一括表示

 台高山脈中部にひっそりと佇む地味なピーク、弥次平峰1275mには主稜線以外に登山道がない。沢を詰める以外には東の池木屋山か南の馬ノ鞍峰からの縦走路を使うしかないが、いずれにしても日帰りでは困難。
 そこで北股川の入渓点あたりから南へ主脈へ突き上げる尾根に着目した。

【日 時】2003年10月18日(土)
【山 域】台高山脈中部 池木屋山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】単独
【コースタイム】北股林道下降点8:09---8:17北股川本流8:47---9:55台高主脈
     10:06---10:25弥次平峰11:26---12:47ホウキガ峰13:40---
     14:11池木屋山14:30---15:18千里峰15:30---16:04林道終点
     ---16:11駐車地

 初めて北股川を訪れた時に登路として使ったのがクズレ谷。この時は上部の二俣で滝を巻きついでに中間尾根へ上がってしまい、そのまま主稜線へ到達したのだった。この時に感じた意外なヤブの薄さ、というよりもほとんどヤブなしで上がることができた。ならば隣の尾根も同じような感じなのではという思いを持ち、やっと決行の時を見たのだった。

 今日は珍しく一台のクルマも入っていない。手前の支谷の堰堤前にクルマを止めて出発。
 北股川への下降点は相変わらず何の目印もなく分かりにくいが、ヤブに突っ込んで3mも進めばしっかりした道が現われ河原へと導いてくれる。
右下には北股川本流核心部のゴルジュが轟々と音を立てているが、樹林に阻まれて窺うことはできない。

 左岸から最初に出合う谷がクズレ谷。この出合からクズレ谷左岸を並走する尾根に取り付くつもりだったが、出合までに三度渡渉したところでめんどくさくなって右手の斜面に取り付いた。急だがヤブはなく、歩くのに不自由はしない。
 さて今日の昼飯はどこで食べようかと考えていると、水を汲み忘れたことに気が付いた。これはまずい。
60〜70m上がっていたがやむなく河原へ戻って仕切り直しである。

 再び急斜面を上がり直し15分ほどで尾根に乗った。予想通りの快適な尾根だ。ケモノ道かと思っていたが歩く人もいるようでテープも残されていた。
 1000m付近で南に向きを変えると傾斜は緩み、平坦と言ってもいいぐらいの広々とした尾根が続いた。
 ブナ、ミズナラ、ヒメシャラ、カエデ、下生えのない自然林は踏み跡も必要としない。いい感じだ。あまりにも予想通り過ぎて会心の笑みがこぼれる。

 再び登りが始まると、シャクナゲ混じりの岩っぽいヤセ尾根となる。
なかなか変化があり面白い。もう稜線まで標高差100mあまり。ずいぶん仕事が早い。急坂を登り切ったところで稜線かと思ったが、もう一段上があった。
しかし残りはわずか。程なく台高主脈に立つ。
北股川から1時間余りで着いてしまった。近いからいいと言うわけではないが、これは主脈へ到達する最短ルートではないだろうか。

 稜線を吹き抜ける風は冷たく、半袖で汗だくになっていた体が冷える。
上着を着込み弥次平峰へと向かう。やはり主脈縦走路はいい。
下のほうではまだまだという感じだった木々の色付きも、この高さまで上がると鮮やかな黄や赤に衣替えを始めている。最盛期にはまだもう少し早いようだ。

 さしたる登りもなく弥次平峰に到着。台高の奥深いピークに登るにしてはいささかあっけなかった。頂上は広くはないが東西に長細く、樹林に覆われ展望はない。しかし台高らしい落ち着いたいい山頂だ。
山名板の類もほとんどなく清々しい。
 ゆっくり過ごしたいが、昼飯とするにはあまりに早過ぎる。南斜面の陽だまりが心地良く昼寝をしてしまい、気が付けば1時間も経ってしまった。干していたシャツもすっかり乾いていた。

 先の方がはるかに長い。急いで支度をして池木屋山へ向かう。大黒尾根と呼ばれる池木屋山への稜線は、南側の大和谷側は急激に落ち込み近寄るのも恐いぐらいだが、北股川側は比較的優しい表情を見せている。大和谷越しに国見山1283mが魅力的な姿で望まれる。ぜひとも登りたい山のひとつだが、最近できたらしい登山道の往復では面白くないだろう。
 大台ヶ原の連嶺は同じような高さのピークが連なるせいか特徴に乏しく、主峰日出ヶ岳といえどもあまり目立たない。

その2へ続く




--------------------------------------------------------------------------------

54. 【台高】クズレ谷左岸尾根から弥次平峰、池木屋山 その2
 2003年10月19日 日曜日 22時38分 山日和

 P1258の手前で尾根なりに歩いているつもりがふと左を見るとそちらにも稜線があった。間に谷が食い込んできている。南へ伸びる支尾根に入りかけていた。ボーッとしていなければ間違う心配はないのだが。(ボーッとしていたということか・・・)

