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再録【奥美濃】笹生川中ノ水谷から屏風山 (画像サイズ: 1000×750 345kB)

mayonekoさんの屏風山の話題が出たところで、ひまつぶしのレポート再録を。


 奥越を代表する名渓、笹生川中ノ水谷。(又は中ノ水沢) 越美国境山脈の雄、屏風山を挟んで奥美濃側と同じ名前を持つこの沢は、大きな滝こそないが豊穣な深い森をたおやかに流れる、心洗われる素晴らしい渓であった。


【日 時】2003年8月2日(土)〜3日(日)
【山 域】越美国境 屏風山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】柳川洞吹氏、山日和
【コースタイム】8/2 坂見谷出合8:20---11:20東ノ水谷出合12:13---13:01デサアラクラ谷出合
http 13:16---13:46サンガイ滝---14:57アラクラ谷出合
http 8/3 ビバーク地7:06---10:18屏風山10:43---11:34トチクボ谷---12:37二俣
http 13:06---15:17中ノ水谷出合---16:08巻き道入口---17:12坂見谷出合

 やっと長かった梅雨が明けた。2年前、奥美濃の東ノ水谷から国境を越えて越前中ノ水谷の源流へ入り、再び奥美濃中ノ水谷へ戻った。その時から必ず訪れようと心に思い定めた越美国境最深部の渓がこの笹生川中ノ水谷である。奥美濃側同様、東ノ水谷、西ノ水谷という支流を持つこの渓は、下中流部においては落差らしい落差を持たず、歩いても歩いてもほとんど高度を上げる事がない。

 昨年来、白装束集団が潜伏していたという伊勢峠越えの道を走る。峠の手前、道幅が広くなった所で杉林の中を下る山道が中ノ水谷へのアプローチだ。
 本流に降り立つ。ここから西ノ水谷あたりまでは山道があり、それを使えば時間を稼げるはずだった。しかし左岸から始まる踏み跡はすぐにヤブが被って不明瞭となり、これは下を行ったほうが早いと河原へ下りる。

 広々とした河原を進む。両岸がやや狭まり、ナメ床が続いていい感じになってきたと思ったら、目の前に古い堰堤が出現した。右から越えると再びの広河原。時折現われる早瀬や泡立った流水が岩を噛むゴルジュ以外は変化に乏しい谷だが、悠然とした流れと樹林の美しさは退屈を感じさせる事はない。
 そのゴルジュも遡行の行く手を阻むほどのものはなく、せいぜい腰までの渡渉でクリアできた。

 小滝の右側をへつると左から東ノ水谷が出合う。流程の長さから言えば右の中ノ水が本流なのだろうが、水量は東ノ水の方が勝っている。
 ここまで予定よりも大分時間を食っているが、慌てる事はない。伸びやかな河原で昼飯とする。山では久し振りに見る青空。やはり沢は晴れの日に限る。

 中ノ水谷へ入ると水量は半減した。あれだけの支流を分けたのだから当然なのだが、谷のスケールがぐんと小さくなった。
 相変わらずの平流が続き、樹林は美しいものの少し変化が欲しいと思い始めた。
デサアラクラ谷の出合を過ぎて、遡行開始から5時間半。やっと初めて滝と呼べるような滝が現われた。これは資料によってはサンガイ滝と書かれている。15mほどの滝がふたつ連続し、その上にも5m滝を連ねている。
 これまでの穏やかな流れとのあまりの落差に思わず見入ってしまった。

 一段目は左のガレから取り付き、右へ斜上すると落口にドンピシャ出られた。
続く二段目は右の急斜面を直上し、落口横のやや被り気味の壁を立ち木を利用して腕力で越えた。上がり切るとそこには下から踏み跡が続いていた。どうやら下の滝から巻き道があったようだ。踏み跡を辿り5m滝の上に出てひと息ついた。

 まだまだ時間は早いが、あんまり奥へ入ってしまうと快適なテン場を得られそうにない。
この谷は流れが穏やかな割に河岸台地が少なく、泊適地が意外に見つからないのだ。

 洞吹氏が見つけたフラットなサイトもちょっと早過ぎるということで見送り、アラクラ谷出合の右岸に絶好のテン場を発見した。
 やや傾斜はあるものの、ちょうどツェルトひと張り分のスペースがあり、深い森に取り囲まれたサイトは申し分のない雰囲気だ。整地、設営、焚き木集めと仕事をこなした後、まずは乾杯だ。今日は暑いのでツェルトをタープ状に張ってオープンエアとした。

 焚き火というのは不思議なもので、もうこれで終わりと思ってもつい次の焚き木をくべてしまい、いつまで経っても終れない。久々の焚き火だが、明日の長丁場に備えて珍しく早い就寝となった。

