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  さらば徳山村 投稿者:山日和
さらば徳山村 (画像サイズ: 1000×750 212kB)

Tsutomuさんの千回沢山レポに強い刺激を受けた。いや、もっと正確に言えば強烈な気付け薬をかがされたようだった。
背中を押されるというよりケツを蹴っ飛ばされた、あるいは横っ面を張り倒されたという感じである。自分の中に眠っていた何物かが目を覚ましたような。
そして9月1日からの徳山ダム試験湛水開始にともなう門入への道路の通行止め。
行かなくては。憑かれたように用意を始めた自分がいた。千回沢山に登ることもそうだが、水の底に沈む前の旧徳山村をこの目で確かめておきたい。

2006年8月18日(金)夜〜19日(土)

今日はいつもの関ヶ原回りでなく、木ノ本から八草トンネル経由で行ってみよう。名神は盆休みの名残りかヤケに車が多い。
木ノ本で降り、R303に入るとなんと「岐阜県境通行止め」の表示が・・・。なんたること。しかしめげてはいられない。すぐさまR365を関ヶ原へ向かう。結局おなじみのルートである。

ほぼ完成した徳山ダムを横目で見ながらいくつものトンネルを抜けて旧本郷の集落へ。おっとこっちへ入ってはいけなかった。
昔は本郷の集落から橋を渡って西谷へ入ったのだが、今は集落手前を橋を渡らずに直進しなければいけない。こう表現できるのも今月一杯である。

西谷沿いの道はクネクネと続くが道幅が極端に狭いところはなく走りやすい。
戸入の集落跡に9月1日からの通行止めと、集落跡に居住している人々の退去を促す看板が高圧的に立っていた。
雨が降り始めた。やれやれ。鬱陶しいことである。
門入まで来ると、旧集落跡にそれぞれ建てられている水資源公団の管理棟がここにもあった。ありがたい。あれを使わせてもらおう。
以前洞吹氏と滝又谷から若丸山へ行った時も櫨原の管理棟を利用したがまことに快適だった。ちゃんと電気も点き、たたみも敷いてある。
思わぬ回り道で時刻はもう2時。朝になったら雨が止むのを祈りながら、Tsutomuさんのレポを肴にひとりビールを飲む。
明日は、いやもう今日か、5時には起きなくては。

5時に目覚ましが鳴った。屋根を叩く雨の音。やっぱりダメか。雨の中を登る山ではない。
沢を詰めてヤブを漕いで、再び沢を下らなければならない。あきらめて再び目をつむった。

7時半。管理棟の外に出てあたりを散策してみる。少し奥に真新しい家があったが誰もいないようだ。
ここ門入(かどにゅう)は旧徳山むらの8集落のうち、唯一ダム湖底に沈まない集落である。
ダムの説明によると、標高403mがボーダーラインらしい。
西谷の対岸に民家が見える。あれが本にあった広瀬さんの家だろうか。とりあえずあちらこちらにカメラを向けた。

次は徳山村の中心地、本郷の集落跡だ。戻る途中、左岸高くに付け替え道路を建設しているのが見えた。工事車両が次々とすれ違っていき、現実に引き戻された。
徳山の集落へ入るとダンプがひっきりなしに行き交い昔日の面影もない。小学校以外の建物はすべて取り壊されて跡形もなくなっている。
本郷の入口のシンボルだった懐かしい橋が残っていると思ったら、橋脚が一本あっただけだった。ため息をついても仕方がない。所詮は部外者の感傷に過ぎないのだ。
心の中に一区切りを付けて徳山を離れた。

このまま家にかえってもしようがない。ここは今日の影の目的である、貝月谷に忘れてきたハーネスの回収に行こう。それだけを目的に大阪からわざわざ来るのは費用対効果がマイナスである。今から向かえば別途計上した経費で回収できて得をした気分になるだろう。
今日は下から遡行するのではなく、ふれあいの森から貝月山へ登頂し、貝月谷を下る方が効率がいいだろう。

