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 天気予報にはいつも泣かされる。絶対信用しないと思っていても、
気が付けば日に何回も予報をチェックしている自分がいる。逆は往
々にしてあっても、いい方に転ぶことはほとんどなかった。
これは天気予報をはずしてくれた山の神様に感謝したい稀有な山行
の記録である。

【日 時】2004年2月22日(日)
【山 域】鈴鹿中部 イブネ、銚子ヶ口
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】ハリマオさん、柳川洞吹氏、とっちゃん、山日和 
      (クラシにてたまさん、いわなっちくんと出会う)
【コースタイム】岩ヶ谷林道入口7:28---8:38犬シデ8:55---10:45佐目峠---
11:05イブネ---11:30クラシ草原12:45---13:00銚子13:10
---14:05舟窪14:10---14:40大峠---15:35銚子ヶ口15:40---
15:50東峰16:05---16:45風越谷林道

 前日までの天気予報はまさに絶望的だった。どこへ逃げても雨から
は逃れられそうにない。へたをすれば土曜の夜から降り出して、雨中
のテント撤収も予想された。
 神崎橋で決死の石榑峠越えを敢行したハリマオさんと合流。
滋賀県側はビシビシの凍結で、文字通り死にそうだったらしい。

 季節はずれで人影もない神崎河原のキャンプ場にテントを張った。
意外な事に頭上には満天の星空が広がっている。
天気の移り変わりが遅れているのか、はたまた突如好転したのか定か
ではないが、とにかく気分良く一夜を過ごせそうである。
 とっちゃんお手製のぜんざいを賞味したあとにビール、ワインとい
う、順序が逆の小宴ののち就寝。
この天気が明日も持ってくれるよう祈るような気持ちだ。

 テントから顔を出すとやっぱりという感じの曇り空。しかしここは
降ってないだけましというプラス思考で行こう。
 ハリマオさんの車を風越谷林道のモノレール始点にデポして、フジ
キリ谷へと向かった。

 2月だというのに岩ヶ谷林道にはまったく雪がない。
桜地蔵で手を合わせる各人の胸に去来するものはなんだったのだろ
うか。無信心の山日和は眺めているだけだったが。

 まったくの無雪期状態の林道を一気に犬シデまで進む。
気温は高く、薄着していても汗が流れる。丸木橋を渡ったあたりから
やっと雪が現われだした。
 杉峠へ向かう登山道と別れ、フジキリ谷を渡って北谷左岸の尾根に
取り付いた。ここからしばらくは息つく間もない急登が続く。
雪があれば歩きやすいと思っていたのだが、意に反して晩秋の山状態。
しかし足元の落ち葉の斜面はあまり滑らないので助かる。
 振り返ると綿向からイハイガ岳の稜線が美しい。

 ポツッと冷たいものが落ちてきた。
「ついに来たか。」ここまで持っただけでもましか。
あきらめにも似た気持ちが胸に広がるが、数分もしない内に止んでし
まった。まだまだ天は味方してくれているようだ。

 急登もやっと終わり、北谷源頭部の素晴らしい二次林に出た。
見事なブナを配したこの台地はアゲンギョを経て佐目峠劇場まで続き
、いつ歩いても至福の刻を与えてくれる。
 標高も1000mを超えると一気に積雪が増え、ヒザ上のラッセルとなっ
た。たまらずワカン装着。今日のベタ雪にはワカンは極めて有効である。

 いつもは御在所、鎌の絶好の展望台となる佐目峠手前の草原---佐目
峠劇場は間近の雨乞すら山頂部を雲に隠している。
 下部の雪の少なさゆえにいいペースで上がって来れた。
イブネでは、朝明からクラシ北尾根経由で来るたまさんといわなっちく
んが合流するはずだ。うまく時間が合うだろうか。