 痩せたり広がったりしながら原生の森の稜線歩きが続く。
昼飯はホウキガ峰にしよう。
 細かいアップダウンはあるものの明瞭な道が付けられた快適な尾根だ。
 
 ゆったりとした尾根が続きだすと明るいホウキガ峰の頂上に到着した。
いつもよりちょっと遅い昼飯だ。陽光を一杯に浴びて腰を降ろす。
 このピークは台高の数ある山頂の中でも木ノ実ヤ塚、野江股ノ頭(江股ノ頭)と並んで最も雰囲気のある場所だろう。
 弥次平峰では携帯も電波全開だったが、ここでは圏外。少しの差でずいぶん違うものだ。
 
 北股川乗越まで一旦下って池木屋山へ最後の登りが待っている。
前回北股川遡行の折りに詰め上がった乗越のあたりも非常にいい雰囲気。源頭の樹林も素晴らしい。
 ここからの登りはまさに庭園を行くが如く。150m近い登り返しもまったく苦にならない。
 
 最近は人気の池木屋山もこの時間になれば人もいないだろう。
山頂には例によって目障りな山名板が鈴なりだ。ここでしばしお掃除タイム。
昨年以前のものがないのは誰かがたまに掃除しているのだろう。掃除中に池の方から一人上がってきてそのまま宮ノ谷へ下りていった。
 私が持っている33年前のガイドブックにはこう書かれている。「・・・ここまで足をのばす人は少なく、まれに縦走者が訪れる程度で、まして池木屋山だけを目指す人は地元の岳人以外にはないようである。」この記述がウソのような昨今の賑わいである。

 ここで考えた。入之波温泉五色湯の入浴は5時まで。駐車地から温泉まで30分はかかる。4時半までに下りるためには2時間で下りをこなさなければならない。まあやるだけやってみるか。明神平への縦走路へ踏み出した。
 池木屋山の名前の起こりとなった池は水もなく、ただのヌタ場といった状態だった。ここへ来るのは4回目だが、池らしい姿をまだ見たことがない。

 相変わらず台高主脈らしい好ましい稜線を霧降山、奥ノ平峰と越えていく。
霧降山からは古い伐採跡で東方面の大展望が開けた。
迷岳の雄姿もなかなかのものだが、古ヶ丸山から白倉山への稜線上の大ギャップがひときわ目を引く。今度はあそこやな。
 奥ノ平峰から東へ伸びる尾根に登山道の標識が見えた。分岐には何も書いてないのだが、高滝のあたりへ出られるのかもしれない。

 疎林の中に岩を配した日本庭園風の千里峰頂上手前に真新しい「北股林道」と書かれた標識があった。一昨年はなかったものだ。
南西へ伸びる尾根はテープベタ張りで迷いようがない。なのに前回はいつしかテープがなくなり、林道終点へ出るはずが北股川本流へ下りてしまった。どこで見失ったのか。
 疎林の中をぐんぐん下る。注意深く尾根の右よりを歩いていると、1000m付近で折り返すように右斜面へテープが続いている。ここで間違えたようだ。
一昨年はここを直進して尾根の末端まで下りたのだ。

 あまりはっきりしないグズグズの斜面の踏み跡をたどると、鬱陶しい伐採地の中を進むようになった。これはルートとしては面白くない。前回は間違って正解だったかも。
 道が分かりにくくなってからテープが少なくなった。最後は飯場跡のような所を抜けて新しい堰堤が連続する林道終点へ到着。分岐から35分だった。
これなら余裕だ。

 車に戻り4時20分に温泉へ向けてスタート。十分間に合う。
と、前方に来る時にはなかった落石が道をふさいでいる。幸い大きなヤツはひとつだけ。なんとか脇へ転がして道路工事完了。
 さあ、急げ。と、今度は木材を満載した無人のトラックが止まっている。
横にいた運転手が気付いて100mほど狭い林道をバックしてよけてくれた。
もうギリギリだ。
 ガンガン飛ばして五色湯到着。5時5分前。やれやれ間に合った。
お風呂セットを肩にフロントへ行くと申し訳なさそうな係員の顔。
「受付けは4時半まででございます。」ガーン。
いつから変わったんや。最後まで楽しませてくれた台高の一日が終った。

               山日和




--------------------------------------------------------------------------------

57. Re2:【台高】クズレ谷左岸尾根から弥次平峰、池木屋山 その2
 2003年10月20日 月曜日 20時50分 jin

山日和さん こんばんは

 ご無沙汰しています。
北股川という懐かしい響きに思わず引き込まれてしまいました。
まだ山登りをしてなかった昔、魚止滝辺りまで良く釣りに行ったのを
思い出します。
落石が怖くかなり手前で車を止め1〜2時間も林道歩きをしたのが
懐かしいです。