ふれあいの森では二人連れの登山者が先行していった。日越峠の方へ行ったようだ。
林道途中から山頂への最短ルートへ入るが、最初から最後までほとんど階段のつまらない登山道だった。途中若いブナ林が多少目を楽しませてくれるが、山頂までワンピッチで上がろうとひたすら足を動かした。
50分足らずで貝月山頂へ到着。4日前に来たばかりの山頂だ。今日は前回と打って変わってガスで何も見えない。
ここで渓流シューズに履き替え、小貝月とのコルを目指す。コルからヤブに飛び込む。こないだは結構ヤブを漕いだような気がしたが、5分ほどで抜けてしまった。あとは小滝の続く谷をこけないように下るのみ。
見覚えのある景色が現われた。ここだ。左手の岩の上にハーネスがあった。
体から物を離す時は目の届く範囲に置かなければいけない。教訓である。
目的を果たしたので安心してプシューとする。とろろそばもなかなかいける。

これから稜線まで200mの登り返しだが、大して下りた感じがしないので楽勝だ。
最後の二俣で山頂への近道をしようと右を取ってみた。ほどなく水が切れ、早や尾根に乗ってしまった。えらい近いやないの。GPSで確認してみると、主稜線から派生した支尾根にいる。
ここからのヤブが一筋縄ではいかなかった。ほとんど隙間のないヤブに無理やり体をこじ入れて少しずつ前進する。こんなことなら下りてきたルートを戻ればよかった。
急がば回れである。結局下りと同じ位の時間を費やして稜線に出た。
シャクナゲ群生地の看板前だ。道理でシャクナゲのヤブがきついはずである。
山頂で再び靴を履き替え、ふれあいの森へ駆け下った。
考えてみればふれあいの森から山頂まで標高差430m。登り返しを合わせると650m。
沢を下から上がれば400m強。どっちが得かよーく考えてみよう。
これは収穫のあった一日というべきなのだろうか。

                 山日和

2006/08/21(Mon) 00:17:13  [No.3393]


  Re: さらば徳山村 投稿者:矢問(やとう)

> Tsutomuさんの千回沢山レポに強い刺激を受けた。いや、もっと正確に言えば強烈な気付け薬をかがされたようだった。

同じく(^^) 土日はモンモンと「行きたいなぁ・・」と。MICKEYのおっかさんが入院になり、そんなときに行ってたら死刑物・・・。ぐっと我慢。
しかし心の中では「山日和さん、行ってるんと違うかなぁ・・」が、当たってるではないか!!!!!!!!!!!

しみじみと拝読させていただきました。住んでいらっしゃった人々の思いは・・・。
ウチの上流の一庫ダムで沈んだ集落の人々の記録を読んだときと同じような感覚・・。

以前、渇水の時に昔の建物や村の道が一庫ダム底から見えたときは「あ〜、これがかつての
集落だったよなぁ」と思い出しました。小さい頃は一庫は飯ごう炊さんで来たことがありました。今は全くの別世界です。ダムができてからはウチの1つ手前の駅前の川では泳ぎ場だった古い写真が。MICKEYの家族というか北摂の人々はいつもここが泳ぎ場だったとか・・。
ダムはいろんな想い出も沈めてしまいます・・・。

2006/08/21(Mon) 22:20:44  [No.3394]


  Re: さらば徳山村 投稿者:山日和

矢問さん、どうもでーす。

> 同じく(^^) 土日はモンモンと「行きたいなぁ・・」と。MICKEYのおっかさんが入院になり、そんなときに行ってたら死刑物・・・。ぐっと我慢。

ううっ、それは苦しい。「山で回復を祈ってくるわ」とか・・・よけいあかんか。(^^ゞ

> しかし心の中では「山日和さん、行ってるんと違うかなぁ・・」が、当たってるではないか!!!!!!!!!!!

行くのは行ったんですけどね。日曜ならよかったけどこれも仕方のないことです。

> ダムはいろんな想い出も沈めてしまいます・・・。

そうですね。心の中にずっと生き続けてくれるよう祈るしかないですね。

                山日和

2006/08/21(Mon) 23:28:56  [No.3397]


  Re: さらば徳山村 投稿者:Tsutomu

山日和さん、三度こんばんは。

やはり行って来られたのですね。雨は残念でした。

門入は唯一沈まない集落ですが、ここまでの道がどうなるかですね。行政は植林管理用の林道を通すといっていたらしいですがそれもどうやら予算的に怪しいらしいという話をどこやらで耳にしました。徳山ダムそのものが予算大幅オーバーっていう事もどこかで聞きました。これだけ金を使って犠牲を出してその水資源の使い道が昨今問題になっている。本当に必要なのか…何を今更…。こんな事を考えると尚更悔しい。

