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再録【中ア】天国への階段 正沢川細尾沢 (画像サイズ: 750×1000 219kB)

雨の日恒例の、昔のレポほじくり出し第2弾です。


中央アルプスの木曽駒ヶ岳北西面に食い込む、木曽川支流正沢川。
この谷の支流のうち、木曽駒ヶ岳にほぼダイレクトで突き上げる細尾沢で3000m級
の沢登りを堪能した。

[日 時]2002年7月20日(土)〜21日(日)
[山 域]中央アルプス 木曽駒ヶ岳周辺
[天 候]晴れのち曇り
[メンバー]柳川洞吹氏、山日和
[コースタイム]7/20 木曽駒高原スキー場8:53---11:50玉ノ窪沢出合12:00---12:50細尾沢
       出合13:34---14:05大滝下14:20---16:09大滝上16:40---17:37テン場
       7/21 テン場7:15---9:11水切れる9:40---11:00北尾根---11:22木曽駒ヶ岳11:58---13:58七合目小屋14:15---16:07駐車地

 スキー場のゲレンデの中に「右、木曽駒。左、沢コース」の標識がある。左を取り、
林道の終点で駐車。すぐ幸ノ川にかかる橋を渡って、草深い林道跡を進む。
 茶臼山へ向かう登山道を行くと右に道が分岐し、「沢登りコース」の道標が。
予定では茶臼山コースにかかる吊橋から入渓するつもりだったが、楽をしようと右を
取った。ところが道はどんどん沢から離れていく。これはいかんと戻って左の道を行
くと、骨だけになった吊橋の残骸がぶら下がっていた。

 正沢川本谷はさすがに川というだけあって、広々としている。
ここ数日の豪雨の影響か、水量多く轟々と流れている。
 「これはちょっと流れに入る気がせんなあ。」晴れ渡った空とは裏腹に、意気が上
がらない。なるべく水に入らないように、川の端っこを遠慮がちに遡行していく。
ずっと左岸を歩くことができたが、もし渡渉を余儀なくされたらとても渡れないよう
な流れの速さだ。
 滝らしい滝もない明るいゴーロの続く本流をしばらく行くと、右から立派な道が現
われた。
「沢登りコース」の道はここへ続いていたのか。いささかタイムロスだった。
 ここから右岸に道が続いた。所々消えかかった道をたどり、何度か浅い、流れの緩
い所を選んで渡渉する。とは言っても結構水圧が強く、洞吹氏とスクラムを組んで渡
った。
坦々とした流れを溯り、やっと細尾沢に到着。ここで昼飯とする。一本の缶ビール
を洞吹氏と分け合う。
 
右から流れ込む細尾沢は、なんと流木の山になっていた。「これはどういう事や。」
本来なら美しい渓相を見せるはずの谷は、流木でせき止められた淵までできている。
あちこちに山肌の崩れた跡。水害の爪あとがせっかくの美渓を台無しにしていた。
「これは失敗やったかな。」ちょっと後悔しかけたところでこの沢最大の細尾大滝の
登場だ。2段40mと言われるこの滝はとても登れない。
弱点は右岸に刻まれたルンゼしかないようだ。

 ルンゼの下部は階段状の岩場で登りやすいが、岩はボロボロで崩れやすい。
15mほど上がるとルンゼはY字状に枝分かれしている。滝身から離れたくないので右の
ルンゼへトラバースしようとするが、ホールドが細かくいやらしい。なんとか右のル
ンゼに入り、直上する。
 岩はますますボロボロ、ホールドも微妙で石を落とさずに登るのが難しい。
右上に見える樹林帯へ逃げれば何とかなるだろう。10mほど上がり、バンド状の所で
下で待つ洞吹氏にロープを投げる。が、ビレイできるポイントがない。
頭上の木に引っかかったY字型の折れた木に仕方なくランニングを取る。ないよりマシ
という感じ。
そこから右のブッシュに逃げ這い上がると、やっとビレイできる立ち木があった。
洞吹氏にコール。上がってきたが早くも青息吐息である。

 樹林帯は下から見るよりもかなり傾斜がきつい。アンザイレンしたまま次のピッチ。
胸ぐらいの高さの段差がホールド、スタンスがなく越えられない。
目の前の穴から木の根を掘り出して、強引に体を引き上げた。

