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積雪の時から一度訪れてみたい山だった。その時期は過ぎ、今はブナの芽吹きの季節「さんじょうだけ」と読ますこの山を歩くチャンスをもらった。「二つ候補があるんやけど、どっちがいいかなぁ。」友からの電話に、二つ返事で三重岳と答えた。伊吹北尾根に行けば、春の花は約束されていたが、未知の山に胸が騒ぐ。

ビラデスト今津に登っていく林道から、竹生島が琵琶湖に浮かぶのが見える。朝の湖の穏やかな広がりを車を止めて眺めている。

ここから、林道を平池・淡海湖(処女湖)とぬけて、河内谷方面に向かう。河内谷分岐には休憩所があるが、ここから少し石田川に向かって走った所が、南東尾根の登り口である。今津山上会が設置された看板があり、ここから細い登山道が登っている。

取り付きから始めは植林の道を登る。樹林の合間から見える尾根は武奈ガ獄に続く支尾根のようだ。尾根の間の水の溜まりには、蛙の卵がくねくねと横たわっていた。やがて雑木林の中にはっきりと堀り込まれた昔の道形がでてくる。左の植林帯をよけて右の自然林を歩けば、気分のいい雑木の芽吹きの緑が美しい。
尾根はブナとナラの種類の林となり、やがて石楠花の桃色が目に飛び込んだ。すでに最盛期をすぎている木もあれば尾根の右にはまだ蕾の木もある。さらに進むと、左斜面にはちょうど見頃の石楠花の木があって新緑と桃色の取り合わせはベストマッチ。ふと、斜面下を見ると大きなブナの木が堂々として立っていた。

友はゆらゆら揺れる細い枝に登りつき、ベストポジションでカメラを構えた。ゆうらりゆらりゆれないのかな。ナラの木もみごとに美しい緑だ。

地図で見ても長い尾根であるが、ゆるゆると野鳥の囀りを楽しみながら歩く。アカショービンの鳴き声がする。「近いね。」「見たいね、赤い鳥。」わくわくしながらそーと歩むが、いつのまにか声は遠くなった。

鳥との出会いの多い尾根である。今度は、アカゲラのドラミング。近くの木に止まっている。一芝夫妻はちらっと姿を見られたようだ。イワウチワの花はもう終わりかけで、残った花にも生彩がない。

オオルリやクロツグミの鳴き声もする爽やかな登山道を気分もゆったりと遊び遊び登っていく。タムシバの白い花が咲き、新緑の樹林の合間からは、琵琶湖の向こうに伊吹山が青々として浮かんでいる。いいなぁ。
やがて、844mピークあたりからはやせた尾根になり、傾斜も登りの様相となる。「ここを登りきれば頂上だね。」

頂上に近づくと、笹と潅木がでてきた。山頂は景色が見えるように刈り込みがしてあっり、今津山上会の方々が作られたのか丸太て組んだ見晴らし台があった。

一人一人登ってみると、遠くに白い雪景色の山稜が見えた。野郷白山?だろうか。晴天の下、眼下には琵琶湖が広がり竹生島や、琵琶湖をとりまく山々が綺麗であった。

今日は、そのままノトマタ谷左岸尾根を下る予定をしていたが、武奈ガ岳5.1kmの表示に友の心が動かされた。「いってみようよ。武奈まで。」

三重岳の広い山頂を北西に歩く。ここもブナが立ち並びいい感じである。やがて近江坂・大御影山方面への分岐が出会う。ここから北へとれば大御影山に続く尾根となる。ふらりとそちらに誘われて行きたくなるが、次回の楽しみにしておこう。今日はそのままテーブルランドを北西に向かう。

南尾根下降地点は表示がなかったが、御池岳のミニチュアのようなテーブルランドは、背の低い潅木と下生の笹があった。一部に残った雪があらわれて水が流れていたが、踏み跡程度のこの道はちょうどいい。やがて、オオイタヤメイゲツらしい、楓の樹林となり、登山道の脇に山上池が現れた。

太尾の尾根にはカタクリの花がぽつりぽつりと咲いている。片葉はいっぱいあるのに、花は数えるほどしかないのは、なぜだろう。オオイタヤメイゲツらしい樹林は美しい若葉をつけている。途中刈り込まれた場所があり、展望が開けた。三重岳の新緑が目に眩しく、武奈が岳・そして眼下には石田川ダムが小さく見えた。