> ため息をついても仕方がない。所詮は部外者の感傷に過ぎないのだ。

そう僕たちは部外者。静かに見守っている意外ありませんね。

Tsutomu

2006/08/22(Tue) 01:07:32  [No.3400]


  Re: さらば徳山村 投稿者:山日和
Re: さらば徳山村 (画像サイズ: 1000×750 192kB)

Tsutomuさん、どうもです。

> 山日和さん、三度こんばんは。

> やはり行って来られたのですね。雨は残念でした。

矢も盾もたまらなくなるというのはこういうことを言うんでしょうね。

>
> 門入は唯一沈まない集落ですが、ここまでの道がどうなるかですね。行政は植林管理用の林道を通すといっていたらしいですがそれもどうやら予算的に怪しいらしいという話をどこやらで耳にしました。徳山ダムそのものが予算大幅オーバーっていう事もどこかで聞きました。これだけ金を使って犠牲を出してその水資源の使い道が昨今問題になっている。本当に必要なのか…何を今更…。こんな事を考えると尚更悔しい。

もう下流では水余りになってるし、やたら目的をいっぱいくっつけて、これがダメなら
あれを主張するという感じ。工事のための工事をしているところが日本全国にありますね。
今年のように水害が起きれば「治水」という名目で勢い付きますしね。
要は「バランス」の問題なのです。
日本の政治家も官僚も「バランス感覚」のない人が多過ぎるように思えます。

                 山日和

2006/08/22(Tue) 21:12:54  [No.3414]


  Re: さらば徳山村 投稿者:山日和
Re: さらば徳山村 (画像サイズ: 1000×750 236kB)

そうそう、西谷左岸高くに道を作ってましたよ。
あれができれば門入に行けるんだろうか・・・

         山日和

2006/08/22(Tue) 21:20:23  [No.3416]


  Re: さらば徳山村 投稿者:とっちゃん(こと)

山さん、こんばんは〜。

 千回沢山には、雨でいけなかったけど、その目で徳山村を見てこられてよかったね。家で思うより、とにかく現地に足を運ぶ。運ばずにはいられなかった、山さんの気持ちが溢れてます。

 お天気さえ一日違いであれば千回沢山に行けたのにと、口惜しい気がしますが、それぞれに、色んな用事もあれば日を選ぶことができない。9月がもっと先の話であればよかったのに・・・。ほんとうに残念だったね。

 永源寺のダムの水量が少なくなると、佐目の集落の跡がうかびあがる。どの地であれ、その広さの多少も関係なく、その地に住んでいた人々の思いは計り知れないものだと思います。

 ましてや、年を重ねた人であればあるほどに・・・。

影の目的、お疲れさまでした。暑い登山道は勝負が早いけど、再び沢を登った方がよかったのかな?藪がなければ、沢、即決だったでしょうね。カラビナもハーネスも、スリングも復帰を喜んでるね。

2006/08/22(Tue) 03:54:22  [No.3403]


  Re: さらば徳山村 投稿者:山日和
Re: さらば徳山村 (画像サイズ: 1000×750 208kB)

とっちゃん、どうもです。

>千回沢山には、雨でいけなかったけど、その目で徳山村を見てこられてよかったね。家で思うより、とにかく現地に足を運ぶ。運ばずにはいられなかった、山さんの気持ちが溢れてます。

そうやね。雨は関係なかった。残念ではあるけれど。
とにかく行こうと思いました。
>
>お天気さえ一日違いであれば千回沢山に行けたのにと、口惜しい気がしますが、それぞれに、色んな用事もあれば日を選ぶことができない。9月がもっと先の話であればよかったのに・・・。ほんとうに残念だったね。

9月からの通行止めに気付くのが遅過ぎました。
Tsutomuさんのレポがなければ知らずに終わってたよ。

> 影の目的、お疲れさまでした。暑い登山道は勝負が早いけど、再び沢を登った方がよかったのかな?藪がなければ、沢、即決だったでしょうね。カラビナもハーネスも、スリングも復帰を喜んでるね。

そうそう、気持ちよく登れる沢なら絶対下から行ってたね。下りも2度おいしいし・・・(^^ゞ
画像は門入です。林の向こうに家が見え隠れしてますね。

                山日和

2006/08/22(Tue) 21:18:36  [No.3415]


