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【日 時】2005年8月21日(日)
【山 域】若狭 野坂山地
【天 候】晴れのち曇りのち雨
【コースタイム】関電施設7:30---8:27谷出合---9:16二俣9:30---10:18三俣10:32---
11:12庄部谷山12:18---12:38引き返す12:56庄部谷山---14:52駐車地

 庄部谷山、この耳慣れない山の名は草川啓三氏の「湖西の山を歩く」で知った。あとで見てみると増永迪夫氏の「福井の山150」にも紹介されていたのだが。
地形図には山名の記載がなく、登山道もない。隣の芦谷岳と並んでブナ林の残る静かな山のようである。

 美浜町から新庄への道もすっかりおなじみになってしまった。新庄の集落から左折して横谷川沿いの林道に入る。
前回駐車した関電の施設前に車を止めた。少し先まで偵察したが、右斜面からの土砂の押し出しで通行不能だった。
 先日の北陸地方の大雨の名残か、横谷川はずいぶん水量が多く流れも速い。20分足らずで大堰堤の林道終点となり、相変わらず崩れかけの巡視路を辿る。
 天気予報とにらめっこで一番降水確率の少ない山域を選んだ甲斐あって、頭上には青空が広がっている。

 そろそろ前回間違えて右岸へ渡った最初の橋のはずだが見当たらない。ふと対岸を見ると流された橋が横たわっていた。これは先が思いやられる。
左岸を進むとこの巡視路で一番立派な吊橋に出た。上流側から橋を眺めてあぜんとした。水面から2mほどの高さで架かる橋には流木が引っ掛かり、橋そのものが傾いている。
あそこまで水位が上がったのか。凄まじい濁流の爪痕を目の当たりにして身の引き締まる思いがした。
 幸い渡渉には支障のない水量だ。スタートから渓流シューズを履いていたので難なくクリア。
結局通過した5本の橋の内渡ったのは1本だけだった。

 庄部谷山へ向う谷の下り口には赤いテープがヒラヒラとぶら下がっている。本流を渡渉するとここの下流にも流された橋が岸に引っ掛かっていた。
 名も知らぬこの谷は出合からまったく落差という言葉を知らぬように平流が続く。時折ゴルジュっぽいところや、ナメらしきものが出てくるものの、ほとんど変化のない沢歩きが続いた。
それでも両岸の自然林は美しく、退屈させない。沢沿いに踏み跡もあり、ところどころ炭焼窯跡が点在する。

 前方に巨大な木が現われた。カツラの木だ。左に蛇行して開けた谷の真ん中に、まるでこの谷の守り神のように鎮座している巨木は、背後に大岩を従えてまるで御神木のようだ。
谷の両岸は大きく開けて、トチとカツラのワンダーランドとなった河岸台地にはなにか霊気のようなものすら感じられる。

 庄部谷山と芦谷岳北方稜線の間に突き上げる本流も魅力的だったが、今日は第一目的の庄部谷山を目指してCa410mの二俣から右の支流に入った。
やっと傾斜が増し始めて沢登りらしくなってきたとは言うものの、1〜2mの小滝ばかり。出合からすぐの二俣は左、続く三俣は一番右を取る。
大きな木はないものの、予想外にヤブっぽさもなくさわやかな谷である。
 出てくる二俣は左、左と取る。このあたりまで来ると傾斜が強いので小滝の連続という感覚だ。
最後の二俣は稜線の低そうな右を取ったが、最後の最後で連瀑帯となった。最初の二つは簡単に直登できたが、次の直瀑は両岸ともボロボロのザレと急な草付に阻まれて行き詰る。その上にも滝が続いている。
やむなく滝を二つ下降して右岸の草付を這い上がり、急傾斜の小尾根に取り付いた。この尾根もなかなかでフルタイム4輪駆動全開である。
やっと現われ始めたブナ林が心を慰めてくれる。ここまではトチやカツラの大木はあるものの、ブナにはお目にかかれなかったのだ。
 
 尾根にたどり着いた。頂上の少し東側。予想に反して立派なブナ林ではなく、針葉樹交じりの自然林だった。
右へ5分で庄部谷山頂上。静かな山である。山頂には三角点だけがひっそりと佇み、標識のひとつもない。
テープ類も谷の入口に少しあっただけであとはまったく見なかった。シートを広げてビアタイム。意外にも電波が通じる。
大阪の方は雷雨らしいが、こちらはまだ時折太陽が顔を覗かせている。

