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  三周ケ岳・・・青空にうかぶ心の頂 投稿者:とっちゃん(こと)
三周ケ岳・・・青空にうかぶ心の頂 (画像サイズ: 800×600 67kB)

何度も何度も、地図を眺めた。三周ケ岳、去年はただ心で想うことしかできなかった山だった。

歳月が巡り心から願った二度目の今年、洞吹さん・山日和さん四度目の願いの翼に一緒に乗せていただくことができ夢が叶った。大空を飛ぶ鳥のように三周の真白き頂に心は羽ばたいていった。

 週末の天気予報はずっと雨マークであった。それがいつしか曇りへと変わり前日の金曜にはお日様マークと変わる展開は、三人の願いをかなえてくれる神様のプレゼントのように思えた。

今庄の夜空に星が煌き、三周の頂を目指す意志はそれぞれの心に固く刻まれていた。
洞吹さんと、山日和さんは車で、フラットな所でしか眠れない私は一人テントでとそれぞれのスタイルで眠りについた。

さあ出発だ。まだ暗い空を見上げると天上には、北斗七星が煌々と輝いていた。そして広野ダムへと走らせる車からは、三日月が美しく明星と並んで輝いた。

空が白みはじめる頃、湖面の凍てついたダム湖に沿って三人で歩き出した。ザクザクザク、登山靴が雪を踏むその小気味よさよ。快調な出だしに心が弾んだ。

尾根の末端は崖で登れないという洞吹さんのアドバイスで、少し手前の植林の支尾根にとりついた。林道の雪とはうって変わり、植林の中の雪は、がぼがぼっと山日和さんの足をとった。体重の軽い私は、こんな時だけは少しだけ有利で、がぼり方が少ないのだ。

そのうち自然林となり、少しの辛抱で「街道ノ尾ノ道」(黒谷右岸尾根)に合流した。ここは広い気分のいい尾根で、美濃俣丸から顔を出した太陽が雪面に朝の光の筋を引いた。

ここで小休止をする。軌跡ONで出発したのに、GPSはなぜか軌跡を記録していない。不調続きのGPSに今回もまた翻弄されるのだろか。

ここからは、広く気分のいい尾根が続き、まさに街道のようなゆるゆるとした歩き易い尾根である。雪は締まっているので、ツボ足で快調に歩く。

美濃俣丸・大河内山・ロボットピーク・笹ケ峰へと続く山々の展望を愛でながらの尾根歩きに、気分は上々となる。雑木林にブナが混じりやがてブナ主体の林になると、木々を縫って歩く洞吹さんの歌う声が後方から聞こえてきた。

時々現れる幾つものヤドリギに付かれたブナの木をみると、弱ってしまわないのだろうかと心配になる。半寄生のヤドリギに養分を与えているのだ。

今は葉を落としている落葉樹を宿主とするヤドリギは、ブナとは反対に常緑で目をひくのだ。時々オレンジの実をつけている木を見ることがあるが、多くは黄色い実をつけていて、この木は雌雄異株なのだそうだ。

感じのいいブナのコバあたりで、風が吹きすさぶようになった。この先まだまだ長丁場、体を冷やしては大変とアウターを着込む。ここから先は、ずっと強い風が吹き続けるだろう。

849mのピークに登りつくと、日野山方面の展望も広がった。ここで、エネルギー補給の休憩をとる。子供みたいに、じゃんけんで好みのおはぎを選んで食べるもまた童心に帰ってうれしいものだ。

木々の梢に鳥のさえずる声が響く。アカゲラのドラミングやカラ類の歌うようなさえずりは、相手にアピールする恋を歌う声であり、まさに鳥たちにとっての春である。森の生き物たちは季節の遷ろいを、敏感にうけとっているのだ。

こんなふうに大らかに生を生きる森の生き物達の営みがうらやましくもあった。私が私らしく私を生きる。それには、何からの離脱が必要なのだろうか。

「人生は不満を言うほどは悪くない。」普通の人より倍ほど早く年を取ってしまうという病気に、体を蝕まれた人の言葉にその人の心を思った。そして同時に今あるちっぽけな自分の存在を思った。

