一括表示

昨年に続いてのGWの上小池入り。今年の願教寺山は最高の笑顔で迎えてくれた。

【日 時】2005年5月3日(火)
【山 域】白山南部
【天 候】快晴
【メンバー】単独
【コース】上小池5:57---6:32刈込池6:44---7:17西尾根取付き---9:54願教寺山10:36---
     12:07石徹白道---12:24銚子ヶ峰13:34---14:15下降点---15:08幅ヶ平15:45---
     16:42上小池

上小池の駐車場には車が1台だけ。今年は出足が遅いのか。
林道との合流で下小池から歩いてきた刈込池へ写真を撮りに行くという人に会う。
打波川にかかる橋を渡ると急な階段が続く。段差が大きく一歩一歩がエネルギーを消費する。
朝一番のこの登りはきつい。
やがて幅ヶ平の雪原に飛び出した。今日のルートはここから北へ向かい、1155標高点の脇を抜けて
願教寺山から西へ急激に高度を落とす急峻な尾根に取り付くというものだ。
一年前、山頂で会った登山者がそのルートから上がったと聞き、次はここからだと思い定めていた。

ブナを主体とした疎林の林床を一面の雪が覆い尽くす幅ヶ平の春は素晴らしい。ルート取りは自由
自在だが、まずは刈込池に挨拶していこう。三ノ峰の右肩から射す朝日がまだ凍結している湖面に
キラキラと反射して眩しい。今日は極上の登山日和だ。

刈込池から浅い谷をP1143の東のコルを越えて反対側の谷へ出ると、池側とはまた違った
林相の台地が広がった。トチやカツラが主体のこの林は池側のブナ林とは違う印象。びっくりする
ような巨木も点在している。
1155標高点を過ぎると正面に目指す尾根の末端が現われた。願教寺山西尾根。
地形図を見れば一目瞭然、等高線の詰まり方は半端ではない。それでも出だしはブナの並ぶいい
雰囲気の緩い尾根だった。しかしその印象も束の間、強烈な傾斜と潅木の激ヤブが立ちはだかった。
まるで手で登っているような腕力勝負のヤブこぎ。重力に逆らって体を引き上げることがいかに困
難か思い知らされる。続いて今度はネマガリダケの密生。
登ろうとする者を追い落とすかのように複雑に入り組んだヤブはすき間を探すのもひと苦労だ。
予想に反してこの尾根には雪はまったくない。かえってそれがよかったかもしれない。
ここに雪が付いていたら雪壁の連続でロープなしでは通過できなかっただろう。

もう標高1500mだというのにこの尾根上には未だに雪のかけらもない。いい加減ヤブこぎにも疲れ
た頃、ふと目を遣った左側斜面に雪面が広がっていた。
かなり傾斜は強そうだが、抵抗なしに進めるだけましだろう。下向きのネマガリを掴んでのトラバ
ースで雪面に到達。ここでアイゼンを装着、ストックもピッケルに持ち替えた。
足元を見るとはるか下に幅ヶ平の雪原が見えるが、少し下はあまりの急傾斜のため斜面が消えてい
る。ここで滑落したら幅ヶ平まで一直線、「振出しに戻る」である。
アイゼンが雪面を捉える。おお、快適。さっきまでの苦闘がウソのように着実に高度を上げていく。
一歩進めばそれだけ高度が上がるということがこんなにありがたいとは。

雪の尽きたところで再び笹ヤブに頭から突っ込むと、願教寺山南面の大崩壊地の上端へ飛び出した。
展望が一気に開ける。石徹白をめぐる山々はだいぶ黒い部分が目立ってきたが、赤兎、大長方面は
まだまだ白い。
願教寺山頂へササと雪の境界線を辿る。まさか頂上はヤブの中では、と思ったが、見慣れた雪の
ドームが現われてひと安心。視界ゼロの昨年とは打って変わって360度、遮る物のないパノラマが展
開する。しかし感激そのものは去年よりも薄い。
あまりのヤブこぎに雪山を登った実感が少ないせいか。
兎にも角にも大本山願教寺の年参りは滞りなく完了である。

さて、これからどうするか。当初は白山石徹白道へ出て、三ノ峰を回って下るつもりだったが、こ
の登りでいささか消耗してしまった。予定よりも時間もかかっている。
とりあえず笠羽谷源頭の大雪原へ行って、懸案の貫節桧木(つなぎふしのひのき)を見つけよう。

