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  嵐吹く葦谷山・野坂岳縦走 投稿者:とっちゃん(こと)
嵐吹く葦谷山・野坂岳縦走 (画像サイズ: 800×600 79kB)

《若狭》芦谷山・野坂岳
2006年3月19日(日)雨のち雪・暴風・一時晴れ間
コース・・・アシ谷林道―北東尾根―P792−境界ピーク―葦谷山―P727−鞍部―P797−野坂岳―ニノ峠― 一の峠―トチの木地蔵―野坂山いこいの森

黒河川は、濁った色で雪解け水がごうごうと流れていた。アシ谷林道と黒河林道の分岐広場に車を止める。黒河林道方面へはゲートがあり、部分的に残った雪を踏みながらアシ谷林道を歩いていった。

日曜と言えど朝から雨の雪山に登る人は少ないだろう。

まさか雪が無いなんて、そんなことあるのかなと思えるほど雪が少なく、ふと不安が胸をよぎる。I氏も内心拍子抜けだったのだろう。

「安心していいよ。尾根には雪がある、ほら見て。」そう言うI氏の表情もぱっと明るくなった。

橋を渡り次のカーブから尾根に取り付く頃には小雪が降り出した。今日は、これから冬型に変わる予報である。

林道との落差もなくなだらかな尾根に乗った。雪面から所々木々が顔を出してはいるが、自然林の尾根は気分よくツボ足で歩ける。しかし、残念なことに残雪はくされていて木々の断片が落ちて灰色の雪となっていた。

同じ福井県と言っても嶺北と嶺南ではこれだけちがうのだとあらためて実感した。福井というだけで銀杏峰のような真っ白な雪を描いていたが、ここでは季節は確実にもう春そのものなのだと思った。

雑木にブナの混じる尾根は、やがてブナ主体の尾根と変わり気分が晴れる。霰がパラパラと靴跡にころげて積もる様も楽しいのだ。

やがてすごい風が吹きつけ、雪粒がパシパシと頬にあたる。体重の軽い私は、足をふんばらないと真っ直ぐに歩けない程の風の強さだ。

けれど、山を歩けることが嬉しかった。ともに冬山に立たせてくれる友がいることが幸せだった。

病を得て病室から山を恋しく思った日々、骨折で歩くことができず悶々とした日々、明日がいつまであるともしれぬ人の生を思う時、たとえ雨であろうが雪であろうが、山に今いられる、そのことの幸せを思わないではいられなかった。

困難に会うたびに、支えてくれた人があり今の自分がいる。そのことを思う時、今こうして山に身を置くことのできる私を支えてくれた人達に感謝した。

今も病と闘いながら、山を恋う友がいる。今もリハビリの励む友がいる。彼らのことを思う時、雨を嘆く気にはならなかった。

ブナの尾根は、こんな嵐のような日でも私を癒してくれるのだ。隣の尾根と合流する当たりで風を避けて休憩するがすぐに体が冷えてくるので再び登りにかかる。

今も新しい雪が降ってくれるおかげで、灰色の雪はほんのりと白く雪化粧をしていく。そのこともありがたい気がした。

ブナをぬって歩くが、このお天気では展望は望めない。やがて稜線に登りつき芦谷山方向への方向を確認する。北西にはうっかりとしていれば誘い込まれそうな顕著な尾根があるが、この尾根は横谷川の二俣へと降りてしまう尾根である。

南西へと芦谷山に向かうころには、木々に新しい霧氷がつきだした。「人間霧氷になりそう。」とMさんの言葉は、あまりにも的をえた表現だった。

確か以前に来た時には何の表示もなかった記憶があったのだが、芦谷山山頂(P866)には小さな木片に山名が書かれていた。雪庇ができていてとにかく寒いの一言につきる地味な山頂だった。

記念写真を写すと早々に頂上を辞し尾根分岐まで戻る。ここから再び方向を確認して野坂岳へと北に向かう尾根を下る。

尾根は終始ブナの木があり嵐の中でも私は嬉しかった。次のピークの陰は風があまりあたらず、ここで小休止。P727mに上がると岩篭山が正面に見えた。I氏夫妻は先週、岩篭へと続く中山〜西近江の縦走(福井の雪山2−P81)をされていた。