 ゆっくり休んでいると遠くの方で雷が鳴り出した。なんとか持つだろうと芦谷岳方面へのゆったりした尾根に踏み出した。
比較的しっかりした踏み跡があるこの尾根は、下生えなくスッキリとはいかないが、歩くのには何の支障もない。
一度下ってCa860mピークのあたりから太い木はないもののブナ林が広がり始めた。
ふと足元に目をやると、ナツエビネが一輪。一昨年の若狭駒ヶ岳以来だ。

 尾根がV字型に屈曲するCa850mピークのあたりで雷の音が大きくなり、雨が降り始めた。
これはいかん。予定のルートは先が長過ぎる。ここは潔く引き返そう。ここから先はまたのお楽しみだ。
急ぎ足で庄部谷山へ戻り、北西に延びる尾根を下ろう。車への最短距離である。
 この尾根に入るには772mへの北尾根へ入り、すぐに北西→西→北西へと進路を変える複雑なルート取りをしなければならない。もちろんテープなどあろうはずもないが、なんの境界か赤い杭があるので歩いた人もあるという安心感がある。

 しかしそれも束の間。いつの間にか赤杭もなくなり、尾根は急速に高度を落としていく。行き着く先は谷だ。やっぱりはずしたか。これも半分くらいは織り込み済み。いざとなれば再度渓流シューズに履き替えて谷を下ろう。
 ところがこの下りも半端ではなかった。足元はずるずるの土斜面。ホールドになる木も意外に少なく、転倒寸前のスリップを繰り返しながら下りて行く。
もうええかと谷へ出たが、強さを増した雨脚に水流は味噌汁色に変わっている。この源流でこれなら下はやばいんじゃないか。
 思い直して対岸の右斜面を尾根を求めてトラバースし続けた。谷をふたつまたいだところでやっと幅広の小尾根に出た。
少し下ると植林帯。枝打ちもされている。助かった。これなら現役の杣道があるはず。ほどなく杣道を発見、勇躍下っていくとすぐに消えてしまったが十分歩ける。
すると下方の斜面にトラロープが見えた。そこまで下ってみるとそのトラロープは下流に向って延々とトラバースするように付けられていた。ところどころ抉り取られた斜面もロープのおかげでなんとか通過。ロープがあるから歩けるものの、これはハードな道である。
 
 トラロープは何百m続いたろうか。やがて親しみのある赤い標識、関電巡視路の看板が目に飛び込んだ。これでほんまに助かった。
ロープ沿いの谷は大きな滝が続いて濁流が岩を洗っている。谷に下りなくてよかった。
ゆっくり休み、バナナカステラと冷たいお茶で空腹を満たす。
人心地ついたとはこのことだろう。

 ここから車まではわずか15分。下り立ったのは関電施設よりも下流の林道だった。

                        山日和

2005/08/23(Tue) 00:15:28  [No.505]


山日和さん こんばんは

横谷川、林道はあいかわらず山ヌケだし、巡視路の橋はズタズタだったようですね。
ここはやっぱり険路、険谷やなあ。

>  名も知らぬこの谷は出合からまったく落差という言葉を知らぬように平流が続く。時折ゴルジュっぽいところや、ナメらしきものが出てくるものの、ほとんど変化のない沢歩きが続いた。
> それでも両岸の自然林は美しく、退屈させない。沢沿いに踏み跡もあり、ところどころ炭焼窯跡が点在する。
> 谷の両岸は大きく開けて、トチとカツラのワンダーランドとなった河岸台地にはなにか霊気のようなものすら感じられる。

この支谷は、なかなか雰囲気がよさそうですね。
そのうち一度行ってみなくては。

>  尾根にたどり着いた。頂上の少し東側。予想に反して立派なブナ林ではなく、針葉樹交じりの自然林だった。

ここはブナ林じゃなかったのですか。

> 一度下ってCa860mピークのあたりから太い木はないもののブナ林が広がり始めた。

こちらのほうは、ブナ林が広がっているのですね。

>  尾根がV字型に屈曲するCa850mピークのあたりで雷の音が大きくなり、雨が降り始めた。
> これはいかん。予定のルートは先が長過ぎる。ここは潔く引き返そう。ここから先はまたのお楽しみだ。

