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【日 時】2005年5月29日(土)
【山 域】湖西 野坂山地
【天 候】晴れ
【コース】芦谷林道入口7:40---8:48 529m分水---8:57湿地帯9:17---9:36尾根取付き11:12稜線---
     11:30芦谷岳13:00---15:10最低鞍部---15:53送電鉄塔16:00---16:23三国山16:33---
     17:11黒河峠---17:47駐車地

気になっていた湖西、芦谷岳東面の不思議な地形。黒河川の支流のふたつがP634を囲むように529m
標高点でドッキングしているように見える。おまけに北流する谷の源頭部には大きな湿地帯の記号
まである。その地形を確かめるのが第一の目的。
そしてふたつ目の目的は芦谷岳と三国山を結ぶ稜線を辿る事である。芦谷岳周辺のブナ林の素晴
らしさは昨秋この目で見た。三国山までの稜線はどんな状態だろうか。快適に歩けるのか。

菩提谷の分岐から少し黒河峠寄りに上がったところから分かれてUターンするように流れる支流沿い
の林道に入る。旧営林署の看板には「黒河林道芦谷支線」とあった。
古い林道は流れのすぐ上を必要最小限に削って付けられており、それなりに落ち着いた雰囲気があ
る。間近に見る流れも自然林の中さらさらと、時には早瀬となり白い泡を立てて流れている。
川岸の台地も疎林に包まれいい感じである。

ところが地形図上実線の道が点線に変わるところから林道の雰囲気は一変した。真新しい林道が山
肌を大きく削って殺伐とした風景を作り出している。どこにでもある新設林道の情景だが、それま
での自然に溶け込んだ道とのギャップに戸惑う。ここは「黒河山保安管理道」として反対側の谷の
源流を結んで新たに作られたようだ。
道は川辺を進んでいる地図とは異なり、川から離れた高みに付けられている。

529m標高点のふたつ手前の支谷に「水土保全施行モデル林」の看板があった。自然環境が厳しく人
工林にするには無理があったので、自然の力に委ねた天然林施行が行われてきたとのこと、まこと
に結構なことである。谷を見上げると豊かな自然林の森が広がっている。

林道を進んでいるといつの間にか眼下の谷が反対向きに落ちている。529m標高点のポイントを通
り過ぎたようだ。少し戻って谷へ下りるが暗い植林の中、道の痕跡はあるもののまったく面白くな
い。水のなくなった斜面をひと登りで529m分水標高点に出た。どんなところだろうと期待半分、不
安半分だったが後者が当たってしまった。何の感慨の湧かないような鬱陶しい林の中にその目的地
はあった。
ならば次は湿地帯である。谷の源頭部に広がる広濶な湿原。山上の楽園が出迎えてくれるかもしれ
ない。
斜面をトラバースするように古い道が続いた。これも地形図とは違う感じ。右下が開けてきたとこ
ろで谷へ下りる。立派なブナが一本、湿原への門番のように立っていた。
しかし目の前に現われたのは半分以上潅木に覆われた狭苦しい湿地だった。谷間は広いのだが、谷
を埋める潅木のおかげで確かめに行く気もしない。わずかに開けた草地の湿地も照りつける太陽で
暑苦しいだけである。
こんなもんだろう。世の中そんなうまい話があるはずがない。

さて、次は芦谷岳である。どこから取付くか。
山頂の次のピークから北東に延びP792を経由する尾根がよさそうだ。しかしちょっと遠回りにな
るので、529m標高点手前で90度左折して稜線に突き上げる谷の右岸尾根を上がることにした。
尾根の株は疎林で歩きやすかったが、しばらく上がると様子がおかしくなってきた。尾根筋はびっ
しりと潅木で覆われ、谷側の斜面をトラバースするように進むもののこちらもブッシュに阻まれる。
そのうち気持ちのいいブナ林を快適に歩けるだろうと行く手を見上げるが、行けども行けどもブッ
シュである。
結局期待通りのブナ林に出会えたのは主稜線直下の北東尾根に登り着いたところだった。この尾根
には下から薄い踏み跡があった。予定通りこの尾根を下から使えば楽チンかつ快適に上がれたかも
しれない。