 普段は少しでも物音がすると眠れないのだが、不思議な事に沢の音だけは気にならない。
以前、台高西谷の巴滝の滝壷横でビバークした時もぐっすりと眠る事ができた。

 ぐっすり寝過ぎて予定より30分の寝坊だ。下界では絶対朝飯として食いたくないワンパターンのモチ入りラーメンが、何故か山では食える。2時間かけて撤収し、アラクラ谷を屏風山へと向かった。直線距離にして1キロあまり、標高差は500m強。なのに記録では2時間半から3時間かかっている。

 最初に現われる7m滝は左を直登するが、上部はホールド乏しく左手のブッシュをつかみながらずりあがる。トユ状のナメ滝に続いて、4段の滝は右から高巻いた。
 連続するナメ滝を越えると5m、10mの連瀑。ここは5mの手前から右側をまとめて巻いた。再びナメが続き、次の15m斜瀑は快適に直登。
 これでほぼ核心部は終わりだ。ここでミスを犯した。三俣と思われる所でいちばん左を取ったのだが、右俣には遡行図にない滝がかかっていたし、中俣らしきものも確認できなかった。方向があっていたのでそのまま進んだが間もなく水切れ。谷の形が消えかかった急斜面のヤブを漕いで前進。空が近くなり、いよいよ屏風山頂ダイレクトかと思った瞬間、右手にもっと高い所が見えた。「ワチャー」どうやら左へ振り過ぎて、山頂から西へ張り出す尾根に乗ってしまったようだ。もちろん踏み跡などあるはずもなく、ブッシュのわずかな隙間に強引に体をねじ込んで、まるで匍匐前進である。
 
 物事には必ず終わりがあるもので、ついに屏風山頂に到達した。晴れてはいるが、取り囲む山々は雲に隠れて山座同定もままならない。予定よりかなり遅れている。今日の下山は長大な東ノ水谷を下降し、もし左岸の山道が使えなければさらに本流を谷下りしなければならない。

 県境稜線の登山道を辿り、トチボラ谷への下降点となる最低鞍部を目指すが、息もつかせぬ急降下に渓流シューズでは足元が決まらず、ペースが上がらない。
 右手には数年前に登った屏風谷源頭のスラブ状の急斜面が迫る。「ようあんなとこ登ったな。」お互い感心。

 最低鞍部は尾根と谷が10mほどの高低差で近付くはずだが見落としてしまい、屏風谷への登山道の分岐まで来てしまった。ここからまた予定外の急斜面下り。ササや潅木を掴んで後ろ向きに下りる。最後の最後で5mほど滑落、両肘をすりむいただけで済んだが、油断は禁物だ。

 ここから二俣まで滝らしい滝はないことになっているが、結構小滝もあり楽しめる。
二俣手前の連瀑では念のため今回初のロープ登場で連続して懸垂で下りる。

 二俣からはまったくの平流が続いた。流れのスケールは中ノ水よりもこちらの方が大きいようだ。中ノ水同様美しい流れを包む樹林は、ところどころで幕営適地の台地を形作っている。
 ナベクラ谷を過ぎれば本流まではあとひと息だ。そろそろ足が重たくなってきた。

 中ノ水、東ノ水出合から右岸に付いているはずの道は確認できなかった。往路同様腰まで浸かりながら下っていく。西ノ水谷出合を過ぎて少し行ったところで左手にケルンが積んであり、赤テープもあった。ルンゼ状になったガレ谷を上がっていくが道の気配がない。
本流へ戻り30mほど下流へ行くと再びテープがあり、すぐ上によく踏まれた道を発見した。
さっきのテープからは道が崩れて分からなくなっていたようだ。

 やはり道は速い。昨日延々と遡行した本流を見下ろしながら進む。「あんな滝あったか?」
流れの中で見るのと離れて見るのとでは印象が違うようだ。

 最後の方はブッシュに被われだして怪しくなった道を捨てて本流へ戻る。「まだか〜」
うなりをあげてアブの大群が襲いかかってきた。先週の八ヶ岳で実証済みのディート入りスプレーで撃退するが、なかなかしつこい。

 支谷から落ちる滝が見えた、と思ったらスタート地点の坂見谷出合だった。杉林を青息吐息で這い上がり、やっと駐車地に到着。そのまま道路上に大の字で寝っ転がった。
 長い、充実した二日間の樹林の山旅が終った。

                  山日和

2006/12/12(Tue) 23:29:46  [No.5257]


山日和さん、こんばんは。

足の回復具合は、如何ですか?
この土日は歩いていないのですか?