テレビでやってましたが、樹林の中と言えども安心できず、雷撃の危険があるとのこと。
ゴロゴロ聞こえたら、雷雲はもう10q〜20qの距離に接近しているので、
さっさと退散するのが賢明のようです。

>  ところがこの下りも半端ではなかった。足元はずるずるの土斜面。ホールドになる木も意外に少なく、転倒寸前のスリップを繰り返しながら下りて行く。
> もうええかと谷へ出たが、強さを増した雨脚に水流は味噌汁色に変わっている。この源流でこれなら下はやばいんじゃないか。

緊迫の退路やのう。

>  思い直して対岸の右斜面を尾根を求めてトラバースし続けた。谷をふたつまたいだところでやっと幅広の小尾根に出た。
> 少し下ると植林帯。枝打ちもされている。助かった。これなら現役の杣道があるはず。ほどなく杣道を発見、勇躍下っていくとすぐに消えてしまったが十分歩ける。
> ロープ沿いの谷は大きな滝が続いて濁流が岩を洗っている。谷に下りなくてよかった。

やはり、経験と度胸が物を言う非常時ですなあ。

>  トラロープは何百m続いたろうか。やがて親しみのある赤い標識、関電巡視路の看板が目に飛び込んだ。これでほんまに助かった。
> ゆっくり休み、バナナカステラと冷たいお茶で空腹を満たす。
> 人心地ついたとはこのことだろう。

ほっとしましたね。
読んでいてもハラハラしました。
安全第一で行きましょう。

よい山旅を!
                       洞吹(どうすい)

2005/08/23(Tue) 23:10:34  [No.506]


洞吹さん、どうもです。

> 横谷川、林道はあいかわらず山ヌケだし、巡視路の橋はズタズタだったようですね。
> ここはやっぱり険路、険谷やなあ。

去年行った時は巡視路はきれいに整備されていたんですが、ひとたび大雨が降れば一巻の終わりですね。
ここを巡視する関電職員も大変やなあ。

> ここはブナ林じゃなかったのですか。

ブナはありますが、ブナ林(純林としての)というほどではありません。まあ普通の雰囲気でしたね。
芦谷岳の方がちょっと上か。

> こちらのほうは、ブナ林が広がっているのですね。

ここから芦谷〜三国の稜線へはぜひ繋げたいものです。

> ゴロゴロ聞こえたら、雷雲はもう10q〜20qの距離に接近しているので、
> さっさと退散するのが賢明のようです。

さっさと退散できる場所ならいいのですが・・・

> 緊迫の退路やのう。
> やはり、経験と度胸が物を言う非常時ですなあ。

結構虎児を得るために虎穴に入るほうなので退屈しませんね(^_^;)

> 安全第一で行きましょう。

それが一番ですね。でもちょっとスパイスがないと淋しい・・・

ではまたマーキングのない無人境で・・・・

                     山日和

2005/08/24(Wed) 00:41:25  [No.507]


山日和さん、はらはらどきどきの山の報告読ませてもらいました。

庄部谷山は、雪山の時に友人がブナ林がよかったと言っていたので、ぜひ行きたいと思っていました。
山頂は、それぼどでもないのですね。

ブナはコースにもよるのかもしれませんが、雪山で、一度行ってみたいと思います。

一輪の夏エビネは、森の微笑みのようですね。今年は、おめにかかっていません。さわやかな花に。

2005/08/25(Thu) 21:50:22  [No.509]


tottyann、どうもです。この山域はいいブナ林が残っていてとてもステキですね。人に会わないのがまたGOOD。
テープも標識も少ない清々しい山々です。
集中的に入ってみようかな。

> 一輪の夏エビネは、森の微笑みのようですね。今年は、おめにかかっていません。さわやかな花に。

画像を見てみたら二輪でした。ボケボケでしたが(^_^;)

                       山日和

2005/08/27(Sat) 23:04:31  [No.510]