数年前の5月、久しぶりに林道を奥まで詰め、あわよくば山に
登ろうとしたのですが、その先の藪がきつく逃げ帰りました。
その時、放置されたトラックに痩せた犬が住んでいて威嚇されて
怖い目をしました。
もう今はその犬もいないでしょうね。

あのとき眺めた稜線に続くそれぞれの尾根はなかなか
そそられるものがありました。

谷名に疎いので何処から登られたかわかりませんが
山行記を拝見して、また行ってみたくなりました。
                  Jin




--------------------------------------------------------------------------------

61. Re3:【台高】クズレ谷左岸尾根から弥次平峰、池木屋山 その2
 2003年10月20日 月曜日 23時52分 山日和

 Jinさん、お久し振りです。形態が変わってから初登場ですね。

>まだ山登りをしてなかった昔、魚止滝辺りまで良く釣りに行ったのを
>思い出します。

 そうなんですか。いつ頃のことでしょう。

>落石が怖くかなり手前で車を止め1〜2時間も林道歩きをしたのが
>懐かしいです。

 私も落石に見舞われました。(^_^;)

>あのとき眺めた稜線に続くそれぞれの尾根はなかなか
>そそられるものがありました。

 林道の奥からだと標高差は4〜500m、台高の奥深い山稜も近く感じますね。

>谷名に疎いので何処から登られたかわかりませんが
>山行記を拝見して、また行ってみたくなりました。

 地形図で林道が本流から離れて支谷へ上がっていくカーブの曲り鼻が下降点です。ちょうど755mの標高点の上を横切って次に右から入るのがクズレ谷です。
ぜひ行ってみてください。本流も難しい所はなくいいですよ。

 ではまた紅葉燃える稜線で・・・・

             山日和




--------------------------------------------------------------------------------

65. Re4:【台高】クズレ谷左岸尾根から弥次平峰、池木屋山 その2
 2003年10月22日 水曜日 20時42分 jin

 山日和さんこんばんは

> そうなんですか。いつ頃のことでしょう。

 もう ン十年になるかと思います。
そのころ林道入口の人家には人が住んでいた記憶があります。

数年前に林道を歩いた時、釣りはフライが全盛のようでした。


>ぜひ行ってみてください。本流も難しい所はなくいいですよ。

 ありがとうございます。機会を見て行ってみます。

             Jin



--------------------------------------------------------------------------------

58. Re:【台高】クズレ谷左岸尾根から弥次平峰、池木屋山
 2003年10月20日 月曜日 22時45分 柳川洞吹

山日和さん こんばんは

またまた山日和さんお得意の台高、新ルート開拓ですか。

> ブナ、ミズナラ、ヒメシャラ、カエデ、下生えのない自然林は踏み跡も必要としない。いい感じだ。あまりにも予想通り過ぎて会心の笑みがこぼれる。

レポートからも、いい雰囲気が漂ってきますね。

>北股川から1時間余りで着いてしまった。近いからいいと言うわけではないが、これは主脈へ到達する最短ルートではないだろうか。
76へえ。

北股川流域へは、まだ一度も行ったことがないのです。
13へえ。
どうもこっちのほうは、なじみがないせいか、
遠いような感じがして。
仕事終わってからだと、
ハンドルあんまり回さずに、信号なしで1時間程で行ける、
鈴鹿へ足が向いてしまいます。
特に五新国道なんか、
ハンドル回すのめんどくさくなってくるものなあ。
クネクネ。

よい山旅を!
                 洞吹(どうすい)




--------------------------------------------------------------------------------

62. Re2:【台高】クズレ谷左岸尾根から弥次平峰、池木屋山
 2003年10月20日 月曜日 23時52分 山日和

 洞吹さん、どうもです。

>またまた山日和さんお得意の台高、新ルート開拓ですか。

 昨秋からの台高シリーズ。今年も行きますよ。
鈴鹿もいいですが、やはり奥深さが違いますね。その谷の険しさゆえに
峠越えの道が発達せず、林道が奥まで通るまでは原始の森ばかりだったの
でしょう。里山の匂いがしないですね。(伐採は目立ちますが)

>どうもこっちのほうは、なじみがないせいか、
>遠いような感じがして。
>仕事終わってからだと、
>ハンドルあんまり回さずに、信号なしで1時間程で行ける、
>鈴鹿へ足が向いてしまいます。

 明神谷や釜之公谷、黒倉又谷へ行ったじゃないですか。
東ノ川へ行った時の大台ヶ原から坂本ダム上流への大回送なんて日付変更線越え
でしたよね。まだ老け込むのは早いですよ。(^_^;)
 三重県側の鈴鹿へ行くよりは早いと思いますが。

 ではまた黄葉のブナ林で・・・・

             山日和

2006/03/18(Sat) 08:50:21  [No.1973]


掲示板に戻る