 イブネへの最後の登りにかかるとなんということか、頭上に青空が広
がり始め、四囲の視界も一気に開けてきた。
「イブネまではなんとか持ってほしい。」そんな切なる願いが叶えられ
たどころか、まったく期待もしていなかった蒼い空。その青を切り裂く
普段は気にも留めないような一条の飛行機雲さえ、今日は美しい造形と
して目に映る。
 みんな信じられないような顔で歩いている。
「これは気象予報士もクビやなー。」となんともうれしい誤算に頬が
緩みっぱなしだ。

 突然「ドンッ」という音と共に足元が揺れた。地震か。しばらくして
もう一回。
ハリマオ説では、雪の下で融けて空洞になった層が歩いた衝撃で落ちた
のではないかという事だった。なるほど、そう言われてみると説得力が
ある。

その2へ続く




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332. 【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ その2
 2004年02月25日 水曜日 22時42分 山日和

部分的にササの露出したイブネの大雪原を歩く。
土砂降りの雨だったらたまらなく沈鬱な表情でみんな重い足を引きず
っていただろうが、青空というのはなんとも人の心を浮き立たせるも
のである。
 風を避けて銚子でランチにしようと思っていたが、朝明組と合流す
るためにはクラシ方面へ入った方が良い。
北尾根へ入る手前のササ原のピークで、とっちゃんが大声で叫ぶ。
「たまちゃーん」「いわなっちくーん」すぐにコールが返ってきた。
ほどなく北尾根のブナ林に姿が現われる。
 前を行くたまさんはヘロヘロの様子。鈴鹿屈指のバリハイルートで
ある北尾根に中途半端な積雪でかなり苦労させられたようだ。続いて
鈴鹿の織田裕二こといわなっちくんが登場。
こちらの奥美濃の中村雅俊と合わせ、2大スター夢の饗宴となった。

 無事合流を果たし、全員でガッチリと握手。感動の瞬間だ。
実のところ会える可能性は低いのではないかと思っていた。予想をは
るかに超越した青空と相まって、まさに天の配剤というところか。
 まだまだ先は長いのだが、食事時間はいつも通りたっぷりと取った。
これがなくては山行の楽しみも半減とは言わないが、かなり減ってし
まうことは間違いない。

 クラシから適当なコースを戻るという朝明組に別れを告げて、いよ
いよメインイベントのイブネ〜銚子ヶ口縦走開始である。
天気はまったく崩れる気配を見せない。
 銚子のピークに立ち寄り、広大なイブネ劇場を眺める。
誰が名付けたか、まさに劇場の名がぴったり。雪舞台を望むみんなの
顔に午後の日差しが眩しい。

 銚子からの縦走路は急降下で始まる。右を見ると朝明組がたどって
きた北尾根の激しい起伏が望見される。
 日当たりのいいヤセ尾根は雪がほとんど消えており、ここでワカン
を脱いだ。木をつかんで転げるように最低コルへ下りるとフナクボの
間違った標識がある。
 なぜフナクボなのか、地形を見れば一目瞭然のはずだが、そんなこ
とは考えないヤツが付けたのだろう。もっともここはフナクボであっ
て舟窪ではないのかもしれない。
 尾根の右、谷尻谷側にはべったりと雪が残り支谷の源頭を埋めつく
しているが、左の佐目子谷側にはまったく雪が残っていない。

 ここからほんとうの舟窪まで、この縦走路中最良の素晴らしい樹林
が続く。ブナを主体とした美しい林は落ち着いた佇まいを見せ、まる
でゴールデンウイークのような陽気の中を行けば木々が葉を落として
いるのが不思議なくらいだ。
イワウチワも狂い咲きしそうなぐらい暖かい。
 佐目子谷側が激しく侵食されたガレ場の縁を行くとほんとうの舟窪
に到着。ここは文字通りの舟窪地形に大きなブナが2本、根こそぎ倒
れて窪地を仕切っている。