雪稜を下りにかかるとうっすらとトレースが残っている。2日前の洞吹氏のものに違いない。
願教寺山からの稜線はこの時期はいつもながらヤブが部分的に露出している。
雪を繋ぎながらCa1650mピークまでくるとやっと完全な雪尾根となった。振り返ると石徹白側の斜面
から4人のパーティーが今しも稜線に達しようとしている。ストックを振って挨拶したが気が付かな
いようだ。

超幅広の雪尾根を真夏のような日差しと雪面からの照り返しを浴びて、悠然と歩いて行く。右手に
広がる石徹白川源流、笠羽谷、牛ヶ谷源頭の緩やかな雪斜面は、まさに広大としか言いようがない。
心がジワジワと開放されるのを感じる。

貫節桧木はどこだろう。カサバノ谷側の崖に沿って進んだがそれらしいものは見当たらない。
すぐ近くで水の流れる音がした。気のせいか。いや、尾根のすぐ脇に谷が上がってきているようだ。
水音が間近になった。見ると雪の窪みの先、尾根からわずか5mぐらいの所から水流が始まっていた。
標高1600m近い稜線上と言ってもいい場所に水が流れている。なにか不思議な感じがした。

ここまで来たら銚子ヶ峰まで足を延ばすか。白山石徹白道直下の大斜面に取り付く。
稜線まであと少しというところで長靴を履いた単独の登山者と会った。大杉登山口からで、願教寺
山まで行くと言う。大杉林道はやはり中居神社の少し先で通行止めらしいが、バイクなので登山口
まで入れたらしい。

石徹白道に出た。今までこの稜線に閉ざされていた視界が開け、別山から日照岳に続く別山東尾根
が長く尾を引いている。
稜線の東側にはすさまじい雪庇が発達していたことを窺わせる雪槐が残っている。
稜線上は概ね雪が融け、登山道が出ていた。ちらほら咲くショウジョウバカマに慰められながら、
銚子ヶ峰への緩やかなアップダウンをこなす。
眼下の尾上郷川源流部には魅力的な平、尾上郷平とでも名付けたいような雪原が広がっ
ていた。

銚子ヶ峰山頂。石徹白川をめぐる山々の展望が一気に開けた。南へ延びる稜線の先には丸山、芦倉
山、大日ヶ岳と続く。
石徹白川対岸には野伏、薙刀、日岸、願教寺。
実はひとつ手前のピークでも十分かなと思っていたが、ここまで来てよかった。
さすがにこのあたりではメジャーな山だけあって、林道通行止めにも拘らず何人かの登山者が上が
ってきた。毎年この時期にここへ来ると言う人も、今年は特に雪が多いと言っていた。

稜線のジャンクションピークから一気に滑り降りる。恐いくらいのスピードにコントロールが利か
ず、雪面から突き出た木に突っ込んだ。腕とヒザに名誉の負傷を負う。
笠羽谷源頭から張り出した尾根に緑の蟠りがあった。ひょっとしてあれがそうかも。
雪原を走るようにそこへ向かう。やはりそうだった。
貫節桧木(つなぎふしのひのき)。増永迪夫先生の本で目にしてからずっと気になっていた。横方向
に絡まりあうように複雑に伸びた背の低いヒノキのかたまり。それはまるでハイマツのようでもあ
る。(YABLOGに画像がありますので見て下さい)

満足感を胸に下山にかかる。先刻の水場を過ぎてしばらくのところから幅ヶ平への小谷を下る。
ここには赤い布テープがありよい目印になる。ここにも洞吹氏のものと思われる足跡が残っていた。
カサバノ谷支流の源頭部にあたるこの谷は緩やかに県境稜線へ到達しており、毛細血管のように四
方八方に延びる小谷には素晴らしいとしか言いようのないブナ林が展開する。
まさに桃源郷である。白い雪面、真っ青な空、そしてすっくと立ち上がるブナ達の黒いシルエット。
まさに至福の空間と言えよう。

ここから幅ヶ平に至るルートは非常に複雑である。今歩いている谷を含めてすべての谷はカサバノ
谷へ落ちているのでそのまま谷沿いに下ることはできない。激しいヤブが露出した小尾根をいくつ
も横切って、やっと幅ヶ平へ流れる沢に出た。
再びの刈込池。今日も何人かが訪れたのだろうが、今はもう人影もない。
朝とは逆の光に照らされた三ノ峰が静かに池を見下ろしていた。

                       山日和

2005/05/07(Sat) 20:13:09  [No.198]


