたのである。

リュックは肩からはずしたものの、スキーの時にしかリフトに乗ったことのなかった私は、リフトが動きだすと同時に、スノーシューは滑らないということを考えもしなかった。

あっというまの出来事であったが、動き出した座席と地面の間に足が挟まれたようになって、まだ歩き出してもいないうちに、左足のふくらはぎの筋肉を痛めてしまった。

今日は、骨折以降初めて登山靴を履いた日だった。ただでさえ、気遣っていた左足だったので、内心、どうしようと思ったが一日中鈍い痛みが続いたがなんとかなった。

リフトから振り返る雪景色の山並みは、青空に映えて綺麗だった。皆それぞれに、つんのめったり、ひっかかったり、転倒したりしたが、リフトを降りると、そこは標高816mの貝月山登山口だった。「ここが登山口なの?。」無雪期なら、ここまで林道を車で上がれるそうである。

山さん先頭に、右は植林左は自然林の尾根を歩く。しばらく歩くと、展望が開け、振り返ると鍋倉山が望めた。雪庇が尾根の左に張り出し、雪山を歩く楽しみがそこにあった。

トラバースや、急登にはYさんのスノーシューは私達のスノーシューより機能的に不向きだった。一人だけ違う装備であることで、Yさんがプレッシャーを感じてはおられないかと気がかりだった。

幸いにも、今日はこのチームでは一番ヘビー級の矢問さんが、望むと望まないに関わらず、おのずと圧縮隊長となってくださり、その後を歩けば少しは歩きやすいのではないかと思った。

イワウチワ群生地の表示が雪面から顔を出している。このあたりのイワウチワは、どんな風情なんだろう。春の花、イワウチワは好きな花の一つである。

登山道がそこはかとなく出没する場所には、シャクナゲの木があった。シャクナゲの木を切り開いて、2Mの道幅の登山道がついたのだとYさんにお聞きする。

そういえば、取立山に行った時、林道かとおもうほどの幅の広い登山道にびっくりしたものだ。北の地方では、登山道はどこでもこんなに広いのかとその時思った。人一人が歩ける程度の登山道が、風情もあり自然もあまり壊さずいいのではないのだろうか。

小貝月の頂が眼前に見える、村境尾根と合流する展望の所で休憩となる。休憩の時間には銀マットを敷いて足を上げて休もうと持ってきたが、そんな余裕のある休憩は今回取れそうもなく、立ったままで行動食と飲み物をとることになった。

さてここからはトップで少しくだり、再び登り返しとなる。左足を無意識にかばって歩いていたのだろう。山で始めて右のふくらはぎの筋肉がつってきた。う〜っとこらえて又歩き出す。ここで矢問さんと、トップ交代。

雪庇が左に張り出し、登る雪面はクラストし風紋がすばらしい。風が作った造形に感嘆しながらザクザクと登る。トップでP1226に立った矢問さんは、「すばらしい〜。いい眺めだよ〜。」っと感嘆の声を上げている。

続いて、登りきればそこからは、虎子山、ブンゲン、金糞岳をはじめ雪をかぶった山並みが列をなして並んでいた。素晴らしい眺めにワクワクと胸が高鳴る。

Yさん、矢問さんと一緒に、山さんに遠望の山の名前を教えてもらいながら、昨年Sハイ岩野さんの山行で登った金糞岳のどっしりとした姿を、こうして角度をかえて見ることができたのがとても嬉しかった。

山さんは後続の、ひいちゃん達がまだピークまで到着しないのがとても気がかりのようで、尾根を覗き込んで大丈夫かどうかを確認している。リーダーの優しい思いやりの様子がいかにもほほえましかった。

ここからは、再びトップで下る。ザクザクとスノーシューが風紋の尾根を踏みしめていく。風紋はまるで等高線を描く立体地図のように高くなっては、また違う形に姿を変え文様を作っている。登り返すと、その向こうに貝月の頂上が近くに見えた。

見下ろす雪庇の下には、いつ雪崩るとも知れぬ黒い筋が不気味に走っている。ここからは、トップを山さんが歩く。注意深くルートを取りながら、雪を舞い上げ吹きすさぶ尾根を頂上を目指してひたすら歩く。