 心癒される樹林も終わり、開放的な大峠へ出た。ここからの雪は緩
みに緩んで始末に終えない。片足が雪に乗ったかと思えば、反対の足
は股まで沈むありさま。もう一度ワカンを履けばいいのだが、すぐに
脱ぐかもしれないと思うと面倒くさくて履く気になれなかった。
 結果的には東峰までワカンを必要とする雪尾根が続いたのだが。
あっちでもこっちでもズボズボと埋まり転倒者続出である。

 無雪期には展望もなく鬱陶しいだけの銚子ヶ口三角点も、今日は打
って変わった展望台となっていた。

 いよいよ今山行のフィナーレを迎える時がきた。銚子ヶ口東峰。
縦走の棹尾を飾るに相応しい展望が我々を迎えてくれた。完全に予想
を裏切ったこれ以上ない山日和は最後まで我々を包んでくれた。
 あとはモノレール道を下るだけ。短いという以外何の取り柄もない
ルートだが、この最短ルートのおかげでギリギリまで山頂に居られる
という意味では値打ちがあるのだろう。
 
 最後の展望を目に焼き付けて、それぞれの思いを胸に風越谷林道へ
の道を一散に下った。

           
             山日和


 





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335. Re:【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ その2
 2004年02月26日 木曜日 09時06分 山日和

訂正自己レスです。

> 佐目子谷側が激しく侵食されたガレ場の縁を行くとほんとうの舟窪
>に到着。ここは文字通りの舟窪地形に大きなブナが2本、根こそぎ倒
>れて窪地を仕切っている。

実際は舟窪が先で、ガレ場が後に現われます。
記憶違いでした。つつしんで訂正します。m(__)m


          山日和




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353. Re:【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ その2
 2004年02月29日 日曜日 08時40分 柳川洞吹

山日和さん みなさん こんにちは

この日はどう転んでも、
濡れて歩くことは避けられないと思っていたのに、
なんという奇跡なのだろう。
峰を行く我々を祝福するように、
青空が広がり、太陽までもが顔を見せる。

歩く、歩く。
アゲンギョの樹林を抜け、佐目峠から広大なイブネへ。
クラシでの憩いの時を過ごし、
幕の上がったイブネ劇場を銚子席から観覧。
縦走路、もうこの天候は崩れそうもない。
下り、登るたびに、遠かった銚子ヶ口が近づいてくる。
そして、縦走完了。
その時、それぞれの胸に去来したものは、何であっただろうか。


>鈴鹿の織田裕二こといわなっちくんが登場。
>こちらの奥美濃の中村雅俊と合わせ、2大スター夢の饗宴となった。

おお、これはすごい。
大河ドラマやなくて、山やから大山ドラマ(どんなドラマやろ?)の、
クラシロケ敢行ですな。
ギャラリーもいっぱいや。

> 銚子からの縦走路は急降下で始まる。右を見ると朝明組がたどって
>きた北尾根の激しい起伏が望見される。
> ここからほんとうの舟窪まで、この縦走路中最良の素晴らしい樹林
>が続く。ブナを主体とした美しい林は落ち着いた佇まいを見せ、

冬期にこの縦走路を歩いたのは初めてでした。
また、パーティでないとできない(置き車が要るため)縦走コースだから、
普段、出発点から周回コースしかとらない(とれない)私にとって、
登山口と下山口が違うという、なかなか新鮮な山行でした。
どうもありがとうございました。

よい山旅だった!
                  洞吹(どうすい)




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364. Re2:【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ その2
 2004年03月01日 月曜日 23時44分 山日和

洞吹さん、どうもです。

>この日はどう転んでも、
>濡れて歩くことは避けられないと思っていたのに、
>なんという奇跡なのだろう。

ほんと、信じられない天気でしたね。
みんなの祈りが通じたようでした。

>おお、これはすごい。
>大河ドラマやなくて、山やから大山ドラマ(どんなドラマやろ?)の、
>クラシロケ敢行ですな。

ギャラも高そうですねー。(^_^;)

