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【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ
 2003年11月12日 水曜日 00時49分 山日和

 台高でも有数のブナ林を誇る木ノ実ヤ塚。通常は稜線まで伸びた麦谷
林道から薊岳への往復というお手軽コースの通過点に過ぎない。
登山者の影も少ない中奥川上流柴尾川からの半左衛門尾と名付けられた
木ノ実ヤ塚への直登ルートから源流部を一周し、廃道となっている瀬戸
越の旧道を辿ろうと試みた。

【日 時】2003年11月9日(日)
【山 域】台高山脈北部 薊岳、明神岳周辺
【天 候】曇り時々雨
【メンバー】単独
【コースタイム】中奥林道7:40---9:30木ノ実ヤ塚9:55---10:15薊岳10:30---
         11:25三ツ塚分岐12:25---12:55笹ヶ峰13:05---14:00尾根を
         外れる14:10---15:15駐車地

 快晴の昨日は家用があり残念ながら晴れた空を恨めしく見上げた。
天気予報は下り坂だがじっとしてはいられない。林道終点手前まで進ん
で車中泊。月が明るい。なんとか天気が持ってくれることを祈る。

 目覚めると空は一面の雲に覆われていた。朝食後、取り付きを探りに
行く。
中奥川が南から西へ大きく方向を変える地点が赤倉谷出合。ここから二
つ目の右岸からの支流に白いガードレール付きの橋が架かっている。
橋の北側に「銃猟禁止区域」の赤い看板があった。ここが半左衛門尾の
取り付きである。

 ブッシュの斜面を少し上がるとはっきりした踏み跡があった。林道か
ら見えていた大きな岩場を右から巻き上がると古い伐採地に出た。ここ
へ来るための仕事道のようだ。
 ここから先も比較的しっかりした踏み跡が続いた。
やがてあたりは自然林に変わり、Ca970mあたりのやせた尾根で「大」休止。
右からはいい感じ広い谷が上がってきているが、地形図を見ると下の方
では谷の形を成していない。ここから急登が始まる。
 目の前に現われた岩稜帯は右の基部をトラバース。さらに右から大き
く回り込むように急斜面を這い上がる。
二本の足だけでは厳しい登りが続いた。

 標高差150m程の我慢でやっと傾斜が緩んだ。
前方の木の間越に木ノ実ヤ塚のドーム形のピークが望まれる。ここから
林床は背の低い笹に覆われ、やや細い木が多いが一面のブナ林が広がっ
た。ほぼブナの純林と言ってもいいだろう。
薊岳との鞍部から木ノ実ヤ塚南方の二階岳にかけて素晴らしいブナ林が
展開している。
以前洞吹氏と中奥川源流半左衛門谷の四郎兵衛谷を遡行した時からこの
ブナ林には着目していた。あの谷は滝と呼べるものはほとんどないが、
源頭に広がる新緑のブナ林が印象的だった。

 木ノ実ヤ塚山頂。天気は辛うじて持っているといった感じである。
風が出てきた。
葉の繁った時期は展望皆無の山頂だが、すっかり落葉した今は薊から明
神、奥ノ迷峰に続く稜線を望むことができる。
ここでは人に会うだろうと思っていたが誰もいない。
と、薊方面から単独者が現われ麦谷林道方面に足早に去って行った。
往復組だろうがもう下山してしまうのか。
 写真を撮っているとまたひとり、同じく薊岳への道から登場した。
挨拶を交わすとなんと私が上がってきた尾根の方へ下りていった。少し
様子を見ていたが引き返す気配もない。大声で呼び止めた。
「こっちは麦谷林道じゃないんですか?」と返事が返る。
やっぱり。「そっちへ下りたらえらい目に遭いますよ。」とアドバイス。
自分が登ってきた道が分からなかったようだ。

その2へ続く






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116. 【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ その2
 2003年11月12日 水曜日 00時59分 山日和

 薊岳へは一旦大きく下る。相変わらずブナの森は続いている。
四郎兵衛谷源頭のコルは非常にいい雰囲気だ。ここから薊岳へはやせた
尾根をたどり、潅木帯を急登すると明神平への尾根に飛び出す。
左へ10mで薊岳山頂である。
人気の山頂も今日は無人。みんな天気の良かった昨日登ってしまったの
か。
 先ほどまで居た木ノ実ヤ塚がガスの中から浮かび上がり、墨絵のよう
なドーム状のラインを見せている。その遥か奥に横たわるのは大台ヶ原
だろう。
反対側の大又川はすでにガスに埋め尽くされ何も見えない。
 ここへ来るまでに気持ちは元来た道を引き返す方へ傾いていた。ウキ
ウキと縦走路を辿り、未知のバリハイルートを探る気を起させる空の色
ではないのだ。

 しかし体は勝手に明神平の方へ向っていた。
この尾根がまた素晴らしい。ブナやヒメシャラ、カエデを主体とした美
しい森の中、緩やかなアップダウンを繰り返して行く。
 途中右から地形図に現われない浅い谷が入り、二重山稜状になったあ
たりは特に美しく、お気に入りの場所だ。