そんな私を、ブナは包み込んでくれる。自らの傷口を塞ぐためにコブを作るという。そうして、ブナは生きているのだ。そんなブナに癒され、心を解き放すことのできる山は私にとってかけがえの無い場所である。

1025mに着くと、大展望が広がった。岩谷の向こう側には、上谷山から三国へと山並みが続き、正面にはこれから登る県境稜線がどんと控え、太陽の光に照らされた尾根が白い線となって輝いていた。

ここは、以前、山日和さんが三周ケ岳を目指し、昨年岩谷キャンプ場からラッセルして登ってきたという場所だ。まさに絶景、雪に阻まれここで時間切れとなったと聞いたが、同行の方々も満足の一日だったにちがいない。

県境尾根に向かって尾根を登りながら、一歩一歩歩く。ブナの青い影の模様と白い雪の結晶の煌く光のハーモニーが美しかった。

越美国境稜線に立ち、無言でその展望を眺める山日和さんは何を語っているのだろう。

再びブナの樹林を縫って歩けば、三周の姿がどーんと眼前に広がった。カメラを構えてシャッターを切ろうとするが、強風に体が吹き飛ばされそうで足をふんばっていても、よろよろとはよろめいた。

ここから尾根を廻りこんで、山頂へと向かうのだ。青空の蒼があまりにも美しく真っ白な雪の丸みにブナの影の描く絵に心がときめいて、足は自然に前に前にとすすんでいった。

P1144mもまた広々と白いピークである。金ケ丸谷の源頭の風景の向こうに、三周はある。そして、北を見れば白い夜叉ケ池の景色もまた心をひいた。三周へのジャンクションへと、急な登りをゆっくりステップを刻み登った。

ジャンクションに登りつけば、いっそう展望が開けた。今まで見えなかった高丸、烏帽子、そして何より心をひくのは、三周の頂上へと真っ白な雪庇の尾が続く姿だった。

山日和さんが行く。洞吹さんが続く。二人の念願の頂である。ここからは最後尾で歩こうと心に決めていた。

二人が意気揚々と歩く姿がうれしくて、そうしてその後ろ姿を見ることのできることがまた嬉しくて、白い尾根に二人の姿が点のように見えるまでその姿を目で追った。そして、感動のシャッターをきった。

ずっと遅れた私を山さんと洞吹さんが頂上直下で待っていてくれた。「一緒に頂上へ立とう。」そういってくれた言葉が優しく青空にすいこまれていく。「ありがとう。」

三人並んで立つ山頂からは、白山をはじめとしていつまでも眺めていたいほどの素晴らしい展望があった。

山頂から少し下ったところで風を避けてのランチ。雪がしまっていてスコップは歯が立たず、山さんはテーブル作りをあきらめた。あっというまに1時間余りのランチタイムが過ぎた。

男性2名女性2名のパーティがリュックを持たずに登ってこられた。途中のピークで雪洞を掘って今夜は泊まるという。そんな一夜は、どんなだろう。今掘っているという一人を加えた5人が泊まれる雪洞とはどんなふうに作るのだろう。経験のない私には興味津々である。

記念写真を写してもらい、立ち去りがたい頂上を辞してジャンクションピークへと下って行った。ジャンクションピークから夜叉に続く尾根の雪庇は大きく崩れていた。

臨機応変で対応しようと、下山コースは決まっていなかった。「P1025からは、黒谷山経由で下山したい。」と下りたかったコースを提案すると、快くお二人のOKが出た。嬉しかった。実はひそかにGPSにも、そのコースをアップロードしてきていたのだ。

P1144の次のピークを過ぎたところで、「雪洞をさっきのパーティが掘っているよ。」と洞吹さん。このあたりは泊にむくのだろうか。県境稜線と街道ノ尾との合流点手前では、男性2名女性1名の別のパーティがテントの周りに雪のブロックを積んでいた。

明日は確実に雨の天気予報、それも荒れ模様となる見込みだ。それにも関わらず山に泊まるというこの二つのパーティの方々の山好きの度合いを物語っていた。

体重差があるので、がぼり方は自ずと違う。体重の軽い私はもう少しツボ足で歩きたかったが、P1025手前から三人ともスノーシューを着けることになった。

P1025からの下りは、シリセード向きだった。しかし、スノーシューが滑るのをさまたげる。山さんは、スノーシューなのになぜかうまく滑っていく。しゃがみこんで片足に体重を乗せ、もう一方の足は浮かせる方法を偶然発見したようだ。