山日和さん こんばんは

> 上小池の駐車場には車が1台だけ。今年は出足が遅いのか。

たった1台とは、GWらしくないですね。

> 1155標高点を過ぎると正面に目指す尾根の末端が現われた。願教寺山西尾根。
> 地形図を見れば一目瞭然、等高線の詰まり方は半端ではない。

山日和さん、去年、ここを登った人の話をしていたから、
そのうちここを登るんだろうなと思ってましたよ。
こんなとこ登るんですか……っていう感じなんだけどね。
やっぱりヤブが手ごわいんですね。

> 兎にも角にも大本山願教寺の年参りは滞りなく完了である。

お疲れさまです。

> さて、これからどうするか。当初は白山石徹白道へ出て、三ノ峰を回って下るつもりだったが、

ワシが県境稜線でテントを張った時には、
二ノ峰から打波谷の頭へと続く大雪壁は真っ白にそびえ立っていましたが、
その翌日、大日ヶ岳からここを遠望したら、
大雪壁は前夜の雨で全層雪崩を起こして、崩壊消失していましたね。

> 雪稜を下りにかかるとうっすらとトレースが残っている。2日前の洞吹氏のものに違いない。

これは違いますね。
ワシは今回ここまで来ていませんから。
3日前の願教寺組2パーティのものでしょう。

> 超幅広の雪尾根を真夏のような日差しと雪面からの照り返しを浴びて、悠然と歩いて行く。右手に
> 広がる石徹白川源流、笠羽谷、牛ヶ谷源頭の緩やかな雪斜面は、まさに広大としか言いようがない。
> 心がジワジワと開放されるのを感じる。

ワシの幕営地あたりですね。
ここでテント張ってるだけでもいいものですよ。

> 稜線の東側にはすさまじい雪庇が発達していたことを窺わせる雪槐が残っている。

ここの雪庇痕は、いつもすごいんですよ。

> 貫節桧木(つなぎふしのひのき)。増永迪夫先生の本で目にしてからずっと気になっていた。横方向
> に絡まりあうように複雑に伸びた背の低いヒノキのかたまり。それはまるでハイマツのようでもある。

ついに見つけましたね、貫節の桧木。
ワシはいいかげんにしか探索していなかったから、
いまだ見ることができません。
こんどは真剣に探そうっと。

> ここには赤い布テープがありよい目印になる。ここにも洞吹氏のものと思われる足跡が残っていた。

このあたり歩き回っていますので、これはそうでしょう。
前回にはなかった赤テープが付いていましたね。
ワシは、ここの少し西にある七本栂を目印にして下降しますが。

> 四方八方に延びる小谷には素晴らしいとしか言いようのないブナ林が展開する。
> まさに桃源郷である。白い雪面、真っ青な空、そしてすっくと立ち上がるブナ達の黒いシルエット。
> まさに至福の空間と言えよう。

ほんとにここは桃源郷の空間ですね。大好きです。

> ここから幅ヶ平に至るルートは非常に複雑である。今歩いている谷を含めてすべての谷はカサバノ
> 谷へ落ちているのでそのまま谷沿いに下ることはできない。激しいヤブが露出した小尾根をいくつ
> も横切って、やっと幅ヶ平へ流れる沢に出た。

桃源郷の先の中間尾根のヤブは仕方ないですが、
それより下方は、ほとんどヤブこぎのないルートを見つけてありますよ。

> 再びの刈込池。今日も何人かが訪れたのだろうが、今はもう人影もない。

ここでテントを張るだけでも、満足できますね。
ほんとに、いいところです。

よい山旅を!
                       洞吹(どうすい)

2005/05/08(Sun) 00:29:05  [No.201]


洞吹さん、おばんです。
幅ヶ平から稜線へのヤブなしルート。研究の余地ありです。
昨年はカサバノ谷へ落ちる右よりの谷をかなり下りてからトラバースしました。
今年は左、左と取りましたが、3回ヤブ尾根を突っ切りました。
トレースがあったのですが、途中でわざと外して歩きました。

ここへ来ると温泉が課題ですね。鳩ヶ湯が営業している時間に下りてくるはずもないし。
六呂師まで上がるのもなんだし、みらくる亭はちょっと遠いし。結局あっ宝んどでただの
お湯に浸かるしかないようです。

ではまた新緑滴る沢で・・・・

                  山日和

2005/05/08(Sun) 18:10:04  [No.204]


掲示板に戻る