雪庇は、ここからは右へ張り出した。ここを登りきれば、シャクナゲ群生地と標識があり、ここからあとわずかで頂上となる。そして頂上直下の雪庇は、見事なうねりを作っていた。

アンテナの立つ頂上は風情を欠いたが、北の山並みが雲に隠れているのがいかにも残念ではあるが、遮るもののない山頂の展望は申し分なく嬉しいものだった。

風をよけ、雪庇の陰に持参のスコップで山さんと二人で四角のテーブルを作りはじめるが、私のスコップはすぐに洞吹さんとタッチ交代。出来上がったテーブルを皆で囲むランチはいかにも楽しいものである。

山並みを正面に座るYさんと、ひいちゃんはとても嬉しそうで会話が弾む。人の笑顔というものは、嬉しいものである。こんな時間は、山さんにとっても、リーダー冥利につきる時間だろう。

1時間半のランチタイムも終わり下山にかかる。北尾根を、山さんトップで下る。GPSで確認済みであったが、シリセード向きの尾根を一気に下ってしまった。GPSで再度確認、一本右にふりすぎたようで、ここから登り返して隣の尾根に乗り換える。

この尾根もこのまま行ってはいけないので、山さんは再度地図を確認。Yさん、矢問さん、洞吹さんも地図を広げている。かなりの傾斜を下って乗り換えなければならない。

まだしも、ましな傾斜を探し山さんが先行する。続く私は、けっこうこういう急傾斜を一気にくだるのは、面白くてどんどんと調子よく下った。シリセードには潜る雪質が残念である。

あれっ、誰かの足跡がある。いったい誰がどこから急に?とよく見ればそれは鹿の足跡だった。

ここからは藪っぽい尾根を、木々を潜り抜けながら下る。雪庇も右に張り出しているが登りの尾根のようなすっきりした様子がない尾根である。

やがて尾根は植林となる。クラストした場所もあるが、YさんはTABBSのスノーシューをうまく使いこなしておられた。

最後の急斜面で、安全を期して、Yさん・ひいちゃん・洞吹さんはスノーシューを脱いだ。あまり沈まない雪質で、つぼ足がかえって歩きやすいようだ。

やがてスキー場の音楽が聞こえ、林道も近い。しかし、林道に降り立つところで、その段差が大きくて、どうなることかと思ったが、山さんが的確に橋につながる斜面を見つけ先行して林道に降り立った。

6人のスノー衆は行く(スノーシューハイク)のメンバーは満足の背中でスキー場を下っていった。

「今日一日、ドアマンありがとう。」解散の挨拶の後、洞吹号に乗りこんむ矢問さんにお礼を込めて、最後にドアを閉めさせてもらった。これで、一日限りのシンデレラは、その時間の幕を閉じたのだ。

一人走らす車の窓からは、星も月も雲に隠されて見えなかった。そして、いつしかまた心は雲のベールに覆われ翳っていた。そういう時に、思い出す人がいる。

自分の為にする優しさは、真に人の心を動かすことはない。自分から離れてかけたなんでもない言葉に、その人の人柄はにじみ出るものだ。そんな、なんでもない一言が限りなく優しい人がいる。

今は山を歩けない、そういう優しさを持つ友に一枚の山の写真を届けたい。そんなことを考えながら、ふと空を見上げると、いつしかまあるい月が明るく空に輝いていた。

貝月、その名前はどこかロマンのある呼び名である。空には煌々と月が有り、ひたひたと満ちる夜の水辺に月が映る。そして砂に潜る淡色の貝を月の光がなでるのだ。

そんな光景が、今頃、山の頂から遥か彼方に見えるだろうか。まるで憧れを抱くように。

  ※4か月かかって、やっと登山靴で山を歩けるようになりました。ご心配くださった方々、みなさんどうもありがとうございました。

2006/02/16(Thu) 02:01:46  [No.1743]


とっちゃん こんばんは

タイトルが「貝月山・・・登山靴を履いたシン」まで見えていたから、
「そうかー、ついにシンドバットが登山靴を履いたのかー」と思っていたら、
シンデレラやったがな。

> リュックは肩からはずしたものの、スキーの時にしかリフトに乗ったことのなかった私は、リフトが動きだすと同時に、スノーシューは滑らないということを考えもしなかった。
> あっというまの出来事であったが、動き出した座席と地面の間に足が挟まれたようになって、まだ歩き出してもいないうちに、左足のふくらはぎの筋肉を痛めてしまった。