先週の妙理山で、スノーシューの前をストックで押さえて、お手軽にバックする妙案を思いついた洞吹さんは、スキーのようにスノーシューをすべらせる方法を試している。

三人三様で快適に尾根を下っていく。雪壁を作っていたパーティはこの尾根から登ってきたようで、スノーシューの跡が続いていた。

五葉松のように短い葉をもつ松と、赤い実の成るソヨゴの木の生えている、黒谷山手前の痩せ尾根のみスノーシューをぬいで渡った。反射板のある黒谷山の山頂からは、洞吹さん先頭で下山開始。何度もすべってはころびながらひたすら尾根を下っていった。

もうそこに夕闇がせまる林道を、満ち足りた心をもって無言で歩く三人の姿を、空から一番星が見送ってくれた。

三周ケ岳、その白い頂は、洞吹さん、山日和さんのさりげない優しさとともに忘れられない思い出として私の心に深くきざまれた。


心にきざんだ喜びは、歳月を経て、より鮮やかにより愛着を持って心によみがえってくるだろう。


2006年2月25日(土)
天気・・・晴れ
メンバー・・・山日和さん・洞吹さん、とっちゃん(こと)
コース・・・広野ダム(6:33)――街道の尾――P1025(9:56)――P1144(11:07)――ジャンクションピーク(12:07)――(12:26)三周ケ岳(13:54)――P1144(14:46)――黒谷山(17:04)――広野ダム(18:07)

2006/03/07(Tue) 23:53:18  [No.1890]


  Re: 三周ケ岳・・・青空にうかぶ心の頂 投稿者:伊勢山上住人  URL

とっちゃん(こと)さん、こんばんわ〜。

21kmもの距離の山歩きをされたのですね。
とても固定装具の取れたばかりの、リハビリ明けとは思えません。
才色兼備+驚異的な体力。スーパーウーマンですね。

> 開ききった心は無防備で、巧みな言葉で包み込まれた棘に傷つく。ブナは自らの傷口を塞ぐためにコブを作るというが、人の心の傷は何によって塞げばいいのだろうか。

とっちゃん(こと)さんの心を傷つけるやつがいるなんて、許せません。
そんなやつは、寝ている間に頭を2つ3つ殴りつけて、
忘却の彼方へブン投げちゃいましょう。
                       伊勢山上住人

2006/03/08(Wed) 21:37:57  [No.1893]


  Re: 三周ケ岳・・・青空にうかぶ心の頂 投稿者:とっちゃん(こと)

伊勢さん、こんばんわ〜。

> 21kmもの距離の山歩きをされたのですね。
> とても固定装具の取れたばかりの、リハビリ明けとは思えません。

山に入ると嬉しくて歩けることが嬉しくてついつい歩いてしまいます。


> 才色兼備+驚異的な体力。スーパーウーマンですね。

どうしよう。イメージが膨らんじゃうと出会った時にがっかりかも〜。普通のおばちゃんなんです〜。

菜食は好きなんですが。

伊勢さんの、激励のコメントになんだか心がぱ〜と楽しくなっちゃいました。(@^^)/~~~

笑顔にしてくださるコメントありがとう。

伊勢さんも、霧氷の赤ゾレ山綺麗だったでしょう。(*^_^*)

2006/03/08(Wed) 23:13:21  [No.1895]


とっちゃん(こと)さんお早うサン

伊勢路に春を呼ぶ 神戸の寝釈迦祭り開催です
北国街道は深い残雪に閉ざされてる 心は光の残雪に遊んでいますね

> 洞吹さんと、山日和さんは車で、フラットな所でしか眠れない私は一人テントでとそれぞれのスタイルで眠りについた。

広野ダム公園東屋 サンと天してた小雨降る夜 ラジオから流れるニューヨークシティータワーに旅客機が突っ込む
何を伝えてるんだ一瞬判らないこと あれから世界中から嫌なニュースが増えた
読みながらそんな思いが甦りました

> 人の心に翻弄されては、悩み泣きては生きる自分を思う時、こんなふうに大らかに生を生きる森の生き物達の営みが、うらやましくもあった。私が私らしく私を生きる。それには、何からの離脱が必要なのだろうか。

