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 この週末は天気も悪くレポもあまり上がらないようだ。なにもすることが
ないし、ヒマつぶしに古いレポでもアップするか。


 奥美濃の秀峰、屏風山。その四方に刻み込まれた渓流は、未だ原始の姿を
とどめている。そんな谷のひとつ、根尾川源流の岩ノ子谷東ノ水谷から越美
国境稜線へ上がり、福井県側の笹生川中ノ水谷へ降り、再び越美国境へ登り
返したあと、ムクロ谷を下降、岩ノ子谷の中ノ水谷へ繋ぐという、山頂を目
指さない源流の山旅を味わってきた。

[日 時]2001年5月19日(土)〜20日(日)
[山 域]奥美濃、越前 屏風山周辺
[天 候]晴れ
[メンバー]単独

 先週、車を洗っている時に持病の腰痛が久しぷりに出てきた。そのうち治
まると思っていたが、どうも好転しないようだ。迷ったが、とりあえず出発。
行けるとこまで行ってみよう。

 うすずみ温泉の手前で、イズミヤで買ってきた寿司の昼飯。食べ終わって
洞吹氏にメールを打つ。
今日はQちゃんさんやコダマさん達と伊吹山北尾根へ行くと言っていた。
「みなさんによろしく。」とご機嫌伺いしたが、届かなかったのか返信なし。

 能郷から黒津への細い細い国道を通り、黒津の集落を右折、越波(おっぱ)
へ向かう。
幸い通行止もなく、岩ノ子林道に入ると、なにやら工事現場が。
なになに「岩ノ子第二砂防ダムエ事」どこに作るんや。
見てみると、枝谷に建設中だ。「よかった・・・」 とは言え、さして必要と
も思われない工事が一般人の目につかない山奥で今日も行われている。

 さらに進むと、「岩ノ子第一砂防ダム」なるものが登場。大きなダム湖がで
きていた。説明版があり、魚道を作って生息環境に気を遣っていることをア
ピールしているが、誰も読まないだろう。

 チェーンゲートがあり、ここでストップ。ダムの下まで戻り駐車する。
今年初めての沢支度。ガチャ物は似合わない谷だが、初見でもある事だし、
いちおうひと通り持っていくか。ただしヘルメットは家に置いてきた。
 林道を歩く。署い。もう真夏のようだ。
10分ほどで西ノ水谷出合。ここは先月磯倉へ登ったあと来ようとして、天気
が悪そうなので断念した谷だ。(結果的には左門岳で桃源郷を見つけられて
よかったのだが)
 ほどなく林道終点。正確には折り返してまだ上に続いているようだが、草
深くここが終点と言ってもいいだろう。
 小径をたどり、入渓する。穏やかな流れ。水量も少ないようだ。

 出発から30分で東ノ水谷出合に到着。正面の中ノ水谷の渓相に惹かれて、
計画変更しようかとも思ったが。まず人に会うこともないだろうし、家に残
してきた計画書通りにしておこう。

 東ノ水谷に入ってすぐ、スノーブロックが残っていた。標高はまだ500m足
らずだというのに、さすが豪雪地帯だ。水は少なく、流れにも迫力がない。
そう言えばここんとこしぱらく雨が降ってないなあ。雪解けの時期が終わり、
梅雨に入るまでの渇水期かもしれない。

 倒木、土砂崩れが目立つ。水害の影響だろうか、美しいはずの渓相がまっ
たく冴えない。それでもブナの巨木が目立つようになると、いくぶん気持ち
もなごんでくる。ところが川幅が広くなったと恩ったら、水流がなくなって
しまった。完全な伏流帯になっている。

 再び水が流れ出すと、谷の荒れが目につく。
 「東ノ水って、すごいきれいな谷のはずなんやけどなあ。」こんなはずで
はという思いが胸をよぎる。

 4時を過ぎ、そろそろテン場を物色しながら前進する時間帯となる。いつ
ももう少しもう少しで突っ込みすぎて、結局とんでもない所でビバークする
はめになったりするので、今日は早めに決めよう。(心当たりありますよね、
洞吹さん)

 谷がやや源流の装いを見せてきたところで、なかなかいいテン場を発見。
高度計は標高770mを指している。水辺から一段上がった台地をツェルトひと
張り分整地。ツェルト設営、ビール冷やし、薪集め、ランタンのマントル交
換とけっこう忙しい。