 もう落ち口の高さまで登っているはずだが、まだ眼前にはほぼ垂直に切り立った岩場
が。ここまで来たら登るしかない。空身で取り付く。
左手の岩から攻めるがホールドが乏しい。頭上に大きく張り出した太い木の幹にスリン
グを投げ縄してビレイを取るが、その木の根が密生して真上へ抜けられない。
微妙なバランスで右へトラバース。あとひと息である。
最後も木の根をつかんで強引に上がると頭上が開けた。
「やった。抜けたで!!」
 ロープの余りを引き上げ、中間部で荷揚げをしようとロープダウン。しかし完全に
空中にあるザックを引っ張り上げるのは苦しい。特に洞吹氏のザックは一体何が入っ
ているのかやたら重たい。腕がパンパンになってしまった。
 洞吹氏も上がってきてガッチリ握手。ああ面白かった。

 そろそろ泊まり場を探す時間だ。谷は大きく開けた中に小滝を連続させており、な
かなか適当な場所がない。ツェルトひと張り、猫の額ほどの平地があれば十分なのだ
がこういう時に限ってなかなか見つからないものだ。
 もう5時半を過ぎた。候補地をひとつ見つけて、空身でさらに上流へ滝を二つほど
越して偵察したが全くダメ。
 結局1m×2mほどの空間を丹念に整地。今夜のねぐらの完成だ。
 火のつきの悪そうな枝ばかりなので、今日は焚き火はカット。
暮れなずむ空に今日の健闘を祝して乾杯。この天上のビアガーデンに勝る場所がある
だろうか。

 漆黒の闇に包まれて2本目をあける頃、川下に自分の影が映った。驚いて振り向くと

木曽駒の稜線から月が出始めていた。上流の滝も月明かりに照らされてきらめいている

 一旦暗くなった沢が明るさを取り戻した。ヘッドランプもいらない。
3年前の小黒川ではお花畑のテントサイトから伊那の町の花火が見えたが、今日はまた
違った贅沢なシチュエーションだ。

 町では絶対に朝食べる事のないラーメンを、山では食べられるのは何故だろう。
谷あいはガスがかかっているが、上はきっと晴れているはず。
 
 出発してすぐに連瀑帯に突入。白い岩肌を走る水流がなんとも美しい。
標高は2200mを越えているが、谷巾はいささかもスケールを減じることなく、底抜けに
明るい。
8m、10m、4段20m、2段10m、15mと、傾斜が緩くナメった滝が連続して、すべて直登し
ていける。まったくすばらしい。
 ここはまさに天国への階段だ。ただ、この天国を訪れるためには地獄の高巻きを通過
しなければならないが。

 左手高くには木曽駒西面の岩壁帯が見えている。間違っても左にルートを取っては
いけない。流れ込む支流はすべて右へ、右へ。
 標高2500mを越すとさすがに水も切れ、カールの中の潅木帯を漕いで出たお花畑で
登山靴に履き替える。ここから右へ出て再び谷筋を上がるとガレ場の急登となった。
人に踏まれていないので不用意に足を出すと、ガラガラと崩れていく。
上の小屋からの廃棄物が目立ち始めるが、左右にはコイワカガミやチングルマなどの
高山植物の群落が目を慰めてくれる。

 稜線直下、いよいよ雪渓が現われた。傾斜が強くアイゼンなしでは滑落しそう。
右手から巻き気味に斜上すると北尾根に飛び出した。ここでまたガッチリと握手。
やはり3000m級の沢登りは爽快だ。
 ハイマツの中を南へひと登りで登山道に合流、すぐに頂上木曽小屋だった。
(と言っても頂上ではないのだが)
ここで取って置きの1000円を出してビールを求める。2本買えた。北アルプスと違っ
て安いのだ。
 
 ビールを持って空身で頂上へ向かう。5分ほどで到着。
さすがに海の日のお手軽100名山とあって、ウジャウジャと人の渦。
あいにくのガスで空木方面は見えないが、北の方はまずまずの展望。
我々ふたりだけが誰も眺めていない細尾沢の方を見下ろしていた。
 ここでまたまた乾杯。「やっぱり高い山はええなあ。」と洞吹氏。同感である。
しばしメールを打つが、沢の中でもほぼ全域で受信できたのは驚きだった。

 下りは木曽福島Bコースを下山。久し振りに気合の入った山行だった。

                 山日和

2006/05/15(Mon) 21:17:48  [No.2527]


山さん、こんばんわ〜。

あれれ、今レス送信したのに出ない。どうなったんやろって思ったら、画像がついてる。改めてアップしたの???。タッチの差でそちらの画像貼り付けが早かったみたいで、レスは消えちゃいました。

> 雨の日恒例の、昔のレポほじくり出し第2弾です。

昔懐かしのメロディーの沢のアップかなぁと思ったら、まだ最近4年前の沢行きなんうやね〜。

> 中央アルプスの木曽駒ヶ岳北西面に食い込む、木曽川支流正沢川。
> この谷の支流のうち、木曽駒ヶ岳にほぼダイレクトで突き上げる細尾沢で3000m級
> の沢登りを堪能した。

この頃はアルプスのそれも沢泊で行ってたんやね〜。沢での泊は憧れちゃいますが、担ぐ荷が重いと体持ち上げるの大変かな〜?