>冬期にこの縦走路を歩いたのは初めてでした。

私もそうでした。

>また、パーティでないとできない(置き車が要るため)縦走コースだから、
>普段、出発点から周回コースしかとらない(とれない)私にとって、
>登山口と下山口が違うという、なかなか新鮮な山行でした。

いつも同じ所に下りなければならないのが悩みですね。
その制約の中でルートを考えるのがまた面白いのですが。

ではまた奥越の雪原で・・・・

             山日和




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357. Re2:【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ その2
 2004年02月29日 日曜日 18時59分 SHIGEKI
shigekio1217@ybb.ne.jp

山日和さん こんばんは
豪華メンバーでの鈴鹿中部の縦走に雨雲も吹っ飛んだみたい
ですね。
こんなはずれ方なら天気予報も「よしよし」てなもんですね。
これが逆だったり、あるいへ予報を信じて中止したりしていたら
口惜しい限りですが・・
 グループならではの縦走と県境を隔てた遭遇はええ感じですね
今年の春も「せっかち」そうで果たして雪稜漫歩できるのやら・・  また よろしく です。

  SHIGEKI







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365. Re3:【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ その2
 2004年03月01日 月曜日 23時44分 山日和

SHIGEKIさん、どうもです。ご無沙汰でした。

>こんなはずれ方なら天気予報も「よしよし」てなもんですね。
>これが逆だったり、あるいへ予報を信じて中止したりしていたら
>口惜しい限りですが・・

実は前日ギリギリまで迷ってました。
中止も真剣に考えていたのですが、なんとしても行きたいという熱意
に天も味方してくれたようです。

>今年の春も「せっかち」そうで果たして雪稜漫歩できるのやら・・  また よろしく です。

鈴鹿の雪融けは早いようですが、越美はたっぷりありますよ。
是非是非です。

ではまた越美の雪稜で・・・・

             山日和




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336. Re: 【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ
 2004年02月26日 木曜日 18時24分 緑水

山日和さん、こんにちは。皆さんこんにちはです。
> 天気予報にはいつも泣かされる。

泣いてるですか、お天気と女心は判らないものだ・・・修行ですね。
成るように成る、行くも帰るもオノコ次第、頭と足は別物だ。

>普段は気にも留めないような一条の飛行機雲さえ、今日は美しい造形として目に映る。

好いですねえ、新鮮な気持ちは新しいパワーが湧いてきます。

>北尾根へ入る手前のササ原のピークで、とっちゃんが大声で叫ぶ。「たまちゃーん」「いわなっちくーん」すぐにコールが返ってきた。

これ又好いですねえ、同類に応える(^^)山羊さんだ

>最後の展望を目に焼き付けて、それぞれの思いを胸に風越谷林道へ
の道を一散に下った。

好いお天気に恵まれて良かったです。

                 緑酔
-- CMN v0.40aβ --




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338. Re2:【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ
 2004年02月26日 木曜日 22時57分 山日和

緑酔さん、こんばんは。

>泣いてるですか、お天気と女心は判らないものだ・・・修行ですね。
>成るように成る、行くも帰るもオノコ次第、頭と足は別物だ。

まだまだ修行が足りないようです。
緑水さんの境地に達するにはまだ青い。
あと10年はかかりそうですね。(^_^;)

          山日和

         





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348. Re3: 【鈴鹿】祈りの縦走路 イブネから銚子ヶ口へ
 2004年02月27日 金曜日 10時13分 緑水

山日和さん、こんにちは。

>まだまだ修行が足りないようです。

わたしゃまだまだ青二才、三才にチョット手が掛かったかなあの所です。
緑水、色んな方と歩いて15年ほど、好いもそうでないも想いではイッパイです。
山日和さんは力も能力も溢れてる、幼児から熟人と色んな方と歩いて欲しいなあ思います。四月からは休み都合も良くなります、声かけてくださいです。

               緑酔

2006/03/19(Sun) 19:32:49  [No.2079]


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