 今日は独りだしヒマなので本を持ってきた。
大内尚樹氏の「山ヘー原始の香りを求めて」この谷にぴったりか。
 ビールを飲みながら、ページをめくる。なかなか面白い。こういう環境で
は一切雑音が入らないので読書に専念できる。おっと湯が沸いた。今日は牛丼。
めんどくさがりなので、山では料理しない。いつもレトルトオンリーだ。

 食事が終わると、久々の焚火タイム。薪はたっぷり集めた。乾いているか
らさぞかし豪快に燃えてくれるだろう。
 紙切れから柴木に一発点火。期待通り、炎が天を衝<ように燃え上がる。
焚火にあたりながら、本を読み進める。さすがに焚火の明かりだけでは読め
ないのでヘッドランプ点灯。ペツルのティカの白い光は、読書には最適である。    `

 いつしか夜も更けシュラフにもぐりこむが、いつもの常でなかなか寝付けない。
まどろみの淵に落ちていったのは、12時を回っていただろうか。

 翌朝、5時半起床。今日も天気はいいようだ。
カップめんの朝食をそそくさと済ませ、未練たらしくもうー度焚火を起こす。
別に寒いわけでもないのに、薪が残っていれば焚火をしたくなるのは私だけ?

 7時半に出発。いよいよ源流帯に入る。ここからが読図力の勝負。枝谷の1本
1本を地形図と高度計と照らし合せて進路を決める。
 やっと滝が出てきた。といっても2〜3mの小滝ばかり。すべて直登できる。

 前方に小さなスノープリッジ。走ってくぐり抜ける。
谷の傾斜はどんどん強まり、最後に15mほどの涸滝を登ると谷の形がなくなり、
ヤプの薄い斜面に変わった。
 ヤブこぎなしで稜線に到達。ここは屏風山から南へ延びる尾根上で、県境
稜線の少し手前の地点だ。眼下に一昨年登った屏風谷が深い切れ込みを見せ
ており、その向こうに屏風山東尾根が大きく翼を広げていた。

 尾根上は意外と歩きやすい、と思ったのも束の間、忽ち激ヤブにつかまった。
薄い踏み跡でもあれば屏風山まで行けるかも、という甘い期待は見事に打ち
砕かれた。
県境稜線のラインを過ぎたことを確かめて、越前側の中ノ水谷源頭へ降りる。
 ここは県境稜線をはさんで、東ノ水、中ノ水、西ノ水というまったく同じ
名前の谷が
両側にある変わった所だ。
 右から谷が出合う。(こちらが本流か)地形図によると、ムクロ谷へ乗り
越すにはこの出合から南南西向きに斜面を急登しなければならない。
 適当な所から取り付く。ヤブはあまりなく歩きやすいが、凄い急斜面だ。
3分ぐらい登っては、ゼーゼーと息をつく。高度差は80mほどだが、たっぷり
と汗をかかされてしまった。

 県境稜線はまったくのヤブである。ズボンのポケットをさぐるとコンパス
がない。
「しまった」ひもがヤブにひっかかったのか。でもあとは下るだけ。登りで
なくてよかった。

 ムクロ谷へは笹の斜面に突っ込んでいく。どこを降りても大差ない。しぱ
らく下ると水が流れ出し、好ましい渓相になってきた。
 この谷は東ノ水ほど荒れていないようだ。やっと心が和んできた。ここま
での行程、計画段階では美しい谷を巡る源流行のはずだったのだが、現実は
荒れた谷筋と貧弱な水流で期待はずれだったのだ。
「このまま終わるはずがない。終わって欲しくない。」切実な思いが通じた
のか、落ち着いた谷筋は倒木もなく、原生林のグリーンシャワーが流水に降
り注ぐ。

 いくつかの小滝をクライムダウンして、流れが落ち着きを取り戻すと、中
ノ水谷に合流する。
 ここもまた穏やかな流れ。昼飯とするが、本当は今日飲むはずのビールを
ゆうべ飲んでしまった。ううっ。ビールが欲しい。
 ゆっくり昼寝でもしたいところだが、そうもしていられない。

 相変わらずゆったりとした流れの中を、のんびりと歩く。金ヶ丸谷の中流部
のような、素晴らしい樹林の中を悠然と流れる川。谷というより川と言った方
がぴったりくる。

 前方がなにやら暗くなってきた。「やっぱりこのままでは終わらんか。」
この山行で初めてのゴルジュと言えるような地形。
 最初のS字状は難なく通過できたが、次のゴルジュは深い釜で行<手をさ
えぎられ、そのむこうに岩堤が見えているが、その先はかなり落差があるようだ。
 左岸を巻き上がる。巻き道があまり明瞭でない為、上がりすぎてしまった。
しなくてもいい懸垂をするはめに。結局元のラインヘ下りついて、そのまま
トラバース、危ない所にはフィックスもあった。下から回り込んでみるとな
かなか見栄えのいい滝だった。