 とうとう降り始めた。とは言えポツポツと着衣を湿らせる程度の小雨。
雨具を着るのも鬱陶しい。今日は折りたたみのカサを持ってきた。
片手が塞がっていても何の不自由もなく、風もない樹林帯の道はカサが
よく似合う。
 今日3人目の単独者とすれ違った。
こんな陰鬱な日に山へ来るのはやはり独り者だけか。
(独身という意味ではない。念のため。)

 明神平への下り口、前山を過ぎ三ツ塚分岐でランチタイムとする。
ひと月まえなら木の下で雨宿りできたのだが、今は雨粒もダイレクトに
頭を濡らす。カサをさしたまま昼飯の準備。
まずはビール。続いてうどん鍋。仕上げにコーヒー。
こんな天気でもパターンは同じである。
 3人パーティーが明神岳方面からトラバース道を明神平へ向って行った。
こちらには気が付かない様子だった。
 
 さて、これからどうするか。明神岳へ少し進んだ地点から南の団子谷
下りると傾斜はかなり急だが悪場もなく林道終点へ出ることができる。
前回はここを下りたのだが、迷う心とは裏腹にまたもや足はズンズンと
池木屋山方面へ向いていた。

 このあたりから笹ヶ峰へかけての稜線は台高縦走路中の白眉と言える
だろう。ガスの中にぼんやりと浮かぶブナの群れ。
幻想的な風景は晴れた日のそれよりも強く心に印象付けられる。

 笹ヶ峰というのは1367mのピークを含む一帯の総称らしい。標識の付け
られた山頂は1367m標高点のひとつ北のピークなのだが、標識には判で押
したように1367mと書かれていた。
本当の1367mピークから東へ伸びる尾根に踏み跡がありテープが続いていた。
これは千石谷へ下りるルートなのだろうか。

その3へ続く




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117. 【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ その3
 2003年11月12日 水曜日 00時59分 山日和

 そろそろ瀬戸越にかかる頃。地形図では次のピークの南端を破線が
横切っているが、道はすでにないだろう。
 ここだと思われたピークから西へ伸びる尾根は地形図では広々と緩
やかに下っているが、実際はヤセ尾根の急降下だ。
最初はここは違うと思い次のピークまで行ったが、東に顕著な尾根が
派生しているのを確認、これは行き過ぎだということで元のピークへ
戻ったのだった。

 下り始めてすぐに古いテープがあった。なんとなくホッとする。
この瀬戸越の旧道に関する資料にお目にかかった事がないのだ。やは
り歩く人がいる(いた)のか。
 ガスで視界がまったく利かないので地図とコンパスで方向を常に確
認しながらの計器飛行(歩行?)である。
 気分よく歩いていると前方がスッパリ切れている。木が繁っている
ので分かりにくいが、かなりの岩壁になっているようだ。
「またか。」コンパスを振ると北西に向いている。少し戻った所にテ
ープがあり、左斜面の先に尾根が伸びていた。「セーフや。」

 ここから明瞭な尾根を進む。Ca1150mあたりでトリプル巻きのテープ
があった。左下にももうひとつ。しかしそこから下の斜面には何も見
えない。ここは折り返すように山腹をトラバースして行き小尾根に突
き当たる手前で右に下りると植林の中に入る。そこからは杣道が続いた。
このあたりは地形図の破線とは違う所を通っている。
 
 一部はっきりしない所もあるがさほど苦もなく谷口谷の河原へ下り
立った。右岸に飯場跡があり、対岸に目を凝らすと踏み跡のようなも
のが見えた。細い流れを渡って斜面を上がると、あった。
「これで楽勝やな。」林道まで1キロ足らず。現役の杣道なら20分ほど
でフィナーレを迎えられるだろう。ところがどっこい、ここからが本日
の核心部だった。
 もし道が無ければ谷沿いにでも下りられるだろうと思っていたが、杣
道は谷筋から大きく離れていき眼下はゴルジュと滝の連続である。
肝心の杣道もすでに役目を終えたもののようで、時には崩れ、時にはブ
ッシュに埋もれ、スラブ状の下りあり、右の足元は切れ落ちているが道
幅は20センチばかり。しかも足場は不安定。
そんな下りが延々と続き、神経消耗戦を強いられる。

 やっと右前方が明るくなった。本流出合である。
合流点の立ち木に久々の赤テープが巻いてあった。上部の尾根筋を歩い
ている時は、「ここを登路にしても面白いな。」と思っていたが、あの
トラバースルートはもうゴメンである。(と言いながらまた行くかもしれ
ないが・・・)
 何にせよここをルートとして歩く篤志家がいるというのは心強い。

 天候には恵まれなかったが懸案のルートを予定通り歩くことができた。
しかし、墨絵のブナ林もまた良し。まわりが見えない分だけよけいにイ
マジネーションを掻き立てられて、却って見えないものも見えてくるの
かもしれない。