まったく、そのとおりやん。
みんなおんなじことやってますねえ。
ワシ、もう、スノーシューでリフトには乗りません。

> 「今日一日、ドアマンありがとう。」解散の挨拶の後、洞吹号に乗りこんむ矢問さんにお礼を込めて、最後にドアを閉めさせてもらった。これで、一日限りのシンデレラは、その時間の幕を閉じたのだ。

シンデレラの幕は降りたから、次回はシンドバットやな。
遠めがねを用意しとかな。

よい山旅を!
                               洞吹(どうすい)

2006/02/16(Thu) 21:16:33  [No.1747]


  Re: 貝月山・・・登山靴を履いたシンデレラ 投稿者:とっちゃん(こと)

洞吹さん、こんばんわ〜。

運転ありがとうございました。後部座席で、らくちんさせてもらってありがたかったです。

車の中では、矢問さんと三人会話がはずんで楽しかったですね。うるさかった?

> タイトルが「貝月山・・・登山靴を履いたシン」まで見えていたから、
> 「そうかー、ついにシンドバットが登山靴を履いたのかー」と思っていたら、
> シンデレラやったがな。

「シン」で思い出すのは、シンドバットか〜。そういえば、シンドバットの冒険って、子供の頃本読んだなぁ〜。

>> 遠めがねを用意しとかな。

オッケ〜。今度は、そのスタイルでいきましょか。

> ワシ、もう、スノーシューでリフトには乗りません。

そんなこといわんと、今度は、アクロバットでがんばってね。

洞吹さん、奥美濃の山でどこの山が好き?どこの山のどんなコースがお気に入りに入ってるの?

洞吹さんは、隠れたいい場所いっぱい知ってるようだし、また、ご教授くださいね〜(*^_^*)

2006/02/16(Thu) 22:01:08  [No.1751]


とっちゃん、こんばんは。
シンデレラは12時過ぎたらただの娘になってしまうけど、とっちゃんは山から下りても
とっちゃんのままやねー。(あれ、初めから一緒やん^_^;)
洞吹さん、矢問さんをお供に従えてのドライブ、さぞエッヘンだったことでしょう(^_-)

> 今日は、骨折以降初めて登山靴を履いた日だった。ただでさえ、気遣っていた左足だったので、内心、どうしようと思ったが一日中鈍い痛みが続いたがなんとかなった。

そんなことがあったのか。大丈夫でしたか。それにしてもみんなやってますねー(^_^;)

> 幸いにも、今日はこのチームでは一番ヘビー級の矢問さんが、望むと望まないに関わらず、おのずと圧縮隊長となってくださり、その後を歩けば少しは歩きやすいのではないかと思った。

「圧縮隊長」とはうまいね。Yさん(ご主人)がいたらさらに圧縮できてたかも・・・

>北の地方では、登山道はどこでもこんなに広いのかとその時思った。

そんなはずないでしょ。

> アンテナの立つ頂上は風情を欠いたが、北の山並みが雲に隠れているのがいかにも残念ではあるが、遮るもののない山頂の展望は申し分なく嬉しいものだった。

無雪期なら味気ない山頂やけど、この時期は素晴らしいねー。
北に連綿と続く白い山並みが見られたら最高やったけどね。

> 1時間半のランチタイムも終わり下山にかかる。北尾根を、山さんトップで下る。GPSで確認済みであったが、シリセード向きの尾根を一気に下ってしまった。GPSで再度確認、一本右にふりすぎたようで、ここから登り返して隣の尾根に乗り換える。

これは失態でした。(^_^;)

> やがてスキー場の音楽が聞こえ、林道も近い。しかし、林道に降り立つところで、その段差が大きくて、どうなることかと思ったが、山さんが的確に橋につながる斜面を見つけ先行して林道に降り立った。

こういうとこでもぜんぜん気にならないのが持ち味です。(^_^)

> 貝月、その名前はどこかロマンのある呼び名である。空には煌々と月が有り、ひたひたと満ちる夜の水辺に月が映る。そして砂に潜る淡色の貝を月の光がなでるのだ。
> そんな光景が、今頃、山の頂から遥か彼方に見えるだろうか。まるで憧れを抱くように。