 最後にもう―箇所、陰鬱な廊下状で深い。今度は左から簡単に巻いてクリアー。

 黒い岩床のナメを過ぎると、振り出しの東ノ水谷出合に帰ってきた。ここ
までくればひと安心。
 この2日間の源流行を振り返りながら、足元をさらさらと流れる中ノ水谷の
感触を惜しむようにゆっくりと歩を進めた。

                 山日和

2006/11/19(Sun) 20:33:45  [No.4908]


山日和さん、こんばんは。

ここのところ、週末は天気に恵まれません。晴れ男もどこへやら。かわりに雨男だった友人が(「そばつる」というハンドルネームでその内登場させたいんですけど)このところ天候に恵まれた登山を重ねております。悔しいー!

またまた凄い過去レポですね。山域を聞いただけでひかれてしまいました。過去レポの時は何故かこの地域が多い気がするんですが…。気のせいかな。

西ノ水といい、今回の福井県境を挟んだ谷周遊といい、トレースしたいなとは思うもののやっぱ無理だわな。地形図を見る限りこんなところは歩けないぜ!って感じ。このレポを読むまでこんなところに人が行くわけがないと思っていた場所です。フィックスロープがあるなんて記述を見るとこんなところにも人は行くのですね。釣り師かな。

山日和さんの踏み跡はトレースできないまでも少しぐらいはかじってみたいです。特にムクロ谷から中ノ谷(これは固有名詞というより一般名詞ですよね)の風景はぜひ見てみたいような(「ムクロ谷」という名はどんな由来があるのだろう。気になるところです。平氏の骸ということか)

う〜ん、ここのところ山に行ってないから身体がうずく!どこかへ行きたい!でも足が…(実は膝以外に新しい怪我が…)春から夏にかけて快調だっただけにこんな時もあるかな。早く山に登りたいです(^^;

                 Tsutomu

2006/11/21(Tue) 21:17:53  [No.4929]


Tsutomuさん、どうもです。
「そばつる」さん。おいしそうなハンドルですね。(^^ゞ
デビューお待ちしていますよ。

> またまた凄い過去レポですね。山域を聞いただけでひかれてしまいました。過去レポ
の時は何故かこの地域が多い気がするんですが…。気のせいかな。

最近行けてないからノスタルジーですかね。それにこのあたりのレポは登場することが
ないので、Tsutomuさん向けですよ。(^_^)

> 西ノ水といい、今回の福井県境を挟んだ谷周遊といい、トレースしたいなとは思うも
ののやっぱ無理だわな。地形図を見る限りこんなところは歩けないぜ!って感じ。この
レポを読むまでこんなところに人が行くわけがないと思っていた場所です。フィックス
ロープがあるなんて記述を見るとこんなところにも人は行くのですね。釣り師かな。

地形そのものはわりとおおらかですよ。福井県側もそんなに厳しいところはありません。
以前敗退した中ノ水の本流ゴルジュはちょっと苦労しそうですが、ムクロ谷や東ノ水は
やさしい渓です。
釣り師はどんなとこでも入り込んでいます。その執念には脱帽です。(Tsutomuさんも
かつてはそうだったのかな^^;)

> 山日和さんの踏み跡はトレースできないまでも少しぐらいはかじってみたいです。特
にムクロ谷から中ノ谷(これは固有名詞というより一般名詞ですよね)の風景はぜひ見
てみたいような

いやいや、千回沢へ行ったTsutomuさんなら全然問題ないです。谷中泊でなければどこで
引き返すかがポイントになりますが。
前に再録した西ノ水直登沢からの周遊なら1日で周回できますよ。

> う〜ん、ここのところ山に行ってないから身体がうずく!どこかへ行きたい!でも足
が…(実は膝以外に新しい怪我が…)春から夏にかけて快調だっただけにこんな時もあ
るかな。早く山に登りたいです(^^;

そうなんですか。同病相憐れむですね。(^^ゞ
お互い早く治して復帰しましょう。

                山日和

2006/11/22(Wed) 01:07:22  [No.4938]


Tsutomuさん、こんばんは〜。

> う〜ん、ここのところ山に行ってないから身体がうずく!どこかへ行きたい!でも足が…(実は膝以外に新しい怪我が…)春から夏にかけて快調だっただけにこんな時もあるかな。早く山に登りたいです(^^;


なにも、怪我まで師匠にみならわなくてもよかったのに〜。

早く直してね〜。

二人一緒に快気祝いできるといいなぁ〜。

2006/11/24(Fri) 01:22:42  [No.4958]


山日和さん こんばんは

おとなしゅうしてますか?!