 本日は衆院選の投票日。国民としての義務を果たすべく、温泉も食事
も抜きで家路を急ぐのであった。

              山日和




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118. Re: 【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ
 2003年11月12日 水曜日 20時39分 緑水

山日和さん、こんにちは。
前日が良いお天気だっただけに少しだけ残念でした。
あの辺りのブナ林は見事ですね。

> 台高でも有数のブナ林を誇る木ノ実ヤ塚。通常は稜線まで伸びた麦谷
>林道から薊岳への往復というお手軽コースの通過点に過ぎない。

以前に同じ時期に、ショウブツ山に寄り二階岳登り口で泊まり。
次の日は超快晴に恵まれて、薊、明神、千石山を往復しました。
一面の茶色の絨毯が敷きつめられたブナの林が思い返されます。

初めての所は登りに取り、下りは勝算のあるコースを選ぶこれ 緑水の定番です。
日暮れの早い今時期は詰まったら酷い目にあいますね。
山日和さんならのコース取り真似できません。
尾根で泊まった時灯りがチラチラ見えてたのは瀬戸の集落なのでしょうか、まだ人家が有るようですね。
また後追いしたく成っています。

               緑水。
-- CMN v0.35β --




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120. Re2:【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ
 2003年11月12日 水曜日 23時38分 山日和

緑水さん、どうもです。
ほんとは私も下りに未知のルートを取りたくはないのですが、
行きたい所で周遊ルートを考えるとどうしてもこうなってし
まうんです。同じ道を往復するのはどうも性に合わなくて・・・

酷い目に遭いかけてなんとかセーフということもままあるので
慎重に行かなくては。洞吹さんによく怒られます。

ではまた初冬の山稜で・・・・

            山日和




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125. Re:【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ
 2003年11月13日 木曜日 23時47分 柳川洞吹

山日和さん こんばんは

あの日、大阪は朝から雨がパラつき、
山日和さんせっかく山へ行ったらしいのになあ、と思っていましたが、
ちゃんと計画完遂でしたね。
私なら、ツェルト張ってメシ食ったら、
さっさと寝ちまうかもしれんなあ。

なかなか面白そうなルートですね。
でも、ちょっとスリルはいいのですが、
山日和師匠のチョイ怖いは、
私どもの言葉に翻訳すると「大恐怖緊張しまくり」でありますので、
注意しないと、えらい目にあいます。
ましてや、ウソでも「二度とゴメンだ」などという言葉が
漏れるような場所ですぞ。
ねえ、矢問さん。(見てるかな?)

まあ、人助けのコース案内もされたようで、
ただ闇雲に歩き回っているだけではないようですな。
私は、あの騙されて歩き回った「中ノ水谷1泊2日果てしなき行軍」以来、
足の指にマメができて、痛いのですよ。

だから、というわけじゃないけど、
最近、私の昼の大休止は「2時間超え」です。

そろそろ台高のほうにも通ってみようっと。
下山してからメシ屋まで遠いのが難点やがなあ。

よい山旅を!
                 洞吹(どうすい)




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126. Re2:【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ
 2003年11月14日 金曜日 00時35分 山日和

洞吹さん、どうもです。

>山日和師匠のチョイ怖いは、
>私どもの言葉に翻訳すると「大恐怖緊張しまくり」でありますので、
>注意しないと、えらい目にあいます。

ウソですウソです。楽しい遊歩道のようないい道でした。

>ましてや、ウソでも「二度とゴメンだ」などという言葉が
>漏れるような場所ですぞ。

いやぁ、何度でも行きたくなる桃源郷ですね。(^_^;)

>私は、あの騙されて歩き回った「中ノ水谷1泊2日果てしなき行軍」以来、

たまには騙されるのもいいでしょう。

>最近、私の昼の大休止は「2時間超え」です。

負けました。m(__)m

>下山してからメシ屋まで遠いのが難点やがなあ。

そうですねぇ。温泉は近いがメシ屋は遠い。グッと一杯やるまでが(おっと危ない)辛いですね。

ではまた雨模様のブナ林で・・・・

               山日和




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128. Re2:【台高】中奥川源流、半左衛門尾から瀬戸越へ
 2003年11月14日 金曜日 15時28分 矢問

★ 柳川洞吹さん こんにちは(^^)

>山日和師匠のチョイ怖いは、
>私どもの言葉に翻訳すると「大恐怖緊張しまくり」でありますので、
>注意しないと、えらい目にあいます。
>ましてや、ウソでも「二度とゴメンだ」などという言葉が
>漏れるような場所ですぞ。
>ねえ、矢問さん。(見てるかな?)
きっちり見てますよ〜(^_-)
同じ事、思ってましたf^_^;ポリポリ


△▲03/11/14(金) 矢問(やとう)▲△

2006/03/18(Sat) 09:27:54  [No.1981]


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