>  出発してすぐに連瀑帯に突入。白い岩肌を走る水流がなんとも美しい。
> 標高は2200mを越えているが、谷巾はいささかもスケールを減じることなく、底抜けに
> 明るい。
> 8m、10m、4段20m、2段10m、15mと、傾斜が緩くナメった滝が連続して、すべて直登し
> ていける。まったくすばらしい。

どんなかな?画像貼り付けてって書いてたら、実際に画像の張り付いたレポに変わってました。以心伝心??。

>  ここはまさに天国への階段だ。ただ、この天国を訪れるためには地獄の高巻きを通過
> しなければならないが。
> 上の小屋からの廃棄物が目立ち始めるが、左右にはコイワカガミやチングルマなどの
> 高山植物の群落が目を慰めてくれる。
>
>  傾斜が強くアイゼンなしでは滑落しそう。

登りつめれば、花と残雪のアルプスの沢は感激やね〜。
赤木沢も行きそびれたままで、今年こそ念願かなうかな〜。

2006/05/15(Mon) 21:33:02  [No.2529]


Re: 再録【中ア】天国への階段 正沢川細尾沢 (画像サイズ: 1000×750 236kB)

とっちゃん、どうもです。
通風山さんから画像が消えてしまったのでもう一度と言われたので・・・
通風山さん、いつもご苦労かけてすみませんm(__)m

> この頃はアルプスのそれも沢泊で行ってたんやね〜。沢での泊は憧れちゃいますが、担ぐ荷が重いと体持ち上げるの大変かな〜?

荷物は最小限、と言っても結構重いけどね。2000m以上でのツェルトビバークとも
なると朝晩は冷えるしね。

> 登りつめれば、花と残雪のアルプスの沢は感激やね〜。

中央アルプスの反対側の小黒川遡行の時は、お花畑の横でビバークしました。
夜はそこから伊那の町の花火まで見えて感激したのを思い出します。(^_^)

                 山日和

2006/05/15(Mon) 23:42:46  [No.2531]


山日和さん こんばんは

懐かしいですね。
地獄の高巻きはゴメンですが、天国への階段は何度でも行ってみたいところですね。
素晴らしい沢でした。

頂上の人ごみは、まるで大阪駅のコンコースにいるようでしたが、
それ以外のルートは人けもなく、いい感じだったです。

実は、この時、沢のビバーク地で、
明け方にちょっと不思議な体験をしているのですが、話しましたっけ?

よい山旅を!
                                洞吹(どうすい)

2006/05/16(Tue) 22:57:23  [No.2540]


洞吹さん、どうもです。

> 地獄の高巻きはゴメンですが、天国への階段は何度でも行ってみたいところですね。
> 素晴らしい沢でした。

地獄の高巻きもそれなりに面白かったですけどね(^^ゞ

> 実は、この時、沢のビバーク地で、
> 明け方にちょっと不思議な体験をしているのですが、話しましたっけ?

げげっ、なんかコワい話がありそうですねー(@_@;)

                 山日和

2006/05/16(Tue) 23:10:42  [No.2541]


こんばんは、山日和さん。

再録とはいえ、初めて読むものとしてはすごい迫力がありました(^o^)
特に垂直に近い岩場を登っていくところは圧巻でした。
ここを越えて「ああ楽しかった」と言える山日和さん。
こちらは読んでるだけでフルフルなのに…。

でも、その先の夜の谷と「天国への階段」は素敵なところなんだ、行ってみたいと…。
地獄の高巻きを乗り越えないと行けないというのが…。

               Tsutomu

2006/05/17(Wed) 21:40:07  [No.2547]


Tsutomuさん、どうもです。

> 特に垂直に近い岩場を登っていくところは圧巻でした。

ぜんぜん垂直に近くないんですけどね・・・(^_^;)

> ここを越えて「ああ楽しかった」と言える山日和さん。
> こちらは読んでるだけでフルフルなのに…。

苦しいながらも楽しんでました。抜けた時の達成感はまた格別です。(^_^)

> でも、その先の夜の谷と「天国への階段」は素敵なところなんだ、行ってみたいと…。

ホントにステキなところでした。画像のようなナメ滝が果てることなく続く感じで・・・

> 地獄の高巻きを乗り越えないと行けないというのが…。

苦あれば楽あり・・・ですね。

                 山日和

2006/05/18(Thu) 00:46:09  [No.2553]


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