芦谷岳は相変わらず何の変哲もない、山名板すらない素っ気無い頂上だった。美浜町側の斜面に広
がるブナ林もまた相変わらず素晴らしい。
そしてこの山は静かだ。北に野坂岳、南に三国、赤坂山という超メジャーな山々に挟まれた空白地
帯に関西でも屈指といえるブナ林が眠っていた。
(この思いは南へ続く稜線上で更に大きく膨らんだ。)

どんなルートが待っているのか。草川氏のガイドにも載っていない三国山への縦走路である。
この稜線は尾根芯を歩くよりも右の横谷川側の斜面をトラバースするように歩きたい。
横谷川源流部に落ちる何本もの尾根は豊かなブナの森が包み込んでいるのだ。

しかしこの森は驚くべき豊穣に満ちたブナの回廊の序章に過ぎなかった。
前回上がってきた横谷川からの尾根を過ぎ、806m標高点で庄部谷山への尾根を分ける。太いブナ達
が表情豊かにその存在を静かに主張している。立ち止まってはカメラを構え、振り返り振り返りし
ながらあらゆる角度からブナを眺める。
庄部谷山へゆったりとした尾根が伸びていた。少し歩いてみる。下生えの少ない疎林の尾根はどこ
でも歩ける感じだ。このままの状態で庄部谷山まで続いていたら素晴らしいのだが。
また宿題が増えてしまった。

806m標高点から緩やかに下って行く。
前方に今までとは異質な空間が広がった。ここまでは暗くはないのだが、鬱蒼としたブナの森はな
にか神秘的な匂いがしていた。森の精、あるいは神の宿る領域のような静謐さに溢れていた。
しかし目の前に現われたブナの森は、林床には下草もなく枯れ落ち葉が覆い尽し、今までの深緑か
ら淡い茶色の絨毯に衣替えをしたようだ。
伸びやかに広がるコバに林立するブナ。同じブナの森でありながら、劇的と言えるほど異なった印象だ。
この桃源郷には季節を違えて何度も訪れるだろう。
そんな気持ちにさせるような素晴らしい森だった。

植林交じりの斜面をを降りるとこの稜線上の最低鞍部。ここは折戸谷から黒河川へ乗越す鞍部だが、
植林主体で暗い印象である。
ここから三国山へは300mの登り返し。あまりにも素晴らしすぎるブナの森でゆっくりし過ぎたので
時間が押してしまった。ピッチを上げる。

先ほどの下りから掘り込まれた道が現われたのだが、三国山へ向けてもその掘り込み道は続いてい
た。緩やかな九十九折れの道が尾根上に続く。少し上がったところで再び自然林に変わりひと安心。
やはり植林と自然林とではモチベーションが全然違うのだ。

P827手前の送電鉄塔で展望が開けた。今山行初めての展望である。西に庄部谷山から雲谷山、大御
影山。東に乗鞍岳、岩篭山。もっさりした山々の連なりだが、視界を閉ざされた森の中を歩いてき
た身には新鮮である。
ここから道は登山道らしくなり、庭園風の樹林を縫ってしっかりした踏み跡が続いた。
左手は黒河川源流のブナ林だが、細い木が多いようだ。それでも一面にブナだけが立ち並ぶ様は壮
観である。

やっと三国山に到着した。人気の山だが誰もいるはずのない時刻。南に赤坂山、大谷山が望まれ、
伊吹が痛々しい姿を晒している。琵琶湖の湖面も霞んでいた。
まだ黒河峠へ下り、さらに林道
を歩いて車を回収しなければならないが、目標通り歩いた達成感と期待以上のブナ林に出会えた満
足感で胸がいっぱいだった。

                        山日和

2005/05/30(Mon) 00:54:28  [No.253]


 山日和さん、こんばんわ〜。

ブナの大木は、いいですね。横山岳東尾根はブナ林ですが、若い木がほとんどでした。

古木の悠々たる姿を見ると、心がゆったりしますね。若いブナもすがすがしいですが。

 いったことの無い場所は、あたりはずれがありますが、未知の楽しみに満ちていますね。

 