再録・・雪のシーズンを直前に沢ですか。
私、早々と冬タイヤを履きましたよ。
(運転には大いに不安ですが)

珍しく普段は表に出ない男前が顔を出していますね。
構図もカメラマンの腕がいい。

> やっと駐車地に到着。そのまま道路上に大の字で寝っ転がった。

山域・沢  門外漢。
しかし、男の匂いが、ガンガンただよって来ました。

                   伊勢山上住人

2006/12/13(Wed) 21:36:31  [No.5265]


Re: 再録【奥美濃】笹生川中ノ水谷から屏風山 (画像サイズ: 750×1000 288kB)

伊勢さん、どうもです。

> 足の回復具合は、如何ですか?

ありがとうございます。まだちょっと痛みが残っています。

> 再録・・雪のシーズンを直前に沢ですか。
> 私、早々と冬タイヤを履きましたよ。

屏風山つながりということで・・・(^^ゞ
私なんか1ヶ月前に履き替えました。(修理のついでに替えただけですが・・・)

> 珍しく普段は表に出ない男前が顔を出していますね。
> 構図もカメラマンの腕がいい。

ひとえにモデルのおかげです。おっほん。

> しかし、男の匂いが、ガンガンただよって来ました。

汗臭かったですわ。(^_^;)

             山日和

2006/12/13(Wed) 22:32:43  [No.5272]


こちらのモデルさんも、私と一緒で、
このラガー服しか持っていないのですね。

それにしても、よく寝続けることのできる方だ。

無線の本なんか開くから、目が閉じてしまうのですよ。

2006/12/13(Wed) 22:47:14  [No.5273]


むにゃむにゃ。
ちょっとだけ目が覚めたぞ。

> こちらのモデルさんも、私と一緒で、
> このラガー服しか持っていないのですね。

ちゃんと、これ以外にも持ってますよ。
でも、モンベルのラガーシャツは着心地いいし、好きなんですよ。

> それにしても、よく寝続けることのできる方だ。

キャッチフレーズは「いつでも、どこでも、いくらでも。」ですが、
たぶん、ちょっとした病気なのでしょうかね。
昔、仕事中に社長と話しながら眠ってしまったことが、二度あったらしいです。
ワシは知らん。

> 無線の本なんか開くから、目が閉じてしまうのですよ。

無線の本を閉じても、やっぱり目も閉じたままでしたな。
もう寝ます。
おやすみなさい。

よい夢を見るぞ!
                               洞吹(どうすい)

2006/12/15(Fri) 01:53:34  [No.5305]


Re: 再録【奥美濃】笹生川中ノ水谷から屏風山 (画像サイズ: 800×453 106kB)

こんばんは、山日和さん。

いいですね屏風山は。
僕もいつかあの山の周りをぐるぐる歩きたいです。

え〜と、これは7年前の紅葉の屏風山。

2006/12/13(Wed) 21:52:13  [No.5267]


Re: 再録【奥美濃】笹生川中ノ水谷から屏風山 (画像サイズ: 750×1000 237kB)

mayonekoさん、どうもです。

> いいですね屏風山は。
> 僕もいつかあの山の周りをぐるぐる歩きたいです。

やはり無雪期の奥美濃の山は沢からですねー。
越前の中ノ水、東ノ水。美濃の中ノ水、東ノ水。屏風谷。
みんないいとこでした。

> え〜と、これは7年前の紅葉の屏風山。

いい色ですね。(^_^)

           山日和

2006/12/13(Wed) 23:20:37  [No.5276]


山さん、ひつまぶしじゃない、ひまつぶしレポ、色々お宝箱から出てくるね〜。

>  奥越を代表する名渓、笹生川中ノ水谷。(又は中ノ水沢) 越美国境山脈の雄、屏風山を挟んで奥美濃側と同じ名前を持つこの沢は、大きな滝こそないが豊穣な深い森をたおやかに流れる、心洗われる素晴らしい渓であった。

山さんの好きな沢模様が、この書き出しだけでも分かっちゃう。

沢の魅力は、沢そのものだけじゃなく、それを取り巻く森の素晴らしさでもあるもんね。そんな、沢を歩くと心が豊かな気持ちになっちゃう。険しさを歩く沢もあれば、豊かさを歩く沢もあるね。

沢泊をしながら、豊かな沢を歩く、そんな時代の山さんと一緒に沢を歩いてみたかったなぁ〜。って、これから、また、そんな沢歩き復活しないかなぁ。

アブは、苦手だけど・・・。沢は、ほんまにいいね〜。

2006/12/14(Thu) 23:29:20  [No.5300]


とっちゃん、どうもです。

> 山さん、ひつまぶしじゃない、ひまつぶしレポ、色々お宝箱から出てくるね〜。

ひつまぶしの方がよかったねー。(^^ゞ

> 沢の魅力は、沢そのものだけじゃなく、それを取り巻く森の素晴らしさでもあるもん
ね。そんな、沢を歩くと心が豊かな気持ちになっちゃう。険しさを歩く沢もあれば、豊
かさを歩く沢もあるね。