じっくり読みこみ地形図を辿りました。

深いですなぁ この山域、山や渓の道楽歩きで入る変人?
はどの位いるんでしょうかねぇ

記載はありませんでしたが、当然、二日間、誰にも会いませんでした?

渋〜い谷歩きですね

テン場は東水谷とのことですが、これがムクロ谷だと一人はチト
気色悪いですなぁ〜

>  尾根上は意外と歩きやすい、と思ったのも束の間、忽ち激ヤブにつかまった。
> 薄い踏み跡でもあれば屏風山まで行けるかも、という甘い期待は見事に打ち
> 砕かれた。

行けそうに思いますねぇ 安易に・・
県境尾根も激ヤブですか

>  相変わらずゆったりとした流れの中を、のんびりと歩く。金ヶ丸谷の中流部
> のような、素晴らしい樹林の中を悠然と流れる川。谷というより川と言った方
> がぴったりくる。

ええですなぁ まず、地形図見て、この周辺に入ること自体に覚悟が
いるようで、その分、静寂は保証付きみたいな 感じの山域に思えます。

奧美濃の山は、もう雪ですかねぇ

では また 快気祝いの奧美濃の雪稜で

    SHIGEKI

2006/11/23(Thu) 23:19:04  [No.4953]


SHIGEKIさん、どうもです。

> おとなしゅうしてますか?!

ひたすらガマンの子ですわ。

> 深いですなぁ この山域、山や渓の道楽歩きで入る変人?
> はどの位いるんでしょうかねぇ

釣り人は結構入ってますよ。トラロープがあちこちにあります。
まだ原始の匂いが残る山域です。

> 記載はありませんでしたが、当然、二日間、誰にも会いませんでした?

当然と言えば当然でしょう。

> テン場は東水谷とのことですが、これがムクロ谷だと一人はチト
> 気色悪いですなぁ〜

名前は気持ち悪いですがこちらの方がきれいな谷でした。

> 行けそうに思いますねぇ 安易に・・
> 県境尾根も激ヤブですか

このあたりのヤブは半端じゃないですよ。

> ええですなぁ まず、地形図見て、この周辺に入ること自体に覚悟が
> いるようで、その分、静寂は保証付きみたいな 感じの山域に思えます。

数年前の岳人の奥美濃特集に出ていたこの谷の写真に惹きつけられました。

> では また 快気祝いの奧美濃の雪稜で

ぜひよろしくです。(^_^)

                山日和

2006/11/24(Fri) 00:07:00  [No.4955]


山さん、こんばんは〜。

>  この週末は天気も悪くレポもあまり上がらないようだ。なにもすることが
> ないし、ヒマつぶしに古いレポでもアップするか。

山さんは、はじめての山に行けない経験かなぁ。なんだか、心がおちつかないでしょう。

山さんもこんなふうに沢とまりして、焚き火して歩いてたんやね〜。そんな歩き方、山さんとであってからは一度もないような。

なんだか、そんな時間を、ゆっくりと楽しめる沢歩きもしたいもんやね。

源流を巡る・・・豊かな気持ちになれてええなぁ〜。

2006/11/24(Fri) 21:35:54  [No.4964]


とっちゃん、どうもです。

> 山さんは、はじめての山に行けない経験かなぁ。なんだか、心がおちつかないでしょう。

いやいや、初めてではありません。
7年前の冬に大峰の太古ノ辻から前鬼への下りで、足首が逆に曲がるような捻挫(人生唯一
の捻挫経験です)をしてひと月棒に振りました。8年前の冬にはギックリ腰でひと月。
その頃はまだ毎週登ってなかったのでそれほど苦痛でもなかったけどね。

> 山さんもこんなふうに沢とまりして、焚き火して歩いてたんやね〜。そんな歩き方、山さんとであってからは一度もないような。

そうやな〜。この3年沢で泊まってないね。それまでは毎年泊まってたんやけどね。

> 源流を巡る・・・豊かな気持ちになれてええなぁ〜。

「源流」という言葉の響きが大好きやね。だから沢は詰め上がらずに途中で止めたくないんです。

                 山日和

2006/11/24(Fri) 23:18:30  [No.4967]


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