  Re: さらば徳山村 投稿者:柳川洞吹

山日和さん こんばんは

ついに徳山村が水没するのですね。
徳山周辺には、昭和46年に一度と、あとはここ7、8年のうちに数回訪れただけですが、
水没して二度とこの地を踏めなくなるというのは、やはり寂しいです。

門入だけは沈まないようだけど、道がつながるのかどうか。
滝又谷の狂小屋のほうは私有地なんだろうから、きっと道はつながるのでしょうね。
今となっては、金ヶ丸谷はいい思い出です。
ハイラックスサーフのエンジンが煙を吹いたのは、確かこの西谷の帰りでしたかね。

九頭龍ダムのように、蓮ダムのように、
自分がその山域を知ったときはすでにダムができていて、
失われた地に深い感傷がわくこともないように、
この徳山ダムも、「時」というフィルタを通して、
昔からそこにあったように、あるのがあたりまえのように、
きっと、そうなっていくのでしょう。
人の心は、せき止められることなく、時の川を流れているのですから。

よい山旅を!
                                洞吹(どうすい)

2006/08/22(Tue) 21:59:21  [No.3418]


  Re: さらば徳山村 投稿者:山日和
Re: さらば徳山村 (画像サイズ: 1000×750 247kB)

洞吹さん、どうもです。

> ついに徳山村が水没するのですね。
> 水没して二度とこの地を踏めなくなるというのは、やはり寂しいです。

徳山、なにか特別なひびきを持つ名前でした。田舎を持たない私にとってはこういうところ
が故郷ならいいなと思わせる村でしたね。

> 今となっては、金ヶ丸谷はいい思い出です。
> ハイラックスサーフのエンジンが煙を吹いたのは、確かこの西谷の帰りでしたかね。

そうですね。その節はお見舞いも頂きませんで・・・(^_-)
金ヶ丸谷は心洗われる谷でしたね。延々と続く荷造りテープを除いては・・・
>
> 九頭龍ダムのように、蓮ダムのように、
> 自分がその山域を知ったときはすでにダムができていて、
> 失われた地に深い感傷がわくこともないように、
> この徳山ダムも、「時」というフィルタを通して、
> 昔からそこにあったように、あるのがあたりまえのように、
> きっと、そうなっていくのでしょう。
> 人の心は、せき止められることなく、時の川を流れているのですから。

そうかもしれません。でも知っている、知っていたという事実は、決して消し去ることは
できないでしょう。そして静かな湖面を眺める度に思い出すのでしょうね。

ところで、一旦夜叉ヶ池へ上がってから根洞谷〜金ヶ丸谷と周遊したいと思っているのですが・・・

               山日和

2006/08/22(Tue) 23:46:11  [No.3421]


  Re: さらば徳山村 投稿者:柳川洞吹

山日和さん こんにちは

> > ハイラックスサーフのエンジンが煙を吹いたのは、確かこの西谷の帰りでしたかね。
> そうですね。その節はお見舞いも頂きませんで・・・(^_-)

ラジエータに穴があいていることを運転者に知らせないで運転させるとこうなる……
ということを実証した次第です。(^^;;

> 金ヶ丸谷は心洗われる谷でしたね。延々と続く荷造りテープを除いては・・・

そうでしたね。
荷造りテープが何百メートルも引き回してありましたね。
全部回収して、レジ袋の大袋がふたつできたのでした。

> そして静かな湖面を眺める度に思い出すのでしょうね。

この感傷はずっと残るでしょうね。
沈む前のことを知っているのですから。

> ところで、一旦夜叉ヶ池へ上がってから根洞谷〜金ヶ丸谷と周遊したいと思っているのですが・・・

むむ……………………
魅力はあるけど、すごいルートですね。

以前の門入側から行った記録を見ながら考えましたが、
三周ヶ岳へ2回登るも同然に加えてこれだけの長大ルート、
途中で引き返すこともできないし、ただではすまないですね。

1泊2日を目一杯行動するのは必然にしても、3日目に家で休養できる予備日が欲しいところです。
土日を目一杯やって、翌朝の月曜5時前起き出勤は、今は、ちょっと体力的に自信がありません。
前より体力落ちてますからね。

                                  洞吹(どうすい)

2006/08/24(Thu) 12:41:11  [No.3429]


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