うーん、貝月から海を思うなんて想像もしなかった。脱帽です。m(__)m

                      山日和

2006/02/17(Fri) 21:22:38  [No.1755]


  Re: 貝月山・・・登山靴を履いたシンデレラ 投稿者:とっちゃん(こと)

やまさん、こんばんわ〜。

> シンデレラは12時過ぎたらただの娘になってしまうけど、とっちゃんは山から下りても
> とっちゃんのままやねー。(あれ、初めから一緒やん^_^;)

だだの 「娘 」 ってとこがいいじゃない。(*^_^*)

> そんなことがあったのか。大丈夫でしたか。それにしてもみんなやってますねー(^_^;)

登山靴を骨折以来始めてはく日だったので、ほんとうはドキドキものだったんだよ。
また、足くねらないかなぁ、冷えて痛まないかなぁって。プラッチック添え木を付けたら登山靴は履けないし、サポーターで保護してたら、痛まなくてよかったです。

骨折も浮腫も左足に集中してるので、心配してました。皆さんに、迷惑かけないで歩けてよかったです。

長靴を履いての始めの一歩からリハビリ登山ほんとうにお世話になりました。心から感謝しています。

> 「圧縮隊長」とはうまいね。Yさん(ご主人)がいたらさらに圧縮できてたかも・・・

ほんとだね。体調がもうひとつでご一緒できなかったYさんのだんな様も一緒だったらもっと楽しかったね。お体の調子はよくなられたかな?インフルエンザもはやってるので、みんなも気をつけないとね。

地図読みが大好きなYさんも、書き込みしてくださると、もっともっと嬉しいね。Yさ〜ん!

2006/02/17(Fri) 22:32:23  [No.1759]


とっちゃん、こんばんは(^^)
専属ドアマン+圧縮隊長の矢問です(^^)v

雪庇にひかれるシンデレラ(^^)・・・・スーッと行っちゃうと
「あっ、シンデラ〜!」となっちゃうよ。注意注意(^^)

素晴らしい景色でした。でもホントに皆さん、山の名前をご存じだ。
聞いていて「へぇ〜」「ほぉ〜」ばかりでした。
MICKEYと4年前に登って感動した金糞を「あれがそうですよ」と山日和さんに教えてもらったとき感動もひとしおでした\(^o^)/
http://homepage3.nifty.com/komachans2/yama/kanakuso.htm

またよろしくm(..)m(^^)

2006/02/17(Fri) 22:14:14  [No.1758]


  Re: 貝月山・・・登山靴を履いたシンデレラ 投稿者:とっちゃん(こと)

矢問さん、こんばんわ〜。

> 専属ドアマン+圧縮隊長の矢問です(^^)v

ほんま、どちらも、ありがとうごさいました〜。(*^_^*)

> 雪庇にひかれるシンデレラ(^^)・・・・スーッと行っちゃうと
> 「あっ、シンデラ〜!」となっちゃうよ。注意注意(^^)

あらま〜。うまいこと言うね。鈴鹿樹林の回廊の鈴鹿百人一種のおたんちんの歌、矢問さんも歌えるんじゃない?スノーシュー(=スノー衆)もそうだけど、ひらめきが素晴らしい!。素質ありそう〜。一回投稿してみてくださいね。

http://www.cty-net.ne.jp/~toyo-k/

> 素晴らしい景色でした。でもホントに皆さん、山の名前をご存じだ。
> 聞いていて「へぇ〜」「ほぉ〜」ばかりでした。

へいへいほ〜。って、矢問さんって、昔の名前は、もしかしたら与作〜?

山さん、洞吹さんは、ほんまこの山域ようしってはるからね〜。

> MICKEYと4年前に登って感動した金糞を「あれがそうですよ」と山日和さんに教えてもらったとき感動もひとしおでした\(^o^)/
> http://homepage3.nifty.com/komachans2/yama/kanakuso.htm

ほんまやね。私も雪の金糞、ええなぁ〜って思ったよ。
>
> またよろしくm(..)m(^^)

こちらこそ、また、また、よろしく〜。(*^_^*)

2006/02/17(Fri) 22:39:21  [No.1760]


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