こんばんは 朝の気温が下がり目覚めが遅れますね 

新庄から三重岳に登った折り 豪雪地だけに山渓には立派な樹林が残ってますね

> 地形図には山名の記載がなく、登山道もない。隣の芦谷岳と並んでブナ林の残る静かな山のようである。

また訊ねたくなる美味しそうなレポでした でも場面場面を良く記憶されてますね 地形図見ながらコース取りが良く分かります

> 両岸の自然林は美しく、退屈させない。
> 前方に巨大な木が現われた。カツラの木だ。左に蛇行して開けた谷の真ん中に、まるでこの谷の守り神のように鎮座している巨木は、背後に大岩を従えてまるで御神木のようだ。
> 谷の両岸は大きく開けて、トチとカツラのワンダーランドとなった河岸台地にはなにか霊気のようなものすら感じられる。

こんなの読むと 若狭ボヘ行きたくなるです 

> 強さを増した雨脚に水流は味噌汁色に変わっている。この源流でこれなら下はやばいんじゃないか。
> 思い直して対岸の右斜面を尾根を求めてトラバースし続けた。谷をふたつまたいだところでやっと幅広の小尾根に出た。
> 谷に下りなくてよかった。
> ゆっくり休み、バナナカステラと冷たいお茶で空腹を満たす。
> 人心地ついたとはこのことだろう。

行き馴れた所でのアクシデントは余裕でも 初めてと成ると緊張しますね
タップリと水を含んだ草つき斜面は 地面が滑り出す不安定さを覚えます
谷の増水は濁り水となり渡渉など絶対にできない 高みを求めて下り口を捜したなあ

良い山旅をです         緑水               

2005/08/28(Sun) 21:19:48  [No.512]


緑水さん、どうもです。

> 新庄から三重岳に登った折り 豪雪地だけに山渓には立派な樹林が残ってますね

そうですね。伐採、植林がもう進まないといいのですが。
今月の岳人に芦谷岳〜野坂岳の稜線が紹介されてましたね。

> 行き馴れた所でのアクシデントは余裕でも 初めてと成ると緊張しますね

先の状況がわからないだけにちょっと焦りますね。時間に余裕があったのでなんてこともなかったですが、
これが日没間近だったりすると辛いですね。

> 谷の増水は濁り水となり渡渉など絶対にできない 高みを求めて下り口を捜したなあ

去年雷雨の中、元越の仏谷右俣を下った時は出合で20分ばかり水が引くのを待ちました。
雨がやんでいたのでみるみる水位が下がるのがわかりました。
まあ、知った場所だから余裕で待てたのでしょうけど。
安全第一ですね。

                     山日和

2005/08/28(Sun) 22:32:47  [No.513]


おはよう涼しい朝 空は秋晴ブルーです(^^)
秋刀魚をササに泡は秋味 スズムシコオロギ秋虫コーラス ハラムシも仲間に入れて ボヘミアン気候に成ってきましたね

>> 新庄から三重岳に登った折り 豪雪地だけに山渓には立派な樹林が残ってますね
> 今月の岳人に芦谷岳〜野坂岳の稜線が紹介されてましたね。

覗きたくなる条件が揃ってきましたです
丹後半島も何かしら惹かれるものが有ります 行きがけの駄賃には荷が重いかな

> 時間に余裕があったのでなんてこともなかったですが、
> これが日没間近だったりすると辛いですね。
> 去年雷雨の中、元越の仏谷右俣を下った時は出合で20分ばかり水が引くのを待ちました。

読ませて貰いました あんな小さな谷でも急激な増水時は動くのは危ないですね 谷は漏斗だもんね 石ころなんか簡単に流される
仙香谷を遡行中に いる所は小雨なのに上流部に豪雨なのか 左から入る谷はみそ汁色から泥水に変わる みるみる石を隠す早さは恐いほど
本流の赤坂谷は未だ清流なんですが 大滑滝下に着くと落ち葉の浮けと濁水が来る先行のパーティーは食事もせず引返す 下流部は危険も増すのにリーダー経験の見せ所ですね

> 尾根がV字型に屈曲するCa850mピークのあたりで雷の音が大きくなり、雨が降り始めた。
> これはいかん。予定のルートは先が長過ぎる。ここは潔く引き返そう。ここから先はまたのお楽しみだ

雨が止むか続くかの見立てと 行くか戻るかのカンはさすがですね 
安全第一が一番です。

                      緑水

2005/08/31(Wed) 07:41:15  [No.519]


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