2005/05/31(Tue) 21:15:22  [No.256]


tottyanこんばんは。
ブナの木は見ているだけでほんとに心が安らぎますね。
すくすくと真っ直ぐに伸びた若木も躍動感があるけれど、単純な曲線だけで構成されていない年季の入った巨木は表情豊かで、いつの間にか木の精に吸い込まれてしまいそうになります。
あの素晴らしい森に出会えるなら当て外れのヤブこぎもまた一興というものですね。

                    山日和

2005/06/02(Thu) 18:36:29  [No.265]


山日和さん こんばんは

> 気になっていた湖西、芦谷岳東面の不思議な地形。
> その地形を確かめるのが第一の目的。

早速、出かけましたね。例の場所へ。

> そしてふたつ目の目的は芦谷岳と三国山を結ぶ稜線を辿る事である。
> 三国山までの稜線はどんな状態だろうか。快適に歩けるのか。

こちらもワクワクですね。

> どんなところだろうと期待半分、不安半分だったが後者が当たってしまった。
>何の感慨の湧かないような鬱陶しい林の中にその目的地はあった。

そうですか。
残念だけど、これは行ってみないとわからないものなあ。

> ならば次は湿地帯である。谷の源頭部に広がる広濶な湿原。
> 山上の楽園が出迎えてくれるかもしれない。
> しかし目の前に現われたのは半分以上潅木に覆われた狭苦しい湿地だった。

こちらも、残念でした。
地図で見た感じは、goodなんだけどね。

> こんなもんだろう。世の中そんなうまい話があるはずがない。

まあ、そう言わずに。
これも一興。
懲りずに、図上の夢を追おうではありませんか。

> さて、次は芦谷岳である。どこから取付くか。
> 尾根の株は疎林で歩きやすかったが、しばらく上がると様子がおかしくなってきた。
> 行けども行けどもブッシュである。

いやあ、ご苦労さん。

> 横谷川源流部に落ちる何本もの尾根は豊かなブナの森が包み込んでいるのだ。
> しかしこの森は驚くべき豊穣に満ちたブナの回廊の序章に過ぎなかった。

これは、ぜひ行ってみたいですね。
これで、どこがいいのかよくわかりましたので、二番煎じは蜜の味で、
いいとこ取りができてしまいます。

> まだ黒河峠へ下り、さらに林道を歩いて車を回収しなければならないが、
> 目標通り歩いた達成感と期待以上のブナ林に出会えた満足感で胸がいっぱいだった。

お疲れ様でした。
実は、私もあの地形と湿原を見てみたくて、この日に行く気になっていたのですが、
仕事があって出勤していたので、行けませんでした。
「山」集落側から歩いてやれと思っていたので、
行ってたら、湿原ではちあわせでしたね。
行き帰りは黒河峠越えでしたか?

よい山旅を!
                       洞吹(どうすい)

2005/06/02(Thu) 00:36:28  [No.264]


洞吹さん、どうもです。

> 早速、出かけましたね。例の場所へ。

> そうですか。
> 残念だけど、これは行ってみないとわからないものなあ。

そうなんですよね。でも大切な事は好奇心を持つということだと思うので、たまに外れても気にしない(ちょっと強がり^_^;)です。

> こちらも、残念でした。
> 地図で見た感じは、goodなんだけどね。

さっきのコルで既に想像して半分あきらめてましたが・・・

> まあ、そう言わずに。
> これも一興。
> 懲りずに、図上の夢を追おうではありませんか。

そうそう、左門岳の大平源流や縫ヶ原山を思い出しますね。
来春は桐ヶ平へ行きましょう。

> これは、ぜひ行ってみたいですね。
> これで、どこがいいのかよくわかりましたので、二番煎じは蜜の味で、いいとこ取りができてしまいます。

ぜひぜひどうぞ。ブナ林ファン必見の素晴らしい森ですよ。(^_^)

> 行ってたら、湿原ではちあわせでしたね。
> 行き帰りは黒河峠越えでしたか?

おやまあ、現地で一緒にガッカリしたら面白かったですね(^_-)
黒河峠は路面もまあまあ良く、普通車でも十分走れる状態でした。

                    山日和

2005/06/02(Thu) 18:46:24  [No.266]


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