水坂への分岐に着くと、水坂方面は刈り込みがしてあり登山道が整備されているようだ。今津山上会の作った杭が立てられ、木の表示は土の上に置かれてある。なにかの都合で、取り付けができなかったらしく、近じかに取り付けにこられる様子だ。武奈には、ここを南に下っていく。最低鞍部あたりも気分のいい尾根で小さな池がある。標高差の少ないアップダウンをしながら気分のいい尾根を登っていく。

楓と雑木とブナの樹林が続いていい気分の尾根である。花は少ないが樹林が美しい。ここで今日始めて、二人連れの登山者に会った。「やっと人に会えた。」「人恋しくなっていたところです。」と女性が言う。「こちらも始めて人に会いました。」「武奈が岳の山頂あたりにいた頃は、晴れて展望がよく御岳が綺麗に見えましたよ。」今はもう、曇り空だ。

西斜面のブナも美しく、イワウチワの花が咲き残っている。やがて812mピークの次のピークで下山に使う予定のワサ谷左岸尾根との分岐が出会う。

ここから、さらに山頂に向かっていくつかのアップダウンをくりかえす。武奈ガ獄に近づくと植林が出てきて潤いがなくなってくるが、山頂寸前は両脇とも刈り込まれ、西に若狭湾、丹精に浮かぶ若狭富士が望まれ、東には琵琶湖が美しい。

山頂は展望もなく平凡で、記念撮影をして、先ほどの所に戻り、遅い昼ご飯とする。うどん鍋やラーメンを作って食べながら、展望もごちそうにして、くつろぐ時間だ。

ワサ谷左岸尾根の分岐まで戻り、ここからは植林の仕事道で変化もない道を、ぽつりぽつりと咲く石楠花の花を慰めに、ひたすら下った。

植林の隙間から武奈ガ岳への稜線を見上げれば、遥か稜線の斜面に石楠花の群生地があり、桃色に染まっているのが見えた。あれは、どの辺りだったのだろうか。尾根の途中から、登った三重岳南東尾根が長々と横たわっているのが見えた。

谷の流れの水音が近づく頃、咲き遅れた一輪の薄紫のイカリソウの花が、ひっそりと咲いていた。

林道に降り立つと、青緑の絵の具を流したような石田川ダムの湖の真ん中に、一本の木が新緑の色も鮮やかに湖面にその姿を映している様が、なんとも美しかった。

人が作った林道の急な斜面は冬には頻繁に雪崩を起こすらしく、数頭の鹿が次々に横たわる姿は、自然に生きることの厳しさを見せつけているようで心から痛ましい思いがした。

大御影山に続く近江坂が春爛漫の花旅の道なら、三重岳から武奈ガ獄は静かな樹林の山旅であった。

2005年5月8日(日曜)

薄曇のち晴れ午後から曇り

コース・・・林道南東尾根登山口(7:25)―南東尾根―592P−698−762P−844P−(10:30)三重岳(10:50)―大御影・近江坂分岐―855P−太尾―水坂分岐(11:49)―最低コル(12:18)−674P−812P(12:48)−ワサ谷左岸尾根分岐(12:58)―(13:28)武奈ガ岳(14:15)―ワサ谷左岸尾根分岐―左岸尾根―478−ワサ谷橋(15:40)・石田ダム林道―南東尾根登山口(16:35)

一芝夫妻に同行

今日はのんびり尾根歩きの予定であったが、ロングコースに早や代わり。とても充実した山旅でした。次回は、南尾根を登り、山頂近くの分岐から大日・大御影山を巡ってみたいと思う。
春も美しい山はまた、秋にも美しい姿を見せてくれるだろう。

2005/05/13(Fri) 01:26:03  [No.214]


tottyann、こんばんは。
三重岳、奥深い山ですね。昔から名前は知っていましたが、まともな登山道もなくヤブだらけの
遠い山でした。ずいぶん簡単に登れるようになったのは喜ぶべきでしょうが、また少々寂しくも
ありますね。
武奈まで縦走とはすごいパワー、恐れ入りました(^_^)

                 山日和

2005/05/17(Tue) 22:59:14  [No.220]



山日和さん、こんばんわ〜。

大御影山が尾根越しに見えてましたよ〜。あの辺りの尾根上のブナは、下から幾本も林立してますね。斜面はブナはわりとすくっと立ってる。雪のせいでしょうか?。

三重岳も今津山上会で着実に整備を進めているようですよ。早くいっとかないと、整備されすぎてからでは、雰囲気かわっちゃいますよ。そこそこの整備で終わってくださるといいのですが。

頂上で突然武奈までの縦走に変更でしたが、樹林の山旅として充実しました。

2005/05/17(Tue) 23:44:11  [No.222]


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