再び、下ってまた登り返すと野坂岳が正面に見えた。ここから見る野坂岳はどっしりとして貫禄のある姿であった。ここにきて、思いもかけない晴れ間はひろがる。雲間から青空が覗き野坂の白い頂が太陽の光で輝いたのだ。

野坂が一番美しく見えるポイントで思いがけない天の微笑み。今日一日は雨と雪を覚悟していただけに、思いがけないこの一瞬のプレゼントがなんとも嬉しかった。風はまた黒雲を連れてきて、めまぐるしく空模様が変わっていく。

ブナの木の根っこにできる雪解けのわっかが大好きでブナの根元を覗き込んでは写真を撮る。信州では「ねあき」と呼ぶそうで、幸いにも新雪で薄化粧され柔らかなラインを描くねあきが魅力的だ。生きることの温かみに雪が溶け、木の根っこから春が顔をのぞかせるのだろうか。

雪山の魅力は、その白さにある。「白」その色は人を最もひきつける色の一つなのかもしれないと思った。

生きている、そのことは、好むと好まざるとに関わらず純白ではいられない営みなのかもしれない。そうして色んな色に重ねられた人生の絵画は、えもいわれぬ重厚な美しさを放つのだろう。

けれど、その反対に、白という色に人は限りなく惹かれるように思った。その白一色の中に身を置く、白の魅力、それが雪山の虜になる根源なのかもしれない。

思い出になるからと大きなブナの木と一緒に写真を写していただく。野坂岳への最低鞍部からは、山集落へとゆるやかに尾根が延びている。(この尾根を福井の雪山2では下っている。)鞍部の少し上の鉄塔から見下ろすこの尾根もまた魅力的であった。

このあたりまでは、以前に訪れたことがあったが、ここから先、野坂岳までは未踏である。

新雪で真っ白になった未踏の尾根をP797へと登っていく。大きなブナが点在する尾根を心を遊ばせながら木々との語らいに飽きること無く一歩また一歩と。

850ラインへの登りは展望が素晴らしく曇り空の下、雪を残した山々が眼下に見渡せた。

白き斜面に降ったばかりの粉雪を巻き上げては白い竜巻がいくつも舞い上がる。それぞれに形を変え、登っては消えまた巻き上がる様にふさわしい音楽を奏でれば前衛芸術の舞台となりそうな雪と風のダンスにみとれた。

870ラインの尾根上は広々とした平原で開放的であった。今登ってきた尾根や遠望の山並の間には三重ガ岳らしき姿が白く聳えていた。

左手に植林が現れたのは少し興ざめではあったが、広い雪原の頂上直下の登りでは鉛色の雲の下に若狭の海が灰緑のグラデーションでゆたゆたと美しかった。

頂上は360度のパノラマである。晴天の日であればさぞかし素晴らしいだろうが、今日は高曇りの下、飛ばされそうな暴風である。山頂の山座を書いた銅版を見る余裕も無く、記念写真を写して山小屋に入った。

あの暴風の中では、ランチもできず小屋に駆け込んだ。ぐつぐつ煮える鍋をつつきながら、ほっと一息をつく。

外では風が怒っているように呻り声をあげている。ビュルルグワーンビューン。

「向こうの若狭の海が美しい。」とI氏の声で外に出る。下って行く尾根の方向には、白波が立つ蒼緑の海がなんとも美しく見えた。

野坂山いこいの森へと下る尾根には無数の踏跡が粉雪を乗せていた。クラストした尾根の下りでの、硬く凍てた踏跡は歩きにくく足をとられそうだった。二の峠一の峠とひたすら下っていく。

踏跡は迷うことなく下山地に導いてくれるが、快適な下山をさせてくれないのが少し残念だった。もし、再び訪れることがあるなら、鞍部から見えた山集落へ下る尾根を辿ってみたいと思った。