幸せだと思えば幸せだし 不幸と思えば不幸なんだろうね
そう思う心から囚われることが無くなれば 悩みから解放されるかな??
悩みからの解放がまた新しい悩みを生む 人とは難儀な生き物なのだ

> 人の心の傷は何によって塞げばいいのだろうか。
> 三周ケ岳、その白い頂は、洞吹さん、山日和さんのさりげない優しさとともに忘れられない思い出として私の心に深くきざまれた。
> 苦しいことは歳月がうすめてくれる 。そしていつしか人は痛みをわすれていく。人には忘れるという心を守るための素晴らしい能力が備わっているのだ。

ちゃんと答えを見つけてるんだ 忘却これこそ安全弁だね

> けれど心にきざんだ喜びは、歳月を経て、より鮮やかにより愛着を持って心によみがえってくるだろう。

甦りこれこそが 安全弁を錆び付かさない為の潤滑剤なのだろう
好い山友を持って幸せだよ とっちゃんは

                緑水。

2006/03/10(Fri) 08:41:08  [No.1896]


  Re: 三周ケ岳・・・青空にうかぶ心の頂 投稿者:とっちゃん(こと)

緑水さん、おはようサン。(*^_^*)

今日は朝一度職場に行きましたが、所用で時間休暇をとったので、朝にコメントしています。

> 北国街道は深い残雪に閉ざされてる 心は光の残雪に遊んでいますね

まだ、雪山に行ったことが無かった時代は、雪がこれほど心をとらえるとは思ってもいなかったです。素晴らしい喜びが、一つ増えました。

> 広野ダム公園東屋 サンと天してた小雨降る夜 ラジオから流れるニューヨークシティータワーに旅客機が突っ込む
> 何を伝えてるんだ一瞬判らないこと あれから世界中から嫌なニュースが増えた
> 読みながらそんな思いが甦りました

愛犬とのテント泊、いいですね。懐かしい思い出がいっぱいなんでしょうね。
あの事故は、ほんと悲惨でした。多くの人の大事な命がちりました。

> 幸せだと思えば幸せだし 不幸と思えば不幸なんだろうね
> そう思う心から囚われることが無くなれば 悩みから解放されるかな??
> 悩みからの解放がまた新しい悩みを生む 人とは難儀な生き物なのだ。

ほんとですね。「小さな喜びをみつけよう。そして日常の小さなことに喜べる人でありたい。」先週、オールナイト日本っていう深夜放送のディスクジョッキーの若い女性の方が言ってはるのを、聞きました。そんなふうに生きたいです。

山のレポにふさわしくないレポで恐縮しています。

でも、人生でのどんな葛藤があっても、私はやっぱり人が好きです。

> > けれど心にきざんだ喜びは、歳月を経て、より鮮やかにより愛着を持って心によみがえってくるだろう。
>
> 甦りこれこそが 安全弁を錆び付かさない為の潤滑剤なのだろう
> 好い山友を持って幸せだよ とっちゃんは

ありがとうございます。そう言っていただけてほんとうに嬉しいです。

いろんなことがありましたが、転勤するたびに新しい職場での同僚も、山の仲間にも、親友といえる人に恵まれいい人生を生きさせてもらっていると感謝しています。

どんな困難な場面でも、いつも友は心の支えでした。

緑水さん、温かなコメントありがとうございました。

山さん、洞吹さん、緑水さん達にこのフィオーラムで出会えて、奥美濃や湖北の山々、若狭の山、福井・岐阜・滋賀県境の山々など、ほとんど何も知らなかった山々の素晴らしさに出会わせてもらったことが、山歩きを豊かにしてくれました。

鈴鹿のふもとに住まいしていますが、近江という地に生まれたこともあり、福井・岐阜・三重等の県境の山々のすべてに愛着を感じます。

そして、山脈をたどっていくもっと遠くの山々にも、夢は広がっていきます。登りたい山は増えるばかりで、減りませんね〜。(*^_^*)

これからも、色々教えてくださいね。

残雪の山、いっぱいいっぱい楽しみたいです。(*^_^*)
               

2006/03/10(Fri) 09:27:22  [No.1897]


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