その通り。そしてその沢と尾根と森が作り出す「山」のすがた。それを味わうために
「沢」へ行くんです。
決して滝の直登やゴルジュの突破だけではない、「沢」を通して「山」を見つめるこ
と。そして稜線まで詰め上げること。
だから私にとっては核心部のつまみ食いは何の意味も持たないんです。それは「山に登
る」ことではなく「ゲーム」でしかないから。
まあ、人好き好きですけど。

                  山日和

2006/12/15(Fri) 00:12:25  [No.5301]


山日和さん、横からスミマセン

> その通り。そしてその沢と尾根と森が作り出す「山」のすがた。それを味わうために
> 「沢」へ行くんです。
> 決して滝の直登やゴルジュの突破だけではない、「沢」を通して「山」を見つめるこ
> と。そして稜線まで詰め上げること。

沢から山を見上げて、初めてコンパスが使えるようになりました。
沢に下りてみないと、尾根がわかりません。

これまで尾根の上でコンパスを使っていても、自分がどこにいるのか
よくわかりませんでした。

とっちゃんさんや山日和さんのおっしゃっている事が、ようやく少し
理解できるようになりました。

2006/12/16(Sat) 20:48:29  [No.5324]


コダマさん、こんばんは。

> 沢から山を見上げて、初めてコンパスが使えるようになりました。
> 沢に下りてみないと、尾根がわかりません。

これもようわからんけど、とりあえず使えるようになっておめでとうさん。(^_^)

> とっちゃんさんや山日和さんのおっしゃっている事が、ようやく少し
> 理解できるようになりました。

私の好きな本のタイトル。柏瀬祐之著「山を遊びつくせ」
まだまだです。

              山日和

2006/12/16(Sat) 23:02:26  [No.5330]


山日和さん コダマさん、こんばんは。
>
> > 沢から山を見上げて、初めてコンパスが使えるようになりました。
> > 沢に下りてみないと、尾根がわかりません。
>
> これもようわからんけど、とりあえず使えるようになっておめでとうさん。(^_^)

私もわからんです(^_^)

尾根でコンパス観る事がありますが、沢では滅多に観ないですね・・・尾根でも感で歩いて間違いが多いですが。

2006/12/17(Sun) 00:41:17  [No.5332]


りんご畑さん、どうもです。

> 私もわからんです(^_^)

コダマさーん。説明して〜(^^ゞ

      山日和

2006/12/17(Sun) 16:15:29  [No.5341]


> コダマさーん。説明して〜(^^ゞ

尾根に居たら谷の様子が全く見えないけど、
谷に居たら尾根が見えるし、何番目の尾根か
数え易いでしょ。ただそんだけのこと〜。(^^)

ホントはまだちゃんとコンパス使えないんだから、
突っ込まないでくらさい。(^^;

何年も前に洞吹さんにも教えてもらったんだけど、
全然成長してまへん。

2006/12/17(Sun) 21:21:00  [No.5351]


> > コダマさーん。説明して〜(^^ゞ
> ホントはまだちゃんとコンパス使えないんだから、
> 突っ込まないでくらさい。(^^;

シショウの伊勢山上住人がコンパスを使いこなせていないのですから
デシのコダマさんをいじめないでくらさい。

                    伊勢山上住人

2006/12/17(Sun) 22:12:28  [No.5353]


山日和さん、こんばんは。

またまた、楽しげな沢歩きの記録ですね。でも、まあ、いくら大将のお勧めでも今回のコースは辿れそうにないので美味しそうな所だけつまみ食いできそうならしてみようかな。

レポートを読みながら地形図を追ってみました。こうするとよりリアルにレポートが迫ってきて自分でもいけるんじゃないかと思わせるから不思議です。そして地形図に引き込まれてこうもできるんじゃ、ああもいけるんじゃないかと想像が膨らむ。実際にはいけないことが多いですがこれも「やぶこぎ」の楽しみですね。

              Tsutomu

2006/12/15(Fri) 21:54:33  [No.5312]


Tsutomuさん、どうもです。
なかなかつまみ食いし辛い地域ではあります。やはり泊まりでどっぷりと沢にひたる
のがおすすめです。(最近は人にえらそうな事言えませんが・・・^^;)

> レポートを読みながら地形図を追ってみました。こうするとよりリアルにレポートが迫ってきて自分でもいけるんじゃないかと思わせるから不思議です。そして地形図に引き込まれてこうもできるんじゃ、ああもいけるんじゃないかと想像が膨らむ。実際にはいけないことが多いですがこれも「やぶこぎ」の楽しみですね。

そうですね。地図を見るとの見ないのとではレポとの一体感が違いますね。
Tsutomuさんも想像だけでなく、ぜひどうぞ。(^_^)

               山日和

2006/12/15(Fri) 22:49:15  [No.5318]


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