野坂岳は古くから山岳信仰の山であった歴史があるそうである。途中の沢筋にトチの木地蔵がまつられていた。そなえてあった湯飲みで沢水をすくってお地蔵様の水を汲みかえてから、その沢の名水を自分の口に含んだ。切れるような冷たさではなく、まったりとした口当たりの水であることが不思議だった。

I氏ご夫婦と登る山では印象的な言葉がよみがえる。一度登った山は再び登ることはほとんどないというI氏。けれど、自分一人だけが登った山には、Mさんを連れて再び登るというI氏の思いやりが、ほのぼのと慈愛に満ちて胸にうかんだ。

2006/03/23(Thu) 02:01:37  [No.2144]


とっちゃん、こんばんは。
野坂岳だけかと思ってたら葦谷山(芦谷岳?)からの周遊だったんですね。
ここは前から狙ってたルート。先を越されてしまいました。
いこいの森へ下りたということは1台を配車したんやね。これだと好きなルートが
とれますね。コルから山の集落への尾根もいいブナ林があるらしいし、行ってみたい
ところです。

> 外では風が怒っているように呻り声をあげている。ビュルルグワーンビューン。

洞吹さんみたいな擬音やねー(^^ゞ

                      山日和

2006/03/23(Thu) 21:18:41  [No.2150]


  Re: 嵐吹く葦谷山・野坂岳縦走 投稿者:とっちゃん(こと)

山さん、こんばんわ〜。

この日はなぜか美濃だけは晴れマークだったので、なんで美濃の山にしないの?って気分もあったんですが、多分I氏にとって今年行きたい旬の山がこのコースと、大黒・妙理の縦走だったんです。
それに、I氏はその前の週に美濃の黒津〜天狗の周遊コースを雨と雪の中歩いたらしくて。

> 野坂岳だけかと思ってたら葦谷山(芦谷岳?)からの周遊だったんですね。

はいはい。周遊がやっぱり気分いいもの。

> ここは前から狙ってたルート。先を越されてしまいました。

葦谷あたりは、山さんの好みの山域やし来年訪問くださいね〜。

> いこいの森へ下りたということは1台を配車したんやね。これだと好きなルートが
> とれますね。コルから山の集落への尾根もいいブナ林があるらしいし、行ってみたい
> ところです。

山集落に下りるんやったら配車無しでOKですよ。私的には、この集落への尾根をおりたかったので、リベンジしたいです。

> > 外では風が怒っているように呻り声をあげている。ビュルルグワーンビューン。
>
> 洞吹さんみたいな擬音やねー(^^ゞ

洞吹さんの文はとっても好きです。おもしろかったり、詩的だったりして。

宮沢 賢治みたいな詩作りたいなぁ〜。 なんちゃって。                      

2006/03/23(Thu) 22:37:20  [No.2151]


  Re: 嵐吹く葦谷山・野坂岳縦走 投稿者:矢問(やとう)

とっちゃん、山日和さん こんばんは(^^)。

> ここは前から狙ってたルート。先を越されてしまいました。
> いこいの森へ下りたということは1台を配車したんやね。これだと好きなルートが
> とれますね。コルから山の集落への尾根もいいブナ林があるらしいし、行ってみたい
> ところです。
来年の雪の頃にでも行くようなら声かけて下さいね〜。配車して行きましょう!
スノーシューで行けるかなぁ・・・(^^;) どうでした、とっちゃん?

2006/03/23(Thu) 23:21:21  [No.2153]


  Re: 嵐吹く葦谷山・野坂岳縦走 投稿者:とっちゃん(こと)

矢問さん、こんばんわ〜(*^_^*)

>> 来年の雪の頃にでも行くようなら声かけて下さいね〜。配車して行きましょう!
> スノーシューで行けるかなぁ・・・(^^;) どうでした、とっちゃん?

矢問さんは、野坂はいこいの森から行かはったんやね〜。

葦谷からの周遊、緩やかな尾根の登りですよ〜。スノーシューでいけちゃいますよ。

来年のスノーシューは行く楽しみですね〜。どこの、コースどこの山になるやら〜。

2006/03/26(Sun) 19